シニアシフトの衝撃

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478022603

感想・レビュー・書評

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  • 大人用紙おむつが赤ちゃん用の市場を超えつつあるという事実をはじめとして、シニアシフトを感じる身近な事例が豊富にある。しかもどの事例も数字がしっかりと押さえられてるから、説得力もありつっこみようもない。市場規模から一人当たりの消費支出や食費まで、様々な業界に使えそうな数字が満載。
    ストック傾向にあるシニア層の消費を刺激することで、国の税収となり経済的にも潤うという筆者の主張も興味深い。
    シニア市場は“60歳以上”消費者の集まりではない、ということを徹底して教えてくれる。高齢者世帯の所得はバラつき大きく、年齢だけではひとくくりにできない。むしろ、ライフステージや身体変化に合わせたマーケティングが必要だと。“多様なミクロ市場の集合体”と定義して、マス・マーケティングは通用しないんだぜ、という主張には納得です。
    各章の終わりには要点をまとめたサマリーがあり、とても親切によくできている。素晴らしい教科書。

  • 高齢社会の消費の担い手は「シニア」なのだ・・ということ。シニアと見られる、位置づけられることを嫌がる世代層。でも身体能力は確実に衰えてくる。鼻に老眼鏡をかけて上目遣いで私を見つめながら説教話をした上司の顔が思い浮かぶ。居酒屋でもメニューを見るのに老眼鏡を取り出す儀式があった。
    そのときは「おじじになっても、鼻眼鏡は絶対にしないぞ」と誓ったけれど、最近は眼が霞み、焦点をあわせるのに手間どるようになり「アホなカメラみたい」と笑いで誤魔化すが、もう近いのだよ。
    情けない自分と消費市場の残酷さ、痛感だな。

  • 筆者からみたありきたりではない特徴的な事例が並んでいるが興味深い例が多く参考になる。絶対的な根拠がある訳では無いので説得力に欠ける向きもあるが発想の一助としては良いと思う。

  • 2012年には赤ちゃんの紙おむつ市場を大人の紙おむつ市場が逆転してしまう、という驚くべき事実に直面してしまった。たしかに昨夜マツキヨに行ったらシニア向けのおむつ売り場が大きくなっていた。
    著者は2012年が「シニアシフト元年」と位置づけている。社会的構造変化とその取り組みが実際始まっている。
    「シニア」というカテゴリーを一つにみつと見誤る。60代と70代ではお金の使い方が異なるからだ。マスマーケットではなく、「多様なミクロ市場の集まり」と捉えるべきだ。
    とはいえ日本のシニアは「ストックリッチ、フロープア」(英語ではassets ricj, cash poor)つまり貯蓄はあるが、不安が解消されないのでそれを使わずに貯め込んでいる。

    これからリタイアするシニア層は「スマートシニア」と考えられる。仕事などでITを使って来たシニア層はPCや携帯を使うことにためらいがない。つまりシニアも買い手市場になってくる。

    シニアも「モノ」から「コト」へと変化していくに違いない。時間があるシニアは勉強や芸術に時間とお金を使う。単に美術館で楽しむだけでなく、その時代の雰囲気を持つレストランで食事をしたり、面で楽しめればお金は使うはずだ。これを「経験価値」とすると「経験経済」という考え方が出てくる。
    シニアが感じる「不」、つまり不安とか不便とか、そういった「不」を解消するサービスや商品を提供することがビジネスチャンスと言えよう。
    不安とは「健康、経済、孤独」の3つだ。

  • 人口動体の変化、日本が世界に先んじて高齢社会を体験するいわば未来都市。孤独不安は生きがい不安に置き換えられるか?杉並のシニアカラオケはターゲットが70代以降か?
    大人用おむつ市場1500億円のインパクトは大きかった。
    近居が増えるのは平均所得低下の結果
    ゆるやかな大家族ができる
    バーバラおばあちゃん×孫のエピソードが世界を飛び交うわけだから、まだまだ若者とシニアの可能性は開発されていない

  • シニア市場は多様なミクロ市場の集合体であり、需要が年齢で一律に決まらないことに注意すること。顧客の不安、不便、不満に市場創造の芽があることはシニア市場も同じ。

  • 最終面接で「シニアビジネス」付箋をたくさん貼った本を持参して内定をもらった思い出深い著者の新作。

    2007年にも団塊の世代が60歳を迎えることでシニアビジネス市場の拡大が期待されましたが、一時のブームで盛り上がりませんでした。

    2012年は65歳を迎えるだけではなく、ここ数年のシニア層の消費行動を読み取ったマーケティングの成功事例が出始めていることから、これからシニア層へのマーケティングを見直していかないと企業の継続的成功は見込めないと書かれています。

    内容も事例、数値がしっかり盛り込まれていてイメージしやすく、自事業へのアナロジーもやりやすいのではないでしょうか。

    「健康不安」「経済不安」「孤独(生きがい)不安」の三大不安を解消する商品・サービスの開発が求められてきます。

    一読の価値ある一冊だと思います。

  • 今後、シニア市場が巨大化することに対しての事業機会は計り知れない。
    2012年はシニアシフト元年だと言われる。
    そのチャンスをものにするための、マーケットの見方と対策を論考する。

    <気になったポイント>
    ・我々の生活の中で、長い間当たり前だと思われた常識が覆りつつある。
    ・・高齢者世帯の所得は「世帯によってかなりばらつきが大きい」
    ・多様なシニア消費者のうち、いったい誰がターゲット顧客になるのか
    ・年代による消費支出の違いに加えて、支出費目ごとの数値を頭に入れておく
    ・ストックリッチ、フロープア
    ・シニアの三大不安(健康、経済、孤独)がストックをフローに変えにくくしている
    ・シニア消費は「年齢」ではなく、新たな「価値観」で括られる市場。
    ・シニア市場はマス・マーケットではなく、「多様なミクロ市場の集合体」
    ・情報武装したスマートシニアが増える
    ・年寄り扱いはされたくない
    ・売れなかった商品にこそ次の事業機会が隠れていることが多い
    ・シニアビジネスの基本は「不(不安、不満、不便)」解消
    ・連結連鎖型のビジネスモデル
    ・「非合理」だと思っている分野にビジネスチャンス
    ・「わくわくすること」「当事者になること」「勇気づけられたり、元気になったりすること」で「解放型消費」を喚起する
    ・年齢訴求によって「経済的メリット」があればOK、「差別的ニュアンス」があればNG
    ・ゆるやかな大家族化
    ・「孫」ビジネス
    ・シニアビジネスは、「時間的な垂直展開」と「地理的な水平展開」によって、グローバル規模で顧客のライフサイクルにわたるビジネスになる

  • なかなかよくまとまってはいますが、普段からシニア市場に多少なりとも関心をもってニュースや雑誌の特集などに注目している人には、残念ながらそれほど新しく感じる指摘や情報はあまりないかも、です。

  • 日本の人口構造の変化に伴う消費者(シニア層)の市場動向を分析している。今までのマーケティング戦略では対応が難しい現実を項目ごとに例示している。
    現有製品の応用、新サービスを展開することの重要性から、日本がモデルケースとなる。

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著者プロフィール

村田アソシエイツ代表。東北大学特任教授。エイジング社会研究センター代表理事。新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。民間企業勤務後、仏国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学部修了。仏最大の国営石油会社エルフ・アキテーヌ(現トタール)勤務を経て91年株式会社日本総合研究所入社。以降、10年間に民間企業494社とともに13の異業種コンソーシアムを設立・運営し、新事業開発を推進。在職中に、ベスト・プラクティスで2度社長表彰。同社創発戦略センター主任研究員等を経て、2000年7月シンクタンク・ソフィアバンクの設立に参加、同社ディレクターを歴任。2002年3月村田アソシエイツ設立、同社代表に就任。2006年2月東北大学特任教授、2007年4月関西大学客員教授、2008年11月東北大学加齢医学研究所特任教授、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センター特任教授、2011年4月エイジング社会研究センター代表に就任。

「2019年 『スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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