- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478066508
感想・レビュー・書評
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ドラッカーの労作 「イノベーションと起業家精神」のエッセンシャル版
頭出し、理論と実例、深堀り、まとめが各部、各章ごとに設けられていて、わかりやすいが読み進むのにかなり時間がかかりました。最初は全体の構成を掴むのに著者のまえがきと、目次を一読されるのがよいかと思います。itツールとかはともかく、スタートアップや、成長戦略などは、ほぼドラッカーによって、この時代に体系化されてしまっていると感じました。
大見出しとして、3部に分かれています。
第1部 イノベーションの方法:イノベーションの7つの機会を解説したもの
第2部 企業家精神:既存企業、公的機関、ベンチャーそれぞれに対して、イノベーションに対してどうマネジメントするのかを、何をすべきで、何をすべきでないのかをまとめたもの
第3部 企業家戦略:総力戦略、ゲリラ(2番手)戦略、ニッチ戦略、顧客創造戦略という、4つの戦略の内容と、特徴を表したもの
第3部の終わりに、終章がもうけられていて、以下が述べられています。
・世代世代について、それぞれがイノベーションを必要とすること
・イノベーションが成熟し、利益を上げられるようになるには、ある程度の年月が
必要なこと
・現代では、学校で得てきた学習だけでは生き残ることは難しく、全く新しいスキル、知識、道具を必要とし、そのために継続学習やそのための方向付けの責任を負うことなること
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新進気鋭のコンサルタントでもなく、カリスマ経営者でもなく、「学者」であるドラッカーが語るイノベーションは、はっきり言って全くワクワク感がありません。
本人も言っている通り、それまでどこか神秘的な、ひらめきというか、偶然の産物のように語られていたイノベーションを、マネジメントの目的として理論化してしまったわけですから、堅くて堅くて当然ワクワク感はありません。
しかし世の経営者の多くがこの本(1985年出版のほう)を座右の書としていることから分かるように、イノベーションを神秘的な事柄からマネジメントという現実の産物に引き下ろしたドラッカーの取り組みは、たくさんの経営者を奮い立たせたことでしょう。
イノベーションの7つの機会として、ドラッカーはリスクが少なく実現可能性の高いものから優先順位をつけて語ります。最初に出てくる機会のまあなんと地味なこと。反対に新たな技術や発明に基づく一見華々しいイノベーションには、多大な時間や戦略、マネジメントを必要とすると、優先順位のお尻に持ってきて、警告します。
本書の中では、既存企業や公共機関、ベンチャーにとっても必要な心構えが説かれているのですが、書かれた内容から、つい最近著された本のように錯覚します。これが今から30年も前、インターネットも無かった1985年に書かれたことが驚きです。90年代末のネットバブルやえせイノベーション流行りの現代を見事に予見した内容で、ドラッカーが預言者と言われる所以や、時代がドラッカーに追いついたと言われる理由がよーく分かります。
彼によって書かれている一つひとつの条件は、決して難しいことではありません。ただそれを意識して普段から準備しているかどうかの違いだと思いました。彼の語る多くの企業が見過ごしている事柄を敏感に拾い上げ、より多くの顧客、新しい市場を創造し、働く人の「居場所」を確保したいものです。 -
イノベーションの類型と特徴が記されている。それぞれの類型における具体例と注意点が実用的で参考になる。
あらためて、ドラッカーは色んな人が色んなアプローチで書いていることを先にまとめてしまっている凄い人だと実感。ドラッカー何度も読み返して腹落ちさせるのが最も効率効果的ではないかと思う。 -
いろいろなものの見方参考になります
偶然生まれたチャンスをどう生かすか、見方を広げていきます。