- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478102664
感想・レビュー・書評
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金融庁がいろいろ言っていたのもスルガがやらかして何やら怪しい感じであるし、この第一勧信もその後の業績は赤字ではないものの決して楽ではなさそう。しかし、どんなときでも前向きで明るいことは、最低限、大事なことであるよと思う。今般のコロナショックで、この第一勧信の取り組みも真価を問われるのであろう。注目しておきたい。
・目利きシートみたいに具体的なチェックリストにまとめるのはいい感じ
・スタートアップ支援みたいなのはいかにも当世風だが面白い。最終的にはデットでお付き合いしたいようだが、金融機関の性格的にはエクイティ風味が入るのも向いているのではないかと感じる
・ちょっとグラミン銀行を思い出す
・利益至上主義でない協同組織金融ということだが、みずほがバックにいることとの折り合いってどうなのだろう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よみがえる金融―協同組織金融機関の未来
2017/5/25 著:新田 信行
著者が目指す信用組合における金融とは「未来志向で、開かれた、人とコミュニティの金融」である。人と人との信頼関係に基づく信用供与がそのベースとなる。そして、人や事業、コミュニティを未来志向で育て、新たな価値を創造していくことが重要である。また、全ての志ある方との連携を通じて、社会インフラの一部として、社会に貢献する組合でありたいと考えている。
本書の構成は以下の6章から成る。
①話題の「芸者さんローン」はこうやって生まれた
②メガバンク役員から経営の厳しい信用組合理事業に繰り越し損失を4年で一掃するV字回復を達成
③「目利きシート」と「工場見学マニュアル」で実現
④リレーションシップバンキングだけでは足りない
⑤創業支援と並行して進めてきた地方創生
⑥信用組合初の農業ファンドを九組合で立ち上げ「人とコミュニティの金融」が目指す未来とは
著者の偉業は、未来志向の視点、長期的な視座から地域を活性化させるなどの成果が出るまで時間を要することに積極的に取り組みながらも、同時並行的に企業・組織としてしっかりと利益を得ていることである。
地域金融機関といえどもボランティアではない。いくらかの利益を得ながら基盤を固め信用を得ながら経営していく必要性がある。地域貢献と利益を生み出すバランスが何よりも素晴らしい。
今までのしがらみを信念を持って変化させ、共に新しい目標へと向かっている。それは自組織の人間だけではなく、周りとの協力・協働によってそのスピードは何倍にも加速している。それが成果を生み出した成功要因であったと思われる。
考えよりも行動が先行する著者の経営スタイル。
定点的に捉えながら刺激を受けていきたい。 -
「よみがえる金融」新田信行
米国クレジットユニオンのスローガン”Not for profit, not for charity, but for service”. この「サービス」とは相手を思いやり、相手の為になる行為をする事。
未来志向で開かれた人とコミュニティの金融。
無担保ローンこそ中小企業や個人への事業性ローンの基本形。
金融機関が通常行う定量的な信用リスク管理は、倒産確率(probability of debt)にデフォルト時損失率(Loss given default)を掛け合わせで信用コスト(expected loss)を算出する。
保証会社の保証を設定しない第一勧業信用組合のカードローン金利は2017年2月現在、2.875-3.875%。保証会社を活用していないから低金利が実現できる。
目利き力を養うためには、より多くの企業の生産、販売現場に触れ、自分の目で見て耳で聞いて、生の有効情報をどれだけ収集できるかが重要。
特に経営者とは信頼関係を構築し、本音ベース、実態ベースの話が聴取できる状況にしておく事。
地域コミュニティ(地域の有力者)から得られる生の情報は大事にすべきであり、そういった情報ルートを日頃の付き合いの中で確立しておく事。
最終的に集めた情報の料理の仕方、一定の判断をするまでの過程こそが重要であり、業界特性や地域特性の知識を駆使し、自身の営業・与信対応経験にも照らしながら将来展望やリスクを測っていく。またこれらの検討や判断の積み重ねが組内全体に経験値として蓄積し、ノウハウを共有していく事で金融機関としての目利き力をレベルアップさせる事。
お金は社会の血液。お金が動く事によって経済が活性化する。総資産回転率を意識して、お金を十分に世の中に行き渡らせる事。