- Amazon.co.jp ・本 (832ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478109571
感想・レビュー・書評
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「世界標準の経営理論」というタイトルで、800ページ以上の大著。
これを読むのは大変だな〜と、1日1章づつ読むか〜という作戦を立てたのだが、面白くて、1日数章づつ読んでしまい、だんだん加速して、最後は1日1部づつという感じで、10日くらいで読了!
10年くらい前に経営学は「もうわかった」つもりになったのだが、それは合理性をベースとした経済学ディシプリンのものであったことに気づき、人や組織関係、つまり心理学ベースのディシプリンを読み始めた。
で、最近、心理学ベースのものも「わかった」つもりになり、経営学の本を読むのはもうやめようと思っていたところに、この本がやってきた。
この本は、経済学ディシプリン、心理学ディシプリンに加え、社会学ディシプリンの研究が紹介してあるところが新鮮。
そしてなにより、共著ではなくて、単著でさまざまなディシプリンの理論が紹介されているので、単なる寄せ集めではなくて、理論相互の関係性がとてもクリアに書いてある。
一つひとつの理論の解説は短いのだが、とても本質的だし、知的で、かつ読みやすい。もう経営学の本は、これだけあればいいんじゃないと思うほど。
ここで、「標準理論」と認定されている以外にも、コッターの変革理論とか、結構、有名な「理論」はある気がするのだが、一般的な認知と経営学会での認知には差があるんだな〜と思う。
(いろいろなディシプリンが扱われているといっても、実証科学の範疇で、「社会構成主義」とか、「ディスコース」みたいな話はさすがに入ってない)
さんざん理論を紹介したあげく、最後は、経営理論を信じてはいけないという話に展開するところが、なんだか素敵!
そうそう!
理論に当てはめれば正解がでるわけではない。が、なんにも知らないと結局のところ自分の狭い経験のなかでしか考えられなくなるわけで、理論は、より先を考えるために必要な思考の軸なのだ。
ちなみに、なぜか「ティール組織」の話が途中ででてきて、当然、この本ではそれは「理論ではない」のだが、結構、好意的に取り上げられているのが意外だった。
「ティール組織」の要約には、やや誤解がある気もするのだが、細かいところは置いといて、「ゴーイング・コンサーン」としての企業ではなくて、「死ぬことが前提」という企業というあり方もあるのではないかという話に繋がっていくところは、とても共感した。
その企業が果たそうとしているミッションが達成されれば、その企業はなくなってもいい。
企業という組織中心ではなく、ミッション、プロジェクトをベースとした人間中心のあり方を考えれば、そうなるよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経営学の理論を学びビジネスパーソンも向けの思考の軸を提供する本。
良書。個人的には初めて星6をつけたいレベルで感動的な読書体験だった。
ゴールデンウィーク3日間を使ってじっくりと約800ページを読み切ったが価値あり。
2900円は安い。
経営学は既存の学問を使った統合的な側面があるところがむしろ、今まで個別に学んできた社会学、心理学、経済学の応用が聞くことが本書の利点。
博士論文を主体とした生き残ってきた理論を体系的に学べることは全てのビジネス書を駆逐するだけのこれ一冊でよいとなる力がある。
あとは実戦に活かすだけ。
今まで個別に学んできた分野が統合され、MBAとは違った視点で戦略が立てられそうでこの書を読んだあとに触れる世界が楽しみでならない。
自分で考えるための軸となるWhyの術を得たい人にはもってこい。 -
800ページ超、60万字超、という、写真でお見せした人には伝わると思うが、まさに『辞書』のような本。 すごい本でした。
「世界標準」と判断してよい30程度の経営理論(メインは32章)を「経済学ディシプリン」「マクロ心理学ディシプリン」「ミクロ心理学ディシプリン」「社会学ディシプリン」の4つの体系に整理し、『「世界で標準となっている経営理論」を可能な限り網羅・体系的に、そしてわかりやすくまとめて皆さんに紹介する、世界初の書籍である。』(本書はじめの2行)
いや、すごい本でした。辞書のような本、と書いたが、そうだね、辞書だね、と思って意識して、辞書のように今後何年もこの本にも戻ってきたり、参考文献も探してみたり、そうした『使う本』にしていくのがいいんだなぁと思いながら読み切りました。 当然俯瞰的に記載を行っているため、それぞれの章においては専門の本のほうが詳しいわけで、でもそんな中で、2020年現在での理論の状況をわかりやすく補足してくださり、さらに今後出てくる(実証が期待される)方向性を提示してくださったり、入山先生ならではの見解も章末に記載してくださっているところが、ほんとに今後長い付き合いになる本なんだろうな、と思いました。
個人的には、いくつか20年かけて読んできたビジネス本たちが、あぁこういう位置づけになるのね、と気づかせてもらったり(特に野中先生部分およびEQリーダシップ他)、また自分の生き方にも強いインパクトをあたえてくださっている社会起業家の方々(フローレンス駒崎さんやマザーハウスの山口さん、(働きながら、社会を変える。の)慎泰俊さん)が紹介されていたところもなんかほっとした。
そんな中での超個人的なところの引用としては、自分が大事にしている価値観が入山先生の「知の探索」「知の深化」の真骨頂の部分に記載されていた箇所を抜粋したい。(ほんとはこんなにいい本だからあとがきから抜粋すべきだとは思うが…)
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P244
知の探索・深化の理論に基づけば、ダイバーシティの本質は、知の探索を促すためにある。 だとすれば、先のように「一つの組織に多様な人がいる」(=組織ダイバーシティ)ことも重要だが、「一人の人間が多様な、幅広い知見や経験を持っている」のなら、その人の中で離れた知と知の組み合わせが進み、新しい知が創造できるのだ。 これを経営学ではイントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity)と呼ぶ。「個人内多様性」という意味だ。筆者は「一人ダイバーシティ」と呼んでいる。ダイバーシティは、一人でもできるのだ。これが、個人レベルの知の探索である。
イントラパーソナル・ダイバーシティという言葉は、初めて知った方も多いだろう。それもそのはずで、ここ10数年くらいの間で、経営学で注目されている新しい概念だからだ。 近年は実証研究が進んできており、そして多くの研究で「イントラパーソナル・ダイバーシティが高い人は様々な側面でパフォーマンスが高い」という結果が得られている。
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初版(2019年12月)で購入し、時折読み返している。当時の帯には「主要な経営理論を完全網羅」と謳われているが、まさに看板に偽りなし。版を重ねているのも納得の名著。
古びない理論を解説し、読者に「思考の軸を提供する」という著者の狙いは十分に果たされている。 -
経営学者である著者が世界の主要な経営理論30をセレクトし、各理論の概要が実ビジネスにおける示唆をまとめた解説書。
これまでにこうした1冊はなかった、という著者の言葉通り、これは大変な労作であり、かつ極めて内容が整理されており、驚くほどに分かりやすい。800ページを超える大著であるが、あまりに面白くて1日で読み終えてしまった。
本書のアプローチは「個々のビジネス現象にどう経営理論が役立つのか」という現象ドリブンの発想ではなく、「経営理論がどう個々のビジネス現象に役立つのか」という理論ドリブンの発想である点に特徴がある。そもそも経営理論とは、個々のビジネス現象の観察から、一般化/仮説化と科学的な検証のプロセスを経て構築されたものであり、一定の汎用性を持つものである。こうした経営理論は多様なビジネス現象を解き解す際の”思考の補助線”として重要な役割を果たす、というのが著者の主張であるが、実際に読み終えてみると、その主張は非常に納得感がある。
実際、本書を読みながら考えていたのは、自身が5年間の経営コンサルティングの仕事で関わってきた多数のプロジェクトのことであった。現在扱っているプロジェクトについて、このような考え方を援用すると、こういうアプローチがあるのでは?、ということを考えながら読めたのは非常に楽しく有益な体験。ぜひ今後も手元に置いて、定期的に読み返してみたい。 -
キングダムで60巻以上かけて描ききれない李信将軍を3コマで片付けたり、宮城谷昌光の長編を5ページくらいで片付ける横山光輝と同じノリ。
巷に溢れるビジネス書を1ページ未満で片付けていくのは痛快。サラッと通読すると経営理論を理解した気にさせてくれる。 -
広く経営理論が網羅された良書。体系だった理論を学びたい社会人や大学生でも分かりやすい文章ながら、重要なポイントはしっかり解説されている。何度も読み直したい。
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もやもやっとしていた世の中の流れや新しい動きが体系的に理解できました。
今、中小企業診断士の勉強をしているのですが、企業経営理論の分野が現実の動きに沿ってなるほどと具体的に頭に入っていきました。
ビジネスって究極の目標は、関係する人そして世の中全体を幸せにすることですね -
最高の書。5段階評価で10をつけたいくらい。この本で経営学の面白さを知った。様々な思考に視座を与えてくれる。経済学、心理学、社会学と、さらに深掘りして学びたくなった。
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や、やっと読み終えた。。笑
これで3000円なのだから、本ってお得だなぁ。