人生の土台となる読書 ーーダメな人間でも、生き延びるための「本の効用」ベスト30

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478111550

作品紹介・あらすじ

「生きるのがヘタな人」に送る、新しい読書案内。すごい人のすごい話より、ダメな人のダメな話を読んでみよう。

感想・レビュー・書評

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  • 「読書には、2つの種類がある。【すぐに効く読書】と、【ゆっくり効く読書】だ。一見、すぐに効くほうがよさそうに思えるけど、そうとは限らない。時間はかかってしまうけれど、しかし確実に大きく人生を変えてくれる――そんな読書のやり方を紹介しようと思う。」prologueより

    元・日本一有名なニート、phaさんによる、ダメな人間に贈るブックガイド本。

    好きなことを語ると、どうしても語り口が熱くなってしまうものだが、phaさんのそれは、激しいことを書いていても常に一定で淡々としているように思える。
    そこが逆に適温の白湯みたいでほっとする。

    最初のほうに、歌人の穂村弘さんのエッセイと短歌指南書が紹介されていた。何でも、phaさんは穂村さんのエッセイがでたとき「共感しすぎて嫉妬してしま」ったんだそうだ。「僕の思っていることを、僕より上手に、僕よりも面白く書かれてしまったら、僕みたいな人間はいったいどうしたらいいんだ」と考えたそうだ。

    また、『短歌という爆弾』に影響され、学生時代短歌を熱心に作っていた、と書かれている。
    phaさんの短歌に関する指摘が的を得ていて、面白かった。
    「短歌は【自分はこれを見てこう感じた】というのを主張するだけだ。それは自分が見たものや自分の感情を肯定することで、つまりは自己肯定の作業だ。 自分への疑いがない分、小説を書くより短歌を詠むことのほうが、自己中心的で不遜な行為じゃないかと思うことがある。」p51,52
    ハッと目を開かされる思いがした。

    あとは、中島らもさんや橋本治さんなど、なるほどなラインナップから、自分の内側や外側を掘る本まで、多彩な本が紹介されている。
    ダメな人間が、何とか生きてくための工夫と心持ちを教えてくれる。
    イケイケ(死語)な方が読むと、精彩を欠くのかもしれない。
    でも、そう生きていくのがちょうどよい人もいるのだ。

    読みたい本も、たっぷり出来てしまった。
    phaさんが今まで本から学んできたであろう、確かな知性に貫かれた本。

  • 自分のダメさについて「読書」が教えてくれること | 人生の土台となる読書 | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/295597

    人生の土台となる読書 | 書籍 | ダイヤモンド社
    https://www.diamond.co.jp/book/9784478111550.html

  • 1.読書は大切だと思ってますが、人に説明する際にどうしても自分の熱意が伝わらないことが多いので買ってみました。

    2.この本は、なぜ読書が必要なのかということを述べており、著者が読書によって出た効果を30コのべてます。また、著者が感銘を受けた本を各章で紹介しながら構成されております。
    読書には、仕事術などのすぐ効くタイプと人生について考えるゆっくり効くタイプがあります。
    どちらも大切で、自分の考え方を更新しながらも、自分が正しいと思うことに厚みを持たせることができます。また、様々なジャンルを読むことで自分の世界を広げることにもなります。

    3.自分の読書習慣を振り返るとすぐ効く方に偏っていたことがわかりました。自分を振り返ることはあまり好きではなく、恥ずかしさだったり、嫌なことを思い出すことになります。しかし、それは逃げであり、なんの進歩もありません。
    自分の過ちを認めて、言葉にした時に本当に成長できるのだと思います。そして、それには仲間が必要です。個人で頑張るだけで限界が来てしまうので、今年は支えてくれる仲間づくりをしようと思いました。

  • 遅効性の読書リスト。


    "読書には、2つの種類がある。
    「すぐに効く読書」と、
    「ゆっくり効く読書」だ。"
    で本文が始まる。

    「日本一有名なニート」ことphaさんが自身の血肉になった本を紹介している一冊。

    冒頭に
    "「ゆっくり効く読書」は、すぐに効果は表れないけれど、読むことで自分の中に何かが一滴ずつ溜まっていって、少しずつ自分の人生を変えていく。"
    とある。

    phaさんは幼少期から「生きづらさ」や「世の中への違和感」を感じながら生きてきた。例えば、学校、常識、結婚の制度など。それらの違和感に息苦しさを感じながら、phaさんは救いを「本」「読書」に求めた。
    読書によって、phaさんのもやもやとした違和感は言語化され、腑に落ちたり、考えを揺さぶられたり、考えを補強されて自信をもったりしながら、彼は生き永らえてきたようである。

    彼の勧める本はどれも魅力的である。
    もちろん、本自体が魅力的ではある。
    ただ、それだけではなく、彼がその本を読むまでにどのような葛藤を抱え、その本を読んだことをどのように救われたのかが書かれているから、より魅力的に映るのだと思う。

    彼自身の生き方について様々な媒体で取り上げられたり、本を出したりしている。
    彼の生き方に少しでも感じるところがある人がこの本を読めば、きっと読みたくなる一冊が見つかるのではないか。

    とりあえず、自分はブクログに登録した「読みたい本」が沢山増えた。

  • 読書には「すぐに効く読書」と「ゆっくり効く読書」の2種類がある。前者は実用書の類、後者は文芸や学術書やノンフィクションなど。人生の土台となる価値観や枠組みが得られるのは「ゆっくり効く読書」からであり本書では著者がこれまで読んできたそれらの本が漫画を含め数多く紹介される。
    4章のうちとくに2章で紹介される社会学、脳科学、進化論の本が自分の従来持っていた価値観とは異質で興味を持った。
    著者は述べる。
    「自分にとって切実な問題、それは自分という存在のコアにあるものだから、決して手放してはいけない」
    「幼い頃に感じたような、自分の中にある根源的な問題意識が自分の人生を作っていく」
    社会で是とされているものへの疑念、死への恐怖、だるさの原因追求、そういうものが著者にとっての関心だろうか。自分にとっては何だろう? 異常なものへの関心は読書する大きな理由になっているが自分の生理に根ざした興味関心ってあるかな。
    攻撃的なところのない淡々とした文章は読んでいて心地いい。
    読んでみたい本が増えたのでAmazonのリストに入れた。近年読んだブックガイドとしては荻原魚雷『中年の本棚』と同じくらい充実している。

  • 読書の効用とは「教養」、それを生かすのは読者次第
    読書の効用はやはり教養「知識+社会の道理」を深める事だろうか。人と相談できれば尚良いが現代は紙の本(読書)以上にネット上の情報を選択して得る方が多い、だが、フェイク・デマも多くその選択と利用方法は本人次第だ。自分に必要な真の情報は「本」以上にその「人脈」、人間関係から得るのはとても重要だとつくづく思う。それは経験とその価値を如何に捉え自分のものにできるのか、によるからだ。

  • カバー袖の言葉に揺さぶられました。

    『何度も読み返して
    ボロボロになった本が、
    あなたの心を守ってくれる。』


    私は昔から、どうも現実に抱えきれないしんどさがあるときに、読書の世界に逃げ込む習性があるようで。

    読んでいると、そういったことをふっと忘れて、物語を通して、自分を俯瞰してみている感覚が来るのだけど、それがなんとも言えず心地いい。
    たしかに本に守ってもらっているのだなぁ。

  • いろんな本が紹介されていて面白かった。橋本治と穂村弘の作品が気になった。あとアガサクリスティーと山田風太郎の人間臨終図鑑も気になる。
    筆者の、「自己責任50%主義」の考え方がいいなと思った。そう考える理由を社会学の切り口からそうしているというのが面白い。今まで、自分の責任が100%!全て自分次第!と考えて生きてきたけど、どうしても苦しくなってくる時がある。なので、自己責任50%主義で、ゆとりをもって生きていきたい。
    読書は色々な人がいると思わせてくれる、と改めて思った。人間が動物を性の対象とするズーと呼ばれる人がいたり、貝殻をお金の法定通過としている国があったり…
    これからも、いろんな世界を覗いていきたい。

  • 言葉にしにくいけど確かに ゆっくり読むと得られるものがある
    速読、飛ばし読みは効率的に技術的なことの習得には良い 多数、公約数 のような内容を掴むのに適してる 著者が言うすぐ効く読書

    ゆっくり効く読書もあることは忘れないようにしたい
    人生観、真理 は多読、速読反復の必要なし それでは得られない

  • 本の紹介をしている本だが、この本を読んでいるだけで世界が広がった気がした。
    ただ、ダイヤモンド・オンラインの著者の生い立ちを見て、勝手に読書によって救われ今も読書のみが自分を救ってくれるというような内容を勝手に期待してしまっていたのだけれど、リアルな人との関わりの大切さを説く部分があり、結局読書だけでは救われないのかと残念に思った。

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著者プロフィール

一九七八年大阪府生まれ。作家。著書として『どこでもいいからどこかへ行きたい』『しないことリスト』『夜のこと』『人生の土台となる読書』など多数。大学生のときに京大短歌会に少しだけ参加。第5回笹井宏之賞では最終選考に残る。文学系ロックバンド、エリーツの一員としても活動。東京・高円寺の書店、蟹ブックスでスタッフとして勤務している。

「2023年 『おやすみ短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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