ルネッサンス ― 再生への挑戦

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478321003

作品紹介・あらすじ

本書は、ゴーン自身が書いた、ゴーンのすべてである。彼は本書で、驚くべき成果を上げたマネジメント手法と経営哲学を惜しげもなく公開する。そして、その根底にある人間観を、5つの文化-ブラジル、レバノン、フランス、アメリカ、日本-を股にかけて疾駆する半生に重ねてオープンに語る。

感想・レビュー・書評

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  • NPO運営時に「こういうリーダーが増えたら素敵だ」と素直に感動した本。特別なことが書いてあるというわけではなかったと思うが、「実行力のエクセレンス」にこそゴーンさんの勘所があるのだと感じました。

  • 日本企業ならどこだろう?日産か、三菱か?
    (p.131)

  • カルロス・ゴーンの最初の本とのこと。もちろん、忙しいゴーン氏の事だから誰かが本人に聞き取り・文章を起こしたものと思う。本人は読んでいると思うが、何語で読んだんだろうか。生い立ちから書かれているので、総花的になって、突っ込みが浅いように思う。本人が苦労したところを中心に書くといいのだが。

  • カルロス・ゴーンのマネジメントの真髄。自伝。

    ・私はこの体験(生産現場のインストラクターが数学を教えてほしいと言ってきたこと)から、従業員たちが知識や教育を心から渇望していることに気付いた。上に立つ人々はその事実に気付いていなかったし、気付いていたとしても対応しようとしていなかった。私は生産現場の現実とマネジメント側の認識のギャップが、沈滞した労働環境を作り出していると感じた。スパーバイザーやマネジャーが従業員とともに現場を作っていかなければ、マネジメント側は会社で何が起こっているか分からなくなる。

    ・2001年7月一人のアメリカ人ライターが日産リバイバルプランに関するインタビューを申し込んできた。彼が周到な準備をして来たのは明らかだったので、私は逆に日産衰退の原因は何だと思うか、訊ねてみた。
    「日産の衰退にはいくつか原因があります。第一の原因はバブル崩壊です。バブルが崩壊した時日産の経営陣は、80年代の海外進出で膨れ上がった債務で抜き差しならない状況に追い込まれている事に気付きました。日本では資産価値が急落し、不良債権に縛られた金融機関が倒産の危機に瀕していましたが、日産はそのただなかにありました。日産が頼みにする金融機関は、不良債権によって資金力を失っていました。日産の経営悪化に追い打ちをかけたのは、バブル後、日本の消費者が財布の紐を締め、消費行動にブレーキがかかった事です。車の購入台数も減り、売り上げの下降傾向は90年代末になっても続きました。」
    見事に的外れな分析だった。同じ状況にあったトヨタとホンダは継続的な成長に成功しており、90年代にも実質的な利益を上げていたからだ。
    日産は一般管理部門でかなりの経費削減を行っていた。なかでも、人事や通信などの分野では過度の削減を強いている印象を受けた。たとえば海外出張時にビジネスクラスを使うのをやめたりした。社内でも紙や事務用品の節約を呼びかけ、冷暖房も過度の使用を控え、夕方ある時刻以降休止する措置まで導入した。こうした措置は、実際には社員に罰を与えているだけで、本質的な問題解決に繋がるものではない。暖房の設定温度を一度下げるのは、コスト削減のための優先順位からの逃避である。どこに問題の核心があるか知るには、損益計算書を見なくてはならない。調達コストが総コストの60%を占めているなら、まずその分野を優先順位に従って、徹底的に分析しなくてはならない。
    優先順位を正しく設定するためには、二つのステップが必要である。第一にプランニングを中央集権化する事。第二に、実施に際しての明確な責任系統の確立である。社員全員が一点のあいまいさもなく、誰が意思決定し、誰が実施責任を負うのかを分かっていなければならない。

    ・ゴム・プランテーションを経営しようと決めたら、もちろんまず土地を購入しなければならない。その後一年かけて土地を耕し、豊かな土壌を作り、翌年タネを蒔く。ヘベア(ゴムの樹液)を採取できるようになるまでは七年を要する。採取できるのは七年から先、二十五ないし二十六年目までである。この時期を過ぎると木を切り倒し、また種から栽培しなければならない。
    ビジネスもプロセスを無視して何か一つのゴール、たとえばマーケットシェアの拡大だけをやみくもに目指せば良いという単純なものではない。日産に来た当初、日本で日産のシェアが伸び始めるのはいつごろかと聞かれることが多かったが、私に答えられるはずがなかった。まずはプロセスをきちんと踏まなければならなかったからだ。高コスト体質を改善し、債務を削減し、製品開発に投資し、ブランドを確立し、マーケティングや営業を整備し、流通網を活性化し、合理化する。優先順位に沿ってこうしたことに着手し、こうした段階を踏まずに、たとえば値引き販売や販売マージンの増額などでマーケットシェアの拡大だけに走っても何の意味もない。
    スピードはビジネスの必須要素の最後に来る。このご時世にこんなことを口にするのは私が初めてかも知れないし、ハイパーインフレ下ではスピードが大切だと言ったことと一見矛盾するが、重要なのはスピードそのものではない。あわてず、忍耐強く、適切なタイミングでプロセスに必要な段階を全て踏むことが大切なのである。

  •  元ルノー・日産アライアンスCEOのカルロス・ゴーン氏が当時瀕死の状態の日産自動車を再生するために来日し、数年後に執筆した自叙伝的ビジネス書である。
     本書の前半はゴーン氏の祖父母、両親のルーツからゴーン氏の出生、幼少期、少年期、青年期、社会人までの生い立ちの記録のような構成になっている。
     出版された当時、日産自動車の再生の陣頭指揮を執っており、日産リバイバルプランを策定、実行している最中であった。リバイバルプランを策定する際、ゴーン氏はクロスファンクショナリティを強く意識している。
     これは、過去にミシュランブラジル法人の立上げ、ミシュランアメリカ法人の事業拡大、仏ルノー再建での経験を基に構築したゴーン流のマネジメントスタイルである。
     危機の時代、企業に求められるのは強力なリーダーシップである。ゴーン氏にはその力が備わっている。本書の後半では再生するため、ゴーン氏がなにをしたか、何を社内、社員に根付かせたか、ゴーン氏だけでなく、周辺の社員の発言も記録されており、ビジネスで重要なキーワードが織り込まれたビジネス書となっている。
     今一度、カルロス・ゴーン氏の実績を振り返るための一冊である。

  • 人の話に耳を傾ける。相手が有能だと考えて対する。コアコンピタンスの優先度を判断する。

  • 〇成功するビジネスパーソンに必要なものとは?

    ゴーンは学生時代賢い。数学がとびぬけてビジネススクールよりエンジニアリングの大学を勧められる。
    MITも候補にあった。よっぽど賢い。ミシュランからスカウトの電話がかかってくるレベル。

    入社後も最年少で各ポジションの最高職に就任し、結果を出している。
    3年で工場長、ハイパーインフレカ化のブラジルの地域の管理職をそれぞれ最年少で担当。北米の社長を務めたのも30代という若さ。そこからルノーの社長に嘆願されてルノーに入社し、ここでも立て直す。

    基本的にコストカット戦略で全体の秩序を立て直す事に定評があるように感じる。

    ・学生時代の成績、それを得られた能力
    ・入社後の功績、それを得られた能力、そこで得られた経験
    ・国を跨いで仕事が出来るメンタル、能力
    ・どこでもやっていけるという自信

    工場時代に得た「現場の人間と管理職の隔たり」に対するアプローチ、これを日産でのリヴァイヴァルプラン策定においてまで「社員への透明性と厳格なコミットメント」という方針で意識していたように思おう。
    またミシュラン時代に自分自身が「責任と権限を与えられ、信頼されて自分の裁量で仕事を行えた」という事を繰り返し言っている。その原体験があるから、彼も同じように行いマイクロマネジメントは行わず、現場に裁量を委ねている。

    「読み進めていくうちに、ゴーン氏は人の話をよく聞き、それから考え、自分の考えを出来る限り透明性の高い表現で表すこと、またシンプルに話し、言ったとおりに行動するといった、日本のリーダーに従来決定的に欠落していた姿が浮かび上がる。」
    https://cutt.ly/ZyykNbE 別の書籍のレビューだが引用

    日産の検査における不祥事がなぜ発生したのか?は興味がある、ゴーン流の弱点があったということか?

  • 業務の遂行を任せるということは、制約のない権限委譲をする事ではない。
    会社には守らなければいけないガイドラインや優先順位や重要目的があり、これが全社員の活動や、行動を導く。

    アマチュアは問題を複雑にし、プロは明晰さと簡潔さを求める

    まずは耳を澄ませなさい。考えるのはそれからです。大事なのは、自分の考えを可能な限り分かりやすい方法で表現するよう努め、何事も簡潔にし、自分でやるといったことは必ずやり遂げることです。

    新しい仕事をうける時は先入観を持たず常に白紙状態から始める事。

    神は人間に耳を2つ与えたが、口は一つしか与えなかった

    周囲を伺ってばかりいる名前だけの社長では仕方ないし、かといって支配者となって意見や決断を押し付けるのも間違っている。会社にとって最良の決断を下すために最良の中間点を見出す努力を怠ってはならない。

    社長は審判になってはいけない。審判ではなくコーチのように必要に応じて選手をサポートするのだ。
    どうやればいいかを知っている必要はあるが、その方法を細かく教えるべきではない。

  • 日産に舞い降り、「V字回復」を成し遂げた頃を中心に描く自伝。
    「コストカッター」と呼ばれた、ドラスティックな経営手腕がいかに培われたか。

  • 読んだときはあれこれ刺激的だった。とはいえ、著者自身が逮捕されて、あれこれ言われている今読み返すと、なにを考えるだろうなぁ。

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著者プロフィール

ルノー会長、日産自動車会長、三菱自動車工業会長
1954年生まれ。フランス国立理工科大学を卒業。1978年ミシュラン入社、ブラジルミシュラン社長、北米ミシュラン社長を歴任。1996年ルノー入社。1999年日産自動車COOに就任し、2000年同社社長に。2005年ルノー社長、2016年三菱自動車会長。2017年4月に日産自動車会長に就任し、現在に至る。著書に『ルネッサンス』『カルロス・ゴーン経営を語る』

「2018年 『カルロス・ゴーン 国境、組織、すべての枠を超える生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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