リスクの心理学: できるトレーダーは、なぜ不確実性に勝てるのか

  • ダイヤモンド社
3.14
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478600382

作品紹介・あらすじ

本書は、金融界のトレーディング・コーチとして有名な精神科医が、リスクとトレーディングの背後にある心理の謎を解説し、決断を鈍らせたり、「損を切って利を伸ばす」のを妨げたりする心理を克服する方法を具体的に説く。専門家ならではのアドバイスに満ちた次の5つのテクニックを修得すれば、読者は不確実性や予測不能性に直面しても、ひるまず行動できるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 各トレーダーとの対話欄では自分に近い思考をしているトレーダーのコーチングは非常にためになる。

    レベルは別にしてトレーダーというのは様々な面で千差万別なので、自分がどの立ち位置にいようとも本書は必ず現段階からレベルアップさせてくれる実力を持つ本だと思う。

  • みきまるさん激賞の1冊。手に入れられてラッキー。
    すでに亡くなってしまっているのが本当に惜しまれるなぁ。
    日本にもトレーダーの心理を理解して
    的確にアドバイスできるトレーナーは存在するのだろうか。

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    序章 目標を達成できない本当の理由

    ☆何が敗者と勝者を分けるのか

    ビジョンを実現するためには創造的なリスクを取ることが欠かせない。
    そうわかっていながら最初の一歩を踏み出せないのは、常識が働くからである。
    またトレーダーが、具体的な利益目標を定めて積極的に行動するのを躊躇したり、
    市場が与えてくれるものを当てにしたりするのも、同じ理由によるものだ。

    ほとんどのトレーダーは、損失を避けるためには積極的にリスクを取る。
    含み損のある株式を売却せず、塩漬けにするのはその典型である。
    しかし利益が得られそうな場面では、ふだんよりも慎重になるため、
    含み益が出ている株式を買い増しすることは避けようとする。
    つまりトレーダーは、500ドル得られそうな時よりも、
    500ドル失いそうな時に大きなリスクを取る傾向がある。

    これらの事例が示すように、リスクを取る時に
    どんな心理が働くのかを理解することは大変重要である。
    言い換えると、多くの人間は、
    喜びをもたらす可能性はあるがギャンブルの要素もある決断よりも、
    確定的な利益に関する決断を好む傾向があるのだ。→プロスペクト理論の核心

    しかし、アドレナリンが大量に分泌されるような大きなリスクを
    大半の人が避けるとしても、トレーダーはそうはいかない。
    トレーディングの本質はリスクを取ることにあり、
    リスクをいかに管理するかによって、勝者と敗者が決まるからである。

    ☆過去の経験が未来を縛る

    ランダムに振動する予測不能な市場で成功するためには、
    自己抑圧的な常識に惑わされることなく売買する術を学ばなければならない。
    私の見るところでは、リスクを取るということは、
    トレーディングのビジョンを創造し、過去に身につけた“ものの見方”や
    恐怖心に縛られることなく、現実に向き合う能力を高めることに他ならない。

    トレーディングの世界で積極的に関わっていくということは、
    市場を現実的な視点から評価し、自分の持ち高を直視することである。
    さらに、周囲の環境の変化によって生じやすい否認や合理化のワナに陥ることなく、
    含み損や含み益に正面から向き合うことである。

    過去の経験から得た信念や自己防衛手段を捨て、無防備になるのを覚悟で心を開く。
    そうすれば現実を見る目が高まり、それまでその存在すら知らなかった
    新しい次元を発見することができる。

    ☆リスクはコントロールできる

    リスクを取ることは、過去の経験が現在の行動を押さえつける悪循環から抜け出し、
    成功や賞賛の保証がない世界で生きていこうと決意することである。
    リスクを承知の上で人生を生きること、自信がないことを理由に自分の行動を
    制限することなく生きることだと言っても良い。

    リスクを取ることは、自分を危険にさらすことではない。…
    自分と世界の関係を固定化している過去の習慣や価値観と縁を切り、
    可能性という新しい概念を持ってトレーディングに取り組むことである。

    既存の枠を越えて限界に挑戦する。
    この原則が文字通り適用できる世界は、
    トレーディングの世界を置いて他にない。
    トレーダーは、リスク回避という人間にとっては自然な性癖を克服する方法を、
    意識して探さなければならない。
    →オニール曰く「やりたくないことをたくさんやらなければ勝ち続けられない」

    ただし、トレーディングでリスクを取るということは、
    不確実性や予測不能性、未確定のオッズに対して慎重に行動することでもある。
    決算発表やアナリストの投資判断変更、各種の会社発表など
    株価を動かす恐れのある材料を正確に評価し、狙いが当たった銘柄には
    積極的に投資を行い、自分んで十分に分析できないリスクのある投資アイデアからは
    早々に手を引くことである。
    これを実行するためには、自らの仮説にこだわり、
    継続的に成果を生み出せるような自己規律が必要となる。
    そのためにはまず自分の過去のトレーディングを見直す必要がある。
    過去の成功や失敗に影響を与えた可能性のある自分の行動パターンや、
    続けたい、修正したい、あるいは止めてしまいたいと思うような
    行動パターンを知る必要があるだろう。

    ☆利益の大半は、ごく一部の売買から生まれる

    トレーディングの利益の大半はごく一部の売買、
    率にして3〜10%から生まれるという。
    このことは、利益を最大化させることの重要性を示している。
    含み損が出たら辛抱強く待ち、
    含み益が出たら早々に利益を確定したいのが普通だが、
    その逆が正しい戦術なのだ。
    含み損はさっさと切り捨てて含み益をできるだけ伸ばす、
    買い増すか長期間保有するという、直感とは正反対の行動が正解である。

    トレーディングの勝者と敗者を決めるのは、自ら設定した目標にこだわり、
    不確実性から生じるストレスや感情的な反応に直面しても
    適度なリスクを取り続けられる能力があるかどうかである。
    リスクを取って成功するには、市場が与えてくれるものを待つのではなく、
    具体的な成果をイメージして積極的にリスクを取りにいく必要がある。

    ☆利益に的を絞る
    達人と称されるトレーダーは、利益をあげることに的を絞って行動し、
    常に次のような問いを自分にぶつけている。

    ▷他にもっと知るべきことはないか?
    ▷他にもっとできることはないか?
    ▷市場の変化に対する自分の感情的な反応から学べることはないか?
    ▷ポジションはどのくらい長く持ち続けるべきか?
    ▷ポジションはどのくらい早く手仕舞うべきか?
    ▷どの程度の損失まで許容できるか?

    達人トレーダーは、含み損が出たら必ず手じまう。
    例外があるとすれば、現在の価格水準が正当化できないほど低いことが
    ファンダメンタル分析で明らかであり、価格を押し下げている噂には
    根拠がないと確信できる場合だけである。
    と言っても、単に相場の反転を「期待」するわけではない。
    いったん手じまって損失を確定し、価格が底を打って上昇し始めたところで
    買い戻すのが、達人の好むやり方である。

    トレーディングでなかなか成功できない人は、
    ホームラン狙いの大振りを繰り返している(リスクを取りすぎている)か
    投資金額が少なすぎて具体的な結果が出せない(リスクを回避しすぎている)かの
    どちらかである。
    …成果を得るためには具体的な目標を設定し、
    それを青写真として戦略を決める必要がある。

    心理学的に言えば、
    リスクを上手に取るためには、市場の動きに後から反応する受け身の姿勢ではなく、
    市場の動きを先取りするかのように行動する積極性が必要である。

    ☆一生懸命なのに結果が伴わないのはなぜか

    リスクを取って利益を得る可能性を高める術を学ぶことは、
    何をやるべきかを意識的に決断することに他ならない。
    これまでとは違う、レベルの高い目的を達成するには、
    考えるポイントを変え、具体性のある目標を設定しなければならない。

  • 序章が「目標を達成できない本当の理由」・・・
    少なくとも目標すら立てていない人が読む本ではないような気がします。

    ただ、既にトレードで利益は出せているけどもっと儲けたいという人にはお薦めです。

    「利益の大半は、ごく一部の売買から生まれる」、真実ですねぇ~

  • アリ・キエフとアリ・キーフはおそらく同一人物だろう

  • リスクと直面した時、トレーダーが陥りやすい心理的な弱点について具体的事例を交えながら解説した内容。リスクをリスクと感じない心理もまたリスクとなりうる!リスクを改めて見直す契機となる一冊!

  • 半分でいいような気がする。

  • 株を買うときや売るとき、事前にチャートを眺めたりして用意周到で望むつもりが、急落急騰にふりまわされたり、後になって何でこんなチャートの銘柄を買ったんだろうと衝動買いをしたり。そんなことがきっとなくなるための心構えができるようになると思います。

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