フランス革命の志士たち: 革命家とは何者か (筑摩選書 51)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015549

作品紹介・あらすじ

混迷の時代に現れる革命家。彼らの語った壮大な理想とその言葉、その生き様はいまもわれわれを惹きつけてやまない。近代を切り開いたフランス革命にも、多くの革命家が現れては散っていった。彼らは何を夢見、何を求め、何を成し遂げたのか。真に変革をもたらす者とそうでない者はどこがちがうのか。そもそも人はどのようにして革命家になるのか。志を抱えつつも、時に転び、時代に追い越され、時に皮肉な結末を迎えてしまったフランス革命の志士たち。彼らの肖像を通して、変革の時代をいかに生きるかを考える。

感想・レビュー・書評

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  • 「あらかじめ言っておきたいが、私の本からロベスピエールに対する誹謗中傷、罵詈雑言を期待してはならない。」「これらの言葉はなんと美しいことであろう。ただ現実となるにはあまりにも美しすぎた。」「このゆえにこそロベスピエールは途上で倒れることになる」「それでもこれらの言葉が国会の壇上で語られた意義は限りなく大きい。未来に投げかけられたメッセージなのである。」ロベスピエールは、クーデターによって一度逮捕されたあと一旦救出され、国民衛兵隊への出撃命令を下すことで事態を好転させる選択肢があったのにそれをせず再び逮捕される。「ロベスピエールの死は革命の死でもあった。」著者の描くロベスピエールをもっと読んでみたい。

  • 18世紀末フランスの革命家は,日本で言えば維新の志士。ということで革命シンパの著者が彼らの人生を綴った列伝。
    著者はジャコバン派,中でもロベスピエールを高く評価していて,それを軸に筆が走っているのでとても明快。バイアスに気をつけて読みたい。
    第一第二身分から革命に身を投じ,革命初期に大きな役割を果たしたラファイエット,シェイエス,ミラボー。王政倒壊以降に実権を握り,恐怖政治の主役に躍り出たジャコバン派の闘志ダントン,マラー,ロベスピエール。クーデタで恐怖政治を終わらせたテルミドール派のバラス,フーシェ,タレーラン。そして軍事的才能でのし上がり革命に終止符を打ったナポレオン。
    社会の大変革期で,登場する全員がまさに時代の寵児というのは圧巻。全体として革命を肯定的に捉えすぎているきらいはあるけれど,著者もそれは自覚しており,その点に気をつけて読めば得るもの多いと思う。

  • フランス革命は、なんと登場人物が多いことか。
    革命始動から終焉までの、小さな波が少しずつ大きくなり、
    一気に国を揺るがす大波に変貌する。
    その大いなる流れの中に船出し、そして去っていく人々。
    そんな彼らについて書かれている。
    丁寧なので、多少読みづらい面もあるけど、
    教科書では書かれていない詳細な記述が多く、
    フランス革命とは何かが良くわかる。
    そして、綺羅星の如く登場した主要人物たち。
    時代に生き、或いは波に流され、
    或いはしぶとく生き延びる。
    その生き様はその時代そのものだと、思ってしまう。

  • フランス革命に際して活躍した革命家たちを、革命の進展のなかに位置づけながらその個々人の行動や思想を解説している。ラ=ファイエットやダントン、ロベスピエールといった、名前は有名だがその細かい行状や思想がなかなか問題とされていない人々が、いかに考えその思想を実践したかを軽妙に語ってくれている良書である。革命家として活躍しその遺産が現代世界でもいまなお残っているような人、機を見るに敏ながら思想的一貫性には欠けた人、様々な人間が混在しながら、フランス革命という世界史的事件が進行していったという基本的事実をおさえながらも、革命の進行とともに出来事の意味と個人の主観的意図がずれていき、それが時に恐怖政治のような悲劇にもつながる。列伝としても面白いし、専門的歴史研究への取っ掛かりとしても役に立つだろう。

  • なかなか読みやすかった。
    どの人物もそれぞれの良さを書いていて、(嫌いな人もいるかもしれないが)私は良いと思う。
    他にも、なかなかネットや本で得られなかった情報があっておもしろかった。

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著者プロフィール

フランス文学者。1944年岩手県盛岡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修士課程修了。フランス政府給費留学生として渡仏、パリ大学等に遊学。執筆活動の傍ら、大学で講師も務めた。著書に『物語 フランス革命』『マリー・アントワネット』など。

「2020年 『サンソン回想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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