「笛吹き男」の正体 ――東方植民のデモーニッシュな系譜 (筑摩選書 240)
- 筑摩書房 (2022年11月17日発売)
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感想 : 5件
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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480017536
作品紹介・あらすじ
中世ドイツ・ハーメルンの「笛吹き男」伝説。一三〇名に及ぶ子供たちが突如消えた事件である。「東方植民」の視点から真相に迫り、ドイツ史における系譜を探る。
感想・レビュー・書評
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阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』を読んだのはうん十年前のこと、伝説としての興味深さもあったし、中世ドイツの社会を丹念に追いかけるところが読み応えがあったとの記憶がある。
本書は、「笛吹き男」は何者であり、また失踪した子供たちはどこへ行ってしまったのか、との謎を解明する前半部分と、ドイツ史を貫く東方植民運動、就中ナチスの東方植民政策に光を当てる後半部分とから成っている。 -
ハーメルンの笛吹き男の実話を、中世ドイツにおける東方植民運動の流れの中発生した一事象だったとし、綿密な論証に読み応えがあった。笛吹き男たる植民請負人の存在と、そのリクルート活動の有様が描かれ、特に事件当日の描写は、謎に満ちた伝説のベールが剥がされていく様だった。ただ後半は東方植民の文脈で近代ドイツにまで話が及び、まるで別の本に。結果まとまりを欠く内容になったのは勿体無かった。
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