太宰治全集 (9) (ちくま文庫 た 12-9)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480022592

作品紹介・あらすじ

太宰最晩年の代表作「斜陽」「人間失格」「桜桃」他15篇を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 何作かは再読
    大好きな人間失格も斜陽も収録されてて最高

    自分の話以外もだいたい本人がモデルか?っていう感じの酒の誘惑に弱くちゃっかりしていてそんな自分に嫌悪感抱いてる外見はいいクズ男みたいなのが多くてふふってなっちゃう。
    そして晩年よりの作品集だからか登場人物が死んじゃう話が多い。

    ✳︎グッド・バイ(絶筆)
    編集社で働く傍ら、闇稼業で儲けている34歳の男の田島周二が、愛人15人との関係を解消しようと闇稼業で知り合った絶世の美人(ただし最低の鴉声、大食い、怪力)を連れて別離の行進をする。


    「人生足別離」の一句があり私の或る先輩はこれを「サヨナラ」ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。

  • 『グッドバイ』めちゃくちゃ面白くなりそうなとこで終わってた。『人間失格』あの生きづらさは少しリンクするようなところがあったり。やっと読めた。好きだなぁ。

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  • 無糖のホットチョコレートみたいな1冊。苦さに苦さを重ねる中にほろりと甘く感じる一瞬があり、すっと溶けていく文体の滑らかさになぜだかほっとする。

    マイチェホフの狂気を「斜陽」で思い出し、真の革命の意義を「おさん」で学び、「眉山」でやるせなさに涙して、待望の「人間失格」に取り掛かる。

    人を針金入りのモールだとする。人を取り巻く社会(世間?)は常に渦を巻いていて、モールの体をうまく曲げれば、別のモールとひっかかることを繰り返し、渦の中心でずっと回り続ける事ができる。だけど自分が曲がらない、もしくは曲げる方向を間違ってしまえば、渦の外側へと容易に弾き飛ばされてしまう、そんなもんだと思う。

    葉蔵は、道化を演じ自分を無理に曲げてまで渦の中心にいることを辞めて真っ直ぐになった結果、ひっかかりがどんどん外れ、すんでのところで渦の外に弾き飛ばされるのをひたすら耐えるような生活を送る。弾き飛ばされまいとなんとか新たに体を曲げてみるも、曲げる方向がわからず間違ってしまい、逆にひっかかりを外してしまう。弾き飛ばされる途中で何かにしがみつくことを繰り返しながら、苦しく陰惨な半生を葉蔵は生き抜いていったわけだけど、人間失格はその「自分を曲げる」ことへのアンチテーゼと、渦を巻く社会構造そのものを批判しているように感じる。

    自分を曲げることは間違いで、嘘で、虚栄で、だから人は間違いで、嘘で、虚栄だと。まあ確かになぁ……ひっかかってないと俺なんか不安で不安で仕方がないから延々と渦の中心にいたいけども、そんな自分は嘘なのかなぁ…うーむ

  • これまた数十年ぶりに
    人間失格と斜陽を読み直そうと思い。
    一冊に収められてるので便利。グッド・バイも。
    その他色々読んだ事の無い短編も読めてお得。
    「眉山」が良かった。

    やっぱり、斜陽は好きだし、人間失格にはあまりピンと来ない。

    斜陽のママの「ほんもの」さとか、
    人間失格の「世間じゃない、あなたが許さないのでしょう?」
    は、思春期にひっそりと読めば、自分こそが発見したような気分に
    なれるよなぁと、もう、ちょっとね手垢が付いたように感じてしまう哀しさよ。

  • 自分でお話を書き始めてから、周囲の書き手さんが読まれているらしいと気が付いた太宰治を、自分も読んでみたいと思って買った全集の9巻。

    この年になるまで、読んだことがなかったのもなかなか恥ずかしいことかもしれないけれど、この年にならないと読んでも分からなかっただろうから、いい時期に読んだのだろうと思う。

    巻を進むにつれて、「生きることのつらさ」が実感として痛みに変わっていく。9巻はそれが特に強くて、ついに「死んでいく人は美しい」がはっきりと現れてきた印象がした。

    人間失格は有名で、その一文にある、
    (それは世間がゆるさない)
    (せけんじゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
    が、とても私には衝撃的だった。今も昔も、そしてこれからも、世間とは個人なのだ。

    死が美しいといったのちに、「いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一さいは過ぎていきます」
    これが真理だと、彼にとって自殺は革命だったのだろうか。

    なんて、小難しいことは私には分からない。
    生きづらさはあるのだけれど、私のそれは今のところ、太宰とは違うものだから。
    でもいずれ行きつく先は一緒なのか?
    行きつくのかどうかも分からないんだけれど。

    とりあえずお気に入りの文を。

    (それは世間が、ゆるさない)
    (世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
    (そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ)
    (世間じゃない。あなたでしょう?)
    (いまに世間から葬られる)
    (世間じゃない。葬るのはあなたでしょう?)

  • 母、父、女神、フォスフォレッスセンス、朝、斜陽、おさん、犯人、饗応夫人、酒の追憶、美男子と煙草、眉山、女類、渡り鳥、桜桃、家庭の幸福、人間失格、グッドバイ

  • 2015.09.05 再読

  • うつくしい文章。こころのど真ん中に突き刺さる。たまらなく、すきだ。

  • 思春期に読んでいたら、ちょっと大変なことになっていたかも。好き。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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