坂口安吾全集 14 (ちくま文庫 さ 4-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (644ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480024749

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  • 「ピエロ伝道者」がとりわけ良い。

  • 堕落論のみ読了。「未完の美は美ではない。その当然堕ちるべき地獄での遍歴に淪落自体が美でありうる時に始めて美と呼びうるかもしれないが」「他人の処女でなしに自分の処女を刺殺し、自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ」「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」安易な救い、寄りかかれるものに頼って、堕ちることを免れようとするぐらいなら、一度、堕ちきったところから、這い上がったほうが救われるよ、ということだろうか。ああ、そんなの面倒くさいと思う。藁でもガラクタでも、すがって自分を保てるなら、その方がなんぼかマシなのでは。

  • 堕落論:
    解らなかった。残念。

  • ピエロ伝道者:
    ”僕等の聖典に曰く、およそイエス・ノオをたずぬべからず、そは本能の犯す最大の悪徳なればなり、と。又曰く、およそイエス・ノオをたずぬべからず。犬は吠ゆ、これ悲しむべし、人は吠えず、吠ゆべきか、吠えざるべきかに迷い、迷いて吠えず、故に甚しく人なり、と。”

    (坂口安吾によると”ナンセンス”はモダン人種に”悲しき笑い”と訳される)

    空にある星を竹竿で届こうとするものと、それを笑う者を、文学者と文学を”行き詰まるナンセンス文学”と揶揄する人々にたとえ、前者に格好つけるなよとたしなめつつも、文学者、何言われても精進せい、手軽な笑いを提供するピエロになってくれるなと言わんエッセイ。

    人の子の親となりて:
    自分の子供にどうやって接したら良いのかを迷う父親が飼い犬と生まれたての子供に注ぐ愛情の量を比較する。細かな悩み事が尽きない性格の持ち主のよう。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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