- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480030283
作品紹介・あらすじ
あの衝撃的な死から25年。三島の作品の再評価が高まっている。作家・三島の原点を示し、行動の源をつちかったものは何か。「わが思春期」「私の遍歴時代」など、三島が自らを語ったエッセイをまとめる。
感想・レビュー・書評
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大好きなエッセイです。ユーモアや父性を感じる言葉に終始ニヤニヤ。何か緊張する予定の時はいつもこの本でほっこりしてから向かいます。雪の日に、馴染みの古本屋さんを見つけた時の描写がすごく素敵で。本当に詩的な感受性が豊かな方なんだなー、と。
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三島由紀夫が自分の子供について書いた文章が収録されていたのには驚いた。あまり家庭のことを書いたイメージは無かったので……。
その他、結婚について、母親について、スポーツについて、等々。 -
12085.
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相変わらずの博学からの饒舌。柔らかい。
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2009/
2009/
保田与重郎についての記述があるはず。
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吉祥寺の外口書店で購入。
やっぱ三島由紀夫は読んでると、わくわくしてきます。
『わが思春期』(昭和32年)
「ついこの間まで、エジプト、ハンガリアの動乱のために、われわれ戦争を経験した人間は、また第三次大戦が起るのではないかと多少ソワソワしました。なぜわれわれに戦争がなつかしいか。なつかしいという言葉は変ですが、戦争がちょうどわれわれの思春期と重なっていたからです。それで戦争そのものに郷愁を感じるわけではないのに、戦争が近づいたとなると、今の人から見ればおそらく暗い、つまらない思春期、しかし自分自身にとっってはかけがえのない思春期が、もう一度めぐってくるような気がするのであります。」
「何か少年の最初の時期は、異性愛的なものと同性愛的なものが、非常に混在しております」
→少女の最初の時期も、異性愛的なものと同性愛的なものが、非常に混在しておった気がしています。遠い昔、女の子とキスしたりしていた記憶がある。なんとなく見様見真似で。私が異性愛者になったのはいつ頃だったんだろう。
『私の遍歴時代』(昭和38年)
太宰治との出会いについて。
「青春の特権といえば、一言を以てすれば、無知の特権であろう。人間には、知らないことだけが役に立つので、知ってしまったことは無益にすぎぬ、というのは、ゲエテの言葉である。どんな人間にもおのおののドラマがあり、人に言えぬ秘密があり、それぞれの特殊事情がある、と大人は考えるが、青年は自分の特殊事情を世界における唯一例のように考える。」→『仮面の告白』への適用。
「‘小説家は銀行家のような風体をしていなくてはならぬ’と教えたトーマス・マンの文学が、このころから、私の理想の文学になりつつあった。」
『作家と結婚』(昭和33年・婦人公論)
自身の見合い結婚について。
「恋愛というものをみんなはロマンティックに考えるけれども、おのずから選択が限られていて、自分の手の届く範囲でしかできないことを僕は知っている。例えば木曾の山の奥で、向うの峠から女の子が上って来て、こっちの峠から男の子が上ってきて、峠のてっぺんで会って一目惚れするというようなことは都会ではあり得ないから、自分の行動半径の中でおのずから選択がきまってしまうと思っている。だから、自分では恋愛していると思っているけれども、要するに一つの社会的制約の中での一種のファンタジーだと考えるのだ。」
「僕は恋愛に対して実に疑り深い。自分が好きになればますます疑うようになるのだ。」