平行植物 (ちくま文庫 れ 1-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480034359

作品紹介・あらすじ

世界最高の絵本作家である、レオ・レオーニが豊かなイメージで作りだした驚くべき植物群!完全なる空間に棲息する"植物である前にことばであった植物たち"が絵とともに本の中から浮かび上がる。虚実おりまぜながら組み立てられた不思議な世界。ウミヘラモ、タダノトッキ、プリズムソウなど、図版多数!日本平行植物学会推薦。

感想・レビュー・書評

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  • まさかスイミーと同じ作者だとは…

  • この本はフィクションです。
    まあ、図を見ればわかるでしょうが
    このような植物は各々の脳内にしか存在しないのです。
    だからこそ「平行植物」なのですよ。

    だけれどもまあ文献までも見事に
    創作してくださっているのだから
    驚きの一言です。
    うっかり調べそうになりましたが
    フィクションです、フィクション。

    だけれども創造というもののすばらしさを
    よく伝えてくれていると思います。
    まじめな人には向かないけどね。
    でもこういうまじめにおふざけは大好き。

  • (*01)
    平行という世界の形容にピンとこない読者も多いかもしれない。ありえたかもしれない世界、すなわちパラレルワールドとこの世界をつなぐ植物たちの物語といった副題を添えたいところでもある。
    触らせてくれない、撮らせてもくれない、暗がりにあった方が美しい、生きているか死んでいるかも分からない、黒かったりメタリックだったりする、といった様々で天邪鬼な平行植物の特色は、どこかグラビアアイドルのようなオーラを放ち、これらの植物と読む者との間に一定の距離を置いている。
    その距離に、曖昧さ、表裏、気体、透明、芸術、伝説、風俗(*02)が入り交じり、臆説が飛び交う。平行植物の各種の発見から採集、撮影、保管、展示に至る科学的蘊蓄は、20世紀までに科学が到達した地点からの知的な批評たりえる。要するに科学的な視点を小馬鹿にしていて、胸がすくような面白さがある。

    (*02)
    世界各地の風俗や風土も戯画化されていて笑える。現実の気候、地勢、植生、民俗などを織り込んまれたもっともらしいレポートとあるあるエピソードが伝えられ、その中に平行植物が点綴される様は、現代芸術的でもある。平行植物は、植物である点では環境という文脈に適合しているべきであるのに、どこか文脈や環境から浮遊している感覚は、優れて批評的である。

  • この世の中には「平行世界」に属する植物があるということを知っている人がどれほどいるだろうか。
    「スイミー」の作者として有名なレオ・レオニが、大真面目に「平行植物」の紹介をする。各種目撃情報はもとより、平行植物の定義、由来、何を持って「植物」と認定するかという議論まで語られ、愉快で深い想像世界が広がる。
    一見、何の変哲もない棒に見える「タダノトッキ」、月光のもとでしか見られず、金属球のような実をつけるとされる「ツキノヒカリバナ」、世界各地の伝承に姿を見せる「夢見の杖」など、レオ・レオニ氏自身の手による挿絵を眺めながら目撃レポートを読み進めていると、だんだん平行世界と現実世界の境界が渾然としてくるのだ。

  • 平行植物という、架空の植物学を扱った本です。
    最初の3分の1ほどが、哲学的な文章で、のこりが植物の解説になっています。
    読み始めて、これは非常にとっつきにくいと思いました。
    鼻行類と同じようなカテゴリの本だろうと読み始めたわけですが、植物に関することではなくて、哲学的な話ばかりだったのです。
    設定的に、触れると壊れる、大半のモノが移設出来ない、通常見えないというものなので、植物の話というよりは、概念説明の哲学になってしまうようなのです。
    植物自体の説明でも、そういう感じでした。
    鼻行類みたいなものを期待していたので、非常にがっかりでしたね。
    話としてはそれなりに面白いのですが、自分がしていた期待の方向と違ったのです。
    中の文章に出てくる、地名は概ね実在のものだと思うのですが、結構な固有名詞が似たような言葉にもじられてます。
    この辺も自分的にはマイナスポイントですね。
    悪くはないけど、物足りないというところです。

  • あの有名な『スイミー』の作家さん。

    まず前置きからして、専門的かつ深遠なことを言っているようで、まるで中身がないからすごい。
    皮肉じゃない。褒めてる。
    というか、それがこの本の素晴らしい所なのだ。

    扱うのが実体がない「平行植物」ゆえに、前置きもそれに倣ってるのだろうか。

    例えばこんな感じ:
    「(羊を生んだ植物の例)あるいはまた、正真正銘の科学的実験の時代が始まろうとしていた17世紀に、クロード・デュレも動物を生んだ木について語っている、というふたつの事実を考えあわせてみれば、自然界のいかなる既知の法則にも拘束されない植物が発見されたことによって、必ずしも客観的正確さをもってそれらの新しい植物の本質を扱わない記述が現れたとしても不思議ではない」

    簡単に言うと「この本は空想の植物について書いてるから、主観的だし想像を大いに羽ばたかせてるけど、その辺よろしくー」ということらしいが、周りくどさ半端なくてこんなん笑っちゃうよ。

    植物の分類の話かと思ったら碁の対局に通信料がいくらかかったとか、地層の発見話に、怪しげな透視術を使う巫女がどうのこうのとか、ふざけた話が当然のようにまぎれこんでるのも面白い。

    つづき:
    http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2015/08/3.html

  • レオ・レオニ 絵本のしごとLeo Lionni Book! Art! Book!
    12月6日(木)~27日(木)[会期中無休]
    開館時間:午前10時-午後8時(最終日は午後5時閉館)
    入館締切:各日閉館30分前
    入館料:700円(500円)/高・大学生 高・大学生 500円(300円)/小・中学生 300円(200円)※( )内はエムアイカード、JR西日本グループ会社カード(一部除く)をお持ちの方、ICOCA、Suica、TOICA、SUGOCAカードでお買いあげの方、前売および10名さま以上の団体料金。「障害者手帳」をご提示いただいたご本人さまならびに、ご同伴者1名さま。
    前売入館券情報:
    販売場所:美術館「えき」KYOTOチケット窓口:11月5日(月)~12月2日(日)17:00まで、京都駅ビルインフォメーション:11月5日(月)~12月5日(水)
    割引入館券情報:<販売期間>11月5日(月)~12月26日(水)
    販売場所:ローソンチケット(℡0570-00-0777)、ローソン (Lコード58166)、セブンイレブン、CNプレイガイド、ファミリーマート、イープラス、ほか各プレイガイド。
    小学校の国語の教科書にも掲載されている『スイミー』『フレデリック』『アレクサンダとぜんまいねずみ』の作者、レオ・レオニ(1910-1999)は、“ねずみ”や“しゃくとりむし”など、小さな主人公たちが自分らしく生きることをテーマとした温かいストーリーの絵本を数多く制作しました。水彩、油彩、コラージュなど様々な技法を使い創造された美しい世界は、読む人を軽々と空想の旅へ引き込んでしまう「色の魔術師」と称されています。
    本展は、レオニ氏の遺族とアメリカのエリック・カール絵本美術館から、絵本の原画約100点、「平行植物」シリーズなど油彩や版画、彫刻約30点を出展し、生誕100 年を迎えたレオ・レオニの〈絵本のしごと〉を紹介します。
    http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/floorevent/index_7f.html

  • 架空の植物たちについての説明書の形をとった、不思議な世界の本。

  • 図書館から借りました

     ファンタジー。
     学術書っぽいが……どこに分類すべきか?

     原題「La botanica parallela」
     絶版、ではないだろうけれど、大きな本屋にも置いてなくて、取り寄せになるみたいです。(ちくまの目録には記載あるので買えるはず)
     図書館で予約して借りました。

     それは、黒い植物の学術書。渾身の、本当のような嘘の学問。(植物界に『黒い花』はないらしいことからこの色が選ばれたのだろう)。
     時間と存在が切り離された、植物。触れたら、もろく壊れ去り、特殊な写真にしか映らず、色んな伝承を遺している。
     幻想的。
     形の奇異さより、その存在がたまらなくいい。その伝説が。

     月光の中でしか浮かび上がらない、ツキノヒカリバナ。
     遠近法を無視した時空にいるフシギネ。(遠くからみても、近くから見ても大きさが変わらない)
     『植物であるまえに言葉だった』、夢見の杖。

     ああ、この植物。レオ・レオーニ(個人)の創作であることが嘘のように、なんて厚い設定があるのか。
     この植物を自分の作品に使いたくて、うずうずします。
      
     一見の価値あり、とはお勧めはしません。(ぇ
     ここまで褒めたけれど、本として楽しめる人は多くはないと思うのです。
    (人気があったなら、図書巻で取り寄せた本が第一刷で、本屋には見当たらない、ということはないだろうから)
     私も本として楽しんだわけではないのかもしれず(↑十分楽しんでるか?)、ちょっと読みにくいところはあるのですよ、やはり。

     この書物は、無夜が構築する世界の補完に。
     相対性理論の理解の手助けに(私はなったが)、しちゃったのです。

  • 実在しない植物の図鑑

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著者プロフィール

1910年 オランダのアムステルダムに生まれる。主な絵本作品 「あおくんときいろちゃん」(至光社) 「スイミー」(好学社)など。

「2009年 『ニコラスどこにいってたの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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