バートン版 千夜一夜物語 2

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (633ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480038425

感想・レビュー・書評

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  • のんびりと読み始めたバートン版千夜一夜の2巻目、第27夜〜第95夜。前承の『せむし男の物語』は、いかにもアラビアンナイトらしいエロ滑稽な挿話がたくさん。落語にも似た話があるが、世の物語の原型は全て千夜一夜に入っていると言っても過言ではあるまい。夜の庭園の風景と寛大なカリーファの心遣いが素晴しい『ヌル・アル・ディン・アリと乙女アニス・アル・ジャリスの物語』、自分が恋した女性が実はカリーファの側室と知り、互いに性欲を抑えながらも最後はハッピーエンドを迎える『恋に狂った奴ガーニム・ビン・アイユブの物語』(宦官の挿話もいかにも千夜一夜らしい小噺)、そして大河長編『オマル王とふたりの息子の物語』(巻3に続く)。まだまだ先は長い。

  • ・せむし男の物語(承前)
    ・・料理頭の話
    ・・仕立屋の話
    ・・床屋の身の上話
    ・・・床屋の長兄の話
    ・・・床屋の2番目の兄の話
    ・・・床屋の3番目の兄の話
    ・・・床屋の4番目の兄の話
    ・・・床屋の5番目の兄の話
    ・・・床屋の6番目の兄の話
    ・・仕立屋の話の結び

    ・ヌル・アル・ディン・アリと乙女アニス・アル・ジャリスの物語

    ・恋に狂った奴ガーニム・ビン・アイユブの物語
    ・・最初の宦官ブハイトの話
    ・・2番目の宦官カフルの話

    ・オマル・ビン・アル・ヌウマン王と2人の息子シャルルカンとザウ・アル・マカンの物語

  • 「せむし男の話」容疑者達のこのせむし男殺しに関するより不思議な話をしたらシナの王様は許すと言う。〆は度はずれたおしゃべりの床屋を牢屋に入れた仕立屋の話。
    「ヌル・アル・ディン・アリと乙女アニス・アル・ジャリスの物語」王に一万金貨する未通の奴隷女を所望され国民の親も厚い大臣アル・ファズル・ビン・ハカンは理想の奴隷女アル・ジャリスを手に入れるが息子ヌル・アル・ディン・アリが抱いてしまう。二人は母に逃がされバグダットへ。教主の庭番に招かれ宴をしてるところに教主自身が魚取りに変装し二人に感心し、王に手紙を持たすが悪評高い大臣アル・ムイン・ビン・サウィの策略でヌル・アル・ディン・アリは捉えられてしまう。→アル・ジャリスが訴え教主が助けてくれる勧善懲悪話。
    「恋に狂った奴ガーニム・ビン・アイユブの話」はにかみ屋のガーニムは墓場に正妻の策略で運ばれてきた、教主に寵愛された側女クト・アル・クルブにそれと知らず恋するが、正体を知り抱かない。ガーニムはお尋ねの身となり母と妹ともそれと知らず病院で世話になるが最後は大君に許されたクト・アル・クルブと再会し結婚する。
    「オマル王とふたりの息子の物語」オマル王はシャルルカンという強者の息子がいるが、奴隷のギリシャ女ソフィアに男女双子を産ませる。ロウムへ遠征した際シャルルカンはロウムの国王ハルドゥブ王の娘の強力女アブリザーに助けられ恋する。しかし彼女が来た際オマル王が睡姦してしまい、彼女は国に帰ろうとするも連れた奴隷に殺される。
    シャルルカンは弟たちへの嫉妬の不安を父に打ち明け、ダマスクスの城へ移る。
    双子はメッカへ巡礼へ行きたく父に隠れて向かう途中行方不明になり、弟は釜炊き男に可愛がれ、妹は悪党に捕まるも奴隷としてシャルルカンのもとへ行き様々な王としての心得を語る。シャルルカンと結婚し娘を設ける。
    しかし兄妹であったことがわかり、妹はオマル王の要請もあり王都へ。向かう途中双子の兄ザウ・アル・マカンと再会。そこでオマル王がロウムの魔女の手にかかったことを大臣ダンダンから知らされる。ザウ・アル・マカンは即位し、勇猛なシャルルカンと合流しロウムと戦争で有利に進める。しかし魔女ザト・アル・ダワヒの計略にふたりは騙され、次巻に続く。


    オマル王とふたりの息子の物語がやったら伏線込められ長い。特にイスラーム的な訓話? 混じりの乙女達の語りがちょっとわからなくて低能つらい。 でもその他の部分がやったら面白いからもうどっぷり話の高低に浸たって読めます。

  • 読書日:2014年4月7日-8日
    矢張り一番長い物語だけあってオマル王と二人の息子が印象に残りました。
    父王に可愛がられて成長した兄王子。
    弟王子が生まれてから彼に王位継承を狙われるのではないかと
    疑心暗鬼になります。
    でも兵を挙げてから大事にする様になったので胸を撫で下ろしが、
    他国の王の母であり魔女でもある老婆から殺されはしないかと
    心配で堪りません。
    この兄王子、結婚する前に出自を聞いてから結婚しろよと
    この物語以外の話にも突っ込み所が満載です。

    何よりもこんなにも話を知っているシャーラザットに驚きを隠せません。

  • 268

  • 一回読みかけて挫折
    大学決まったらもっかい読む!

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著者プロフィール

大場正史
一九一四(大正三)年、佐賀県生まれ。本邦初の『バートン版千夜一夜物語』の完訳を遂げたほか、外国文学、性風俗をめぐる多数の著書・訳書を遺した。一九六九年没。ほかの訳書にサド『ソドムの百二十日』、ヴァーツヤーヤナ『カーマ・スートラ』など。

「2022年 『戦争か平和か 国務長官回想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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