自分の頭で考える倫理: カント・ヘーゲル・ニーチェ (ちくま新書 257)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058577

作品紹介・あらすじ

迷惑をかけなければ援助交際はしていい?-YESかNOか、あなたの答えはどっち。自分がよければ何やっても勝手じゃないかと考えるのか、いや、そんな自由は許されないと考えるのか。さらに、自由が一つだけでないとしたら、ホントの自由とは何か?カント、ヘーゲル、ニーチェの思考のエッセンスを手がかりに、不倫や援助交際から民主主義信仰や正義論・国家論まで、困難な時代の生き方を考えるための新しい倫理学入門。

感想・レビュー・書評

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  • まえがき
    「哲学」という謎のむこう
    哲学者はなぜ難解な言葉を語るのか
    固い殻の奥にある〈倫理〉
    第1章 固そうなカントを噛み割って、考える
    1真の自由とは何だろう 
    なぜ私はタバコがやめられない!
    カント先生の重大な罪
    ホントの意味での自由とは?
    2一切を理性の支配下におきたい? 
    性愛は〈不倫〉なのか
    一切を理性の支配下におこうとするカント
    カントの場合はやはり問題だ!
    フランス革命ヘーカントの道徳国家構想
    3二つの自由と権利の根拠 
    アウトローの生きざまへの共惑
    民主主義の危険な可能性—バーリンの二つの自由
    個人の自由権についてカントはどう考えるのか
    人間の本質が理性にあるとしたら
    理性的存在の条件をどう見るか
    4利己主義の倫理とカント主義
    飢餓に苦しむ人々に我々はどうすべきか
    「倫理の話」には懐疑的であれ
    カントの理不尽な要求
    利己主義のホントの意味はこうだ
    カントの「最高善」の思想
    ロールズの『正義論』
    5抑圧される情念のゆくえ
    ライバルを蹴落とすためには手段を選ぶな?
    人間の生態に関するカントのリアルな澗察
    我々にとっての法や道徳の意味を問いなおす
    第2章 しつこそうなヘーゲルをよく噛んで、考える
    1愛と所有の運命 
    愛とはいったい何なのだろう
    若いころのヘーゲル
    とげとげしい人間関係をつくる権利の主張
    権利の思想によって成り立つ社会
    「権利を持つ」ということは、いったいどういうことか
    愛の不可能
    2家族とは何だろう 
    家族の理念とは?
    ヘーゲルの家族観
    家族を破埃するもの
    法と家族の関係
    「擬制の家族」の秩序を選んだヘーゲル
    哲学者の結婚
    3相互承認―法・権利の成り立ち
    愛だけではない、欲求充足の形
    ラーメンが食べたいー日常的な欲求を充たす相互依存システム
    欲求の充足と権利関係
    犯罪ー承認関係の破壊
    4自由主義か、共同体主義か 
    市民社会の掟
    欲求の体系
    迷惑をかけなければ援助交際はしてもいいのかー自由主義vs共同体主義
    では私自身はどういう立場をとるのか
    ヘーゲルの思索からもっと多くを学ぼう
    自由のための自由の制限ーロールズの順番制のルール
    5国家とは何だろう
    国家は国民のためにある
    国家を形骸化するグローバル化の波
    国家と市民社会
    国家に対する態度
    分かちあいの気持ちを起こさせるもの
    第3章 辛そうなニーチェを噛みしめて、考える
    1口あたりのよい「真理」ではなく 
    ニーチェの問い
    別の世界へと連れだしてくれるニーチェ
    ニーチェの民主主義
    2民主主義とは何だろう 
    民主主義がはらむ危険な側面
    価値観と洞察を区別しよう
    民主主義の正義は権力をにぎった多数者によってつくられる
    アテナイの民主主義はどのように誕生したのか
    3民主主義の素性と秘密 
    素性を暴いてはならない!
    民主主義信仰の根拠を疑え
    「統治の仕方を知る者」とはだれか
    専門家とはいったいだれか
    議論の場をつくる
    4世界の見方
    がらりと姿をかえてしまった風景
    ニーチェのパースベクティヴィスムス(遠近法主義)
    5自由な意志はあるのか
    なぜニーチェは自由意志を信じることが誤りだというのか
    行為者自身によっておこなわれる解釈の操作
    我々の行為は無意識の情動に原因を持つ
    N世界にも通用する道徳の可能性
    共同体追徳の評価法
    6どういう掟にしたがえばよいのか
    ニーチェが提唱する新しい価値評価
    「自律」の思想とニーチェ
    7自分を「運命」として愛する
    肉体こそ本来的な自己
    運命愛の思想
    一切の事物は鎖で、糸で、愛で、つなぎ合わされている

  • カント的な自由を不可能だとし、ニーチェの洞察と価値観から倫理を考える。かなり身近で具体的な例えを用いているので、それにうなずけるかによっても見方が変わりそう。軽く流しただけなので、もう一度読み直したい。

  • 雑学のネタとして、哲学のことも知っておかなくちゃな、と思って読み始めた1冊。

    カント・ヘーゲル・ニーチェを通して、自由とは何かということを、身近な事例を挙げて理解するように書かれてる。だが身近な事例を出しても結局は専門用語の連続や小難しい表現になってしまっているのが残念である。
    哲学は常に歴史とともに発展してゆくことにも気づけた。

  • 図書館ですごく適当に借りた本。えっと、つまらなかった。読んだのが大分前なのであまり覚えていないのだけれど。
    一冊で三人も扱えばまあ仕方がない側面もあるだろうけど、それにしても浅い。突っ込んで欲しいところに全く突っ込んでくれず、特にカントの扱いが酷かった覚えが。その先は「自分の頭で考え」ろってことなんですかな。

  • 2007/1/16  苦しい。自分の頭で?考えられない。・・・仕事ゆえ。

  • 読書中。

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著者プロフィール

笹澤 豊(ささざわ・ゆたか) 1950年茨城県生まれ。東京大学文学部卒業。筑波大学哲学・思想研究科修了(文学博士)。現在筑波大学名誉教授。主な著書に『ヘーゲル哲学形成の過程と論理』(晢書房、1983年日本倫理学会和辻賞受賞)、『道徳とその外部』(勁草書房)、『自分の頭で考える倫理』(ちくま新書)、『小説・倫理学講義』(講談社現代新書)、『哲学史の劇場』(筑波大学出版会)などがある。

「2021年 『〈権利〉の選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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