教育改革の幻想 (ちくま新書 329)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059291

感想・レビュー・書評

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  • 「ゆとり」とは、誰にとってのゆとりか。勉強しない子がますます勉強しなくなる。子供中心主義の幻想。自由に好きなことができる授業→喜ぶのは勉強がほとんどわかっていない生徒であった。教育改革って、その時代の子供への実験みたいなものだな。ゆとり世代と言われる私達は、まさしく被検体だったわけである。ならば一層、今後の教育がどうあるべきか私達は考えていかなければならない気がする。教育ってほんとに大事だと思うんだけど、大事にするべきところとその周辺にあるものがごちゃ混ぜになってる。学力に焦点を当てるのか、楽しい授業に焦点を当てるのか。楽しい授業、ほんとにそれは楽しいのか。なにが残るのか。なにも残らないのか。

  • さまざまなデータをあげて、教育改革に伴う「ゆとり教育」の結果について論じている。「ゆとり」によって何をどう変化させたかったのか、という当初の目的と、「ゆとり」によって何がどのように変化したのか、という結果を対比させて問題点と効用について論じているのはとても興味深かった。教育者としてのハートも感じられて、良い本だなとおもった。

  • (「BOOK」データベースより)
    二〇〇二年度より新学習指導要領が実施される。この要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」であるが、この教育方針は本当に子どもたちのためになり、学校を再生するに足るものなのか?また、受験や詰め込み教育は本当に罪悪なのか?さまざまなデータを検証し、教育と日本社会のゆくえを見据えて緊急提言する。

  • 「受験地獄」のうそ。

  • ゆとり教育世代の私たち。
    ゆとり教育がもたらした「学力低下」は、一体誰の学力を下げたのか。
    学校で学ぶ時間と量は少なくなっても、受験のレベルは変わらない。
    そこで起こる問題は、学校で学べなくなったことを、学校以外の場所で学ぶこと。
    しかしそれは誰にでも出来ることではない。
    経済資本の豊かさが、直接教育資本の豊かさへとつながってしまうのだ。

    ゆとり教育にひそむ問題に、これからも注目していきたいと思う。

  • [ 内容 ]
    二〇〇二年度より新学習指導要領が実施される。
    この要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。
    これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」であるが、この教育方針は本当に子どもたちのためになり、学校を再生するに足るものなのか?
    また、受験や詰め込み教育は本当に罪悪なのか?
    さまざまなデータを検証し、教育と日本社会のゆくえを見据えて緊急提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 教育の制度疲労(政策担当者の問題把握 これまでの教育改革の成果 ほか)
    第2章 「ゆとり」と「新しい学力観」「生きる力」の教育(「ゆとり」をめざす教育の問題認識 「新しい学力観」と「生きる力」の教育 ほか)
    第3章 「ゆとり」のゆくえ―学習時間の戦後小史(子どもの「ゆとり」は奪われてきたのか 「勉強の時代」の復活―勉強のしすぎはゆとりを奪ったのか ほか)
    第4章 「子ども中心主義」教育の幻惑(「ゆとり」と「生きる力」をつなぐ論理 「子ども中心主義」の教育 ほか)
    第5章 教育改革の幻想を超えて(手段を欠いた理想のゆくえ 現実と理想のコントラスト ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 教育基礎論のレポート用に読んだ。

  • 「生きる力」を目指す新教育課程(ゆとり教育)であるが、好ましいと私は思わない。「受験教育」や「詰め込み教育」からの解放を謳っているがそれは役所の偉い人が陥っていた状態でマスが感じている部分ではない。むしろ、上流階級の子どもは少子化といえどさらなる受験戦争に巻き込まれているように思われる。「ゆとり」なんて感じられない。勉強の不得意な子どもはさらに勉強しなくなり格差の温床になっている。子どもの主体性を重んじるのはいいことだが家庭や社会階層を考慮しないのは言語道断だと思った。「総合的な学習の時間」は自分が行った事を振り返ってみてもたいしたことはやっていなかった。現場の教師に内容を決めさせるのはいいが意味の無い学習だったなと個人的に感じる。私がそう感じるのだから世の中みんな感じているのだろう。早く元の教育課程に戻ってほしいの一言に尽きます。

  • データを紹介する要素がすごく強く、何か結論が出ているような本ではなかった。02年でまだ教育改革が始まったばかりだったのでしょうがない気もする。

    08.12.31追記
    教育のことを考えるならば、もっと冷静に過去の制度と現在の制度を分析してから議論する必要がある。
    具体的な解決策はきちんと書かれてはいないが、私たちの認識の甘さがよく見えてくる内容になっている。
    「なんとなく不安…」そんな理由で改革を叫ぶようなことはしてはいけない。

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著者プロフィール

オックスフォード大学教授

「2023年 『新・教育の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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