経営戦略を問いなおす (ちくま新書 619)

著者 :
  • 筑摩書房
3.82
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本棚登録 : 942
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063229

作品紹介・あらすじ

世の大半の企業は、戦略と戦術を混同している。成長第一で事業を拡大したのに何の利益も出なかった、という企業が少なくない。見せかけの「戦略」が、企業の存続を危うくする。目指すべきは、長期で見た利益を最大化することである。それを実現する戦略はマニュアル化になじまず、突き詰めれば人に宿る。現実のデータと事例を数多く紹介し、腹の底から分かる実践的戦略論を説く本書は、ビジネスパーソン必読の書である。

感想・レビュー・書評

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  • わかりづらい。ポイントとして重要な点もありそうだがそもそも読み進められず。

  • 経営戦略の大家である神戸大学の三品先生著の新書です。三品先生といえば、『戦略不全の論理』『戦略不全の因果』が有名ですが、読むのに気合が入ります。その点、こちらは新書なので、ハードルは低い。しかし新書といっても侮ることなかれ。かなり骨太です。

    個人的には第5章の『修練』が痺れました。学生、若手社会人、経営幹部に向けた熱いメッセージが書かれていました。三品先生のもとで学べた学生さんは幸せですね。

    ・人間観、世界観、歴史観、事業観を養う必要性
    ・仕事から逃避しないこと
    を学べました。

    【メモ】
    ・戦略の目的は長期利益の最大化にある
    ・優れた企業は成長を目的としない
    ・経営戦略の真髄はシンセシス(統合)
    ・戦略は頂点に座す人に宿る
    ・経営層における人材の集中と選択が必要
    ・優れた管理者が優れた経営者とは限らない
    ・経済史と経営史を学べ
    ・経営者を目指すなら精神の自立が必要

  • ■ひとことで言うと?
    広く深い「観」を身につけることが良い経営戦略につながる

    ■キーポイント
    - 経営戦略はアートに近い
    - ✕ 汎用的・拡大的・客観的、○ 限定的・選択的・主観的
    - 戦略は人に宿る
    - 受動的戦略観
    - 経営者の下す判断の傾向(スタイル)が戦略になる
    - 判断にはその人の「観」が反映される
    - 「観」を養う
    - 観=情報解釈の土台(フィルター)
    - 世界観・人間観・歴史観を土台として事業観がある
    - 「観」を養う ≒ 視野を広げる → 選択の幅が広がる ≒ より良い選択ができる可能性が高まる

  • 経営者は、戦略とどう向き合えばよいのか?時々刻々と変化する状況に、いかに対応すればよいのか?経営戦略の専門家が、一般論ではない、実践的な戦略論を指南する書籍。

    戦略の核心をなすのは、次の3つ。
    ①立地:事業を構える「場所」。需要があって供給が少ない立地が望ましい。
    ②構え:立地以外の、後からでは簡単に変えられない要素。小売業でいえば、店の基本設計や、商品の展示密度など。
    ③均整:会社全体のバランスを取ること。すべてが無駄なく稼働するよう、ボトルネックを解消する。

    戦略は、不確定な未来に立ち向かうための方策である。想定が崩れた時、新しい展開にリアルタイムでどう対処するか、それが結果として戦略になる。その判断を下すのは、経営者。

    予想外の展開に対処する時、次の3つ(KKD)が判断のベースとなる。
    ・観:人の受けた教育を投影するモノの見方。「世界観」「歴史観」「人間観」の集大成として、自ら営む事業の見方、「事業観」ができ上がる。
    ・経験:不確定な未来に立ち向かう時、答のない問いに取り組む時、自らの経験が拠より所になる。
    ・度胸:戦略は理詰めで解けるものではない。不確定な未来に向けて手を打つ以上、最後は思い切りが必要である。

    人が替われば、戦略が変わる。企業は、外部の人材を登用するなど、人選により戦略を間接的に選ぶことができる。

    人を選ぶ際は、「パーソナリティ(性格、人柄)」や「キャラクター(品性、人格)」ではなく、「テンパラメント(気質、感受性)」を基準にする。これは、人が何を楽観し、何を悲観するかを決めるものだ。そういうテンパラメントが、経営者の「観」の形成を左右する。

  • 経営はアートかサイエンスかというのは良く取り沙汰されてる問題だけど、この本はアート、しかも経営者の手腕が大きく作用するとして、ポジショニングしているのが面白い。その中で、経営に携わる上では人生観が必要というのも納得感ありつつも、グレイヘアコンサル的な一昔前のコンサルならまだしも、現代のコンサルティングの現場にそれを持っていくのはなかなか難しいなと思う。一方でコンサルタントとして大成するにはかなり重要な観点だなと長期的な自分の勉強プランにもかなり影響があった。

  • 立地・構え・均整のイメージはわかりやすい

  • 第1章 誤信
    いつでも誰でも戦略?
    何が何でも成長戦略?
    戦略はサイエンス系?

    第2章 核心
    立地
    構え
    均整

    第3章 所在
    戦略は部課長が考えろ?
    我が社には戦略がない?
    戦略は観と経験と度胸!

    第4章 人材
    企業は人選により戦略を選ぶ
    傑物は気質と手口で人を選ぶ
    人事は実績と知識で人を選ぶ

    第5章 修練
    文系学生に送るメッセージ
    中堅社員に送るメッセージ
    幹部社員に送るメッセージ

  • すごい会社があるわけではなく、すごい経営者がいるだけのこと。戦略は作るものではなく人に宿る。

  • これから

  • 神戸大学の三品さんの新書。ちくま新書で10年後も色褪せないビジネス教養という特集があり購入。10年前の本ではあるけれど、全く古びておらず戦略の要諦を簡潔に捉えた新書であると思う。戦略とは分析的な行為ではなく総合であり、サイエンスではなくアートである。ただし、単に感覚で行うものではなく、状況や事業観から立地と構えを最適に配置する力が求められる。
    エクセレント・カンパニーは会社がエクセレントなのではなく、その時の経営者がエクセレンスというのはそのことの証左であり、優れた経営者がいるときにその会社の業績は伸びる。また、優れた経営者は単に拡大路線を取るのではなく、利益が上がる市場を選択していることも特徴。
    日本から創業者以外に優れた経営者が生まれにくいのは、管理職の延長線上に経営を捉えているからであり、経営人材は管理職とは別に育てなければならない。アメリカの経営者がMBAホルダーが多いのは、高い学費を払ってまでMBAを取ろうという人は自分に経営者資質がなければそのリスクは取れないためであり、管理職タイプと経営者タイプを峻別するよいシステムになっている。日本の場合、企業が資金援助してMBAをとるタイプが多く必ずしも経営者に向いた人材がMBAをとっているかというと疑問なところではある。
    また、海外の経営者は深く広範なリベラルアーツ・歴史の知識があり、その深さから物事を判断する能力を身につけている。その点、薄っぺらい教養しか持ち得ていない日本の経営者との違いでもある。
    いずれにしても、経営とは管理とは違うということ、コンテキストを読み、適切に立地・構えをつくること。ブルーオーシャンを見つけるか、利益が出る構造を作れるか。これが戦略の要諦ではある。いよいよ難しい。

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著者プロフィール

三品 和広(ミシナ カズヒロ)
神戸大学大学院経営学研究科教授
1959年愛知県生まれ。82年一橋大学商学部卒業。84年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、89年ハーバード大学文理大学院企業経済学博士課程修了。同年ハーバード大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授等を経て、現在、神戸大学大学院経営学研究科教授。

著書:
『戦略不全の論理』(第45回エコノミスト賞、第21回組織学会賞(高宮賞)、第5回日経BP・BizTech図書賞受賞)
『経営は十年にして成らず』
『経営戦略を問いなおす』
『戦略不全の因果』
『戦略暴走』
『総合スーパーの興亡』
『どうする? 日本企業』
『リ・インベンション』
『高収益事業の創り方(経営戦略の実戦(1))』
『市場首位の目指し方(経営戦略の実戦(3))』
『モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法』
『デジタルエコノミーと経営の未来』(共著)
『信頼とデジタル』(共著)

「2022年 『企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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