モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492762240

作品紹介・あらすじ

■ 嫌になるほど圧倒的なアメリカのイノベーション。
  でも、虚心坦懐にその歴史に学べば、対抗策が見えてくる!

世界を席巻した「メイド・イン・ジャパン」。

あの圧倒的な存在感は完全に消えてなくなり、
モノ造りは新興諸国に、ネットの世界はアマゾンやグーグルを擁する
アメリカに、完全に押さえられてしまいました。

おいしいところは諸外国に奪われ、「メーカー」として、
ニッチな市場で生きていくしかないのか?

いや、そんなことはありません。

まだ世界に出て行くことはできます。

その構想を示すのが、本書です。

■IoTとも、インダストリー4.0とも違う、
次世代のコンセプトで 本当の日米逆転に挑む!

インターネットの世界では、ボトルネックは
情報を「ひきあわせる」ことにありますが、それを
追求していくと、プライバシーという問題に突き当たります。

このプライバシーの問題を解消しつつ、
インテリジェント・ソサエティの構築に
貢献する1つの方法が、センサーネットです。

日本は、センサーをつくる技術は世界に誇るものがあります。

必要なのは、それをどうつなげ、システム化し、
プラットフォームにもっていくか、という構想力です。

インテリジェント・ソサエティの到来を迎え、IoTとも、インダストリー4.0とも
違う、日本独自の構想をどう打ち出していくか。

その大きなヒントが、本書にあります。

感想・レビュー・書評

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  • 日本版ムーンショット
    大量生産・大量消費の先にあるフェーズで、日本が米国と互角に戦うための再興構想。

    前半は米国の歴史で、背景・前提・目的(why)にあたる部分。後半は日本再興の内容でタイトルのとおりセンサーネット構想。(whatとhow)
    前半はいつもどおり圧巻の内容で、既知のことも新しい観点も刺さる刺さるが、後半は尻すぼみ感が否めない。こちらの理解力と知識不足は否めないものの、他の著書である「どうする〜」や「戦略不全シリーズ」と比べると物足りなさ(≒so what感)がある。よって★4つ。

    それでも特に前半部分で学べる点は多々あり、ポスト資本主義・ポストインダストリアル(規格大量生産・大量消費)では、データとムーンショットの時代であることを突きつけられる展開になっている。データを押さえたプラットフォーマー、AmazonやGoogleはリッツ・カールトン並みのカスタマイズサービスを一般消費者に行える。しかも彼らは、とてつもなく大きな目標に挑戦していることから、ファンや理解者が多い。D2C風にいうと、世界観がある。もちろん機能も圧倒的なのだが…(そんな彼らを前に、既存の枠組みで真面目にコツコツやることを正義とする日系企業に未来はない、と思えてしまう、と筆者はいう)ハートドリブンやD2Cともリンクする内容があるからこそ、前半部分はインパクトがある。

    ■前半:米国が今日まで辿った経緯(背景)
    ①元祖ムーンショット イギリス超え
     エリー運河とウォールストリートの歴史
     ⇒米国の源流をたどる
    ②規格大量生産の始まりと大量消費
     フォードの功績と普及後の限界
     計画的陳腐化や広告による大量消費(マス)
    ③現代版ムーンショットとインターネット
     モノ造り→引き合わせのビジネスへ
     データを握るプラットフォーマーに何日も長あり

    ■後半:再興戦略 センサーネット構想
     ④センサーネットとは
     ⑤戦略/組織/座組み

  • センサーの時代が来るかも。ただ人が直接使うというより、間接的に無意識に関わるものなのであり、ある程度のインフラ費用がかかることを考えると爆発的な広がりは難しいようにも思う

  • センサーネットとサービスが協調してエコシステムを作り上げていく、それらを説得力のある議論展開ですすめている。
    そのポテンシャルが日本にあるということをおしえられた気がして、非常に勇気付けられた。というか、今しかそのタイミングがないというべきか。

  • ■書名

    書名:モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想
    著者:三品 和広、センサー研究会

    ■概要

    グーグル、アマゾン以後の世界で、日本企業がもう一度表舞台に出
    るために必要なこと。日米再逆転の戦略。IoTとも、インダストリー
    4.0とも違う、次世代のコンセプト。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    なし

  • 神戸大の三品教授の本。経営関係の学者や識者のなかでも、
    氏の書籍は、いつもわかりやすく、面白いと思います。
    今回はIoTというかセンサーを使ったセンサーネット構想。
    最近なんでもかんでもIotという言葉をつけたがる
    傾向があるような感じがしますが、
    Iotというよりもセンサー技術。センサー情報の活用が
    今後重要な意味合いを持つことに関しては非常に共感
    というか同意できる内容です。

    さらに、googleyaやAmazonなどの欧米Bigの強みは
    個人属性情報の蓄積によるもの。であるが故に、
    その裏側にプライバシーの問題があり、それが彼らの
    アキレス健になる可能性があること。また、それらを
    鑑みて、プライバシーから完全に切り離した
    センサーネットは、インテリジェント。ソサエティー
    の立役者になる可能性があること。など、なるほど
    というか、納得できる事項が多くあったものと思います。

    個人を特定せずに、あらゆるセンサー情報を蓄積し
    そのBigデータを販売(売り子)のみに活用するのでは
    なく、本当のITスマート社会を作っていく基盤に
    できるということ。
    さらにセンサーを取り込んだbigデータは、いままでに
    論じられてきているボリュームをはるかにしのぎ、
    そのデータを分析することで、今までのように
    因果関係を推測するようなデータ分析ではなく、
    疫学的なアプローチから課題を解決できるような
    本来のBigデータ分析が可能となること。
    これらから言わずもがなセンサーネット構想の重要性が
    理解できるものと思います。
    ただ、最終章を中心とした、ではどうやってセンサー
    ネット構想を日本においてそれを実現し、世界の
    先進を走れるようになるのか。という方法論については
    すこしありきたりの内容であったような気がします。
    方法論は、そんなにスマートな解決方法はなくやはり
    地道な正攻法な方法論しかないのかも、とも思います。

  • 三品先生はやはり読ませる。枝葉にも教訓が読めたりする。けど、この本題は本当に大丈夫なんだろうか。私の理解力が足りていないだけなのだとしたらよいのだけど…

  • 三品先生の提唱するビジネスモデルと言うことで期待したのだが、あまりにありきたりな結論で拍子抜けした。
    センサーをインターネットに接続しない必然性に疑問が残る。データの不正な改竄を防ぐためにプライベートネットワーク化するならまだ解る(それも技術的には対応可能だろうが)。が、センサーが集めた情報に個人情報を乗せないことは制度設計次第で可能だ。そもそも街角に置かれた近接センサーの信号に一体どんな個人情報があると言うのか?
    もしGoogleなどの既存IT巨人の参入障壁がこれだけなら、非常に脆い計画と言わざるを得ない。

    国の規制等でこの問題が解決されたとしても、次なる問題は誰がイニシアチブを取ってインフラ整備に投資するかだ。移動体通信会社ならやれそうな気もするが、彼らは囲い込み文化が強すぎて求心力に欠けると思われる。そうすると国がやるかと言う話になるが、過去の官製コンソーシアムの例から明らかなように、参加会社の利害が衝突して中途半端なものしかできない気がする。
    とは言え、新しい事業を広い視点で構想する時の考え方が綺麗に整理されており、この手の仕事をしている人には一読の価値あり。

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著者プロフィール

三品 和広(ミシナ カズヒロ)
神戸大学大学院経営学研究科教授
1959年愛知県生まれ。82年一橋大学商学部卒業。84年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、89年ハーバード大学文理大学院企業経済学博士課程修了。同年ハーバード大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授等を経て、現在、神戸大学大学院経営学研究科教授。

著書:
『戦略不全の論理』(第45回エコノミスト賞、第21回組織学会賞(高宮賞)、第5回日経BP・BizTech図書賞受賞)
『経営は十年にして成らず』
『経営戦略を問いなおす』
『戦略不全の因果』
『戦略暴走』
『総合スーパーの興亡』
『どうする? 日本企業』
『リ・インベンション』
『高収益事業の創り方(経営戦略の実戦(1))』
『市場首位の目指し方(経営戦略の実戦(3))』
『モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法』
『デジタルエコノミーと経営の未来』(共著)
『信頼とデジタル』(共著)

「2022年 『企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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