コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書) (ちくま新書 800)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065018

作品紹介・あらすじ

戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか-この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生のとき以来の広井先生。今も精力的に色々書いてる先生ですが、この本は先生の中心テーマというか関心の盛合わせ基本テキストという感じがしますね。農村型と都市型、都市論や地域に根付いた福祉のあり方など面白く読みました。日本のコミュニティの文脈を語るのに独我論まで持ち出したのはどうかと思いましたが。地球の環境上の限界という制約こそが先生のいう普遍的な価値規範になるのか、あるいはよりローカルなレベルでの価値が成り立ちうるのか。そこが「定常型」という社会のあり方が可能かどうかの分水嶺なのでしょうか。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/429551

  • 361-H
    小論文・進路コーナー

  • コミュニティを問いなおす

    非常に面白い本であった。改めて広井先生の社会福祉論の面白さに触れた。前半は増田四郎などに触れ、中世ヨーロッパの知見を援用し、社会学的な考察を行ったのち、広井先生の持論であるストックの再配分などに触れ、最後に多様な人々を結びつける共通基盤としての思想、哲学に議論が及んでいく。1冊の本の中で3冊分の知見を得たような気もする。

    前半の日本社会論は非常に明快であり、個人的にも納得した。社会には都市型と農村型、テンニースの言うゲゼルシャフトとゲマインシャフト的な二分法がある。都市型は異なる人々が、規範をもとに個人をベースにした公共性の高いコミュニティを形成する。一方、農村型は情緒的なつながりであり、ある意味で自他の隔たりが緩い共同性の高いコミュニティである。日本はどうかと言えば、戦後の日本では急速に都市化が進んだものの、実は都市化されたのは外観だけで、中の人々はカイシャという農村型コミュニティで温存されてきた。そういった意味で、日本には都市型コミュニティは未だにない。家庭と終身雇用の会社を行き来し、情緒的なつながりを基調に生きる一方で、一歩その外にでると、他人とは全く話すことはない。コンビニで店員と談笑しているような人はあまり街では見かけないのである。そう言った意味で、日本社会が閉鎖的と言われるゆえんは未だに確立した個人と個人の公共的な触れ合いというものがほとんどないからである。街中で人々が道徳的にふるまうのは、近所の誰かが見ている可能性があるという意識であり、決して公共性や規範によるものではない。これまでの日本は拡張され、引き伸ばされたウチがあり、結局のところ相手の個性を認めたうえで対等にコミュニケーションするというソトのコミュニティはないのである。ここが前半の面白い部分であった。さらに、少し話はずれるが高齢者と子供は土着性が強いゆえに、これからの社会は高齢者比率が高くなるにつれてより地域性が重要になるという考察も頷けた。

    また、2章ではコミュニティの意味や目的について話が上がるが、「コミュニティは外部と接するためにある」というキーワードが興味深かった。古来よりコミュニティが存在する場所は、寺院・神社、学校、商店街、公園、介護・医療関連施設であるが、寺院・神社は死者(彼岸)の世界という外部を持ち、学校は新しい知識と言う外部を持つ、商店街は商行為を媒介とした他のコミュニティとの接点であり、公園は自然と言う外部がある、最後に介護・医療関連施設は老い・病という外部をもつ。今あるコミュニティには外部が存在するという知見はこれからコミュニティを形成する上で、何を外部とするかという形で落とし込みができるのではないかと考えた。企業も、何を外部(社会課題・ペイン)とするかを設定し、それを解決することを企業理念とするという形で考えればコミュニティという意味では分かりやすい。

    中盤では、フローの社会保障からストックの社会保障というテーゼが打ち出されている。これまで私が触れてきた社会保障論では税や社会保険を財源に、困窮者に手当や保険金を支払うというフローでの思考が非常に多かった。一方で、住環境であったり、初期の教育環境というストックにより注目することで、都市計画などの別の形での社会保障論が垣間見える点は非常に面白かった。
    日本はヨーロッパなどに比べて圧倒的に公営住宅というものが少ない。実際に家計をやりくりしてみてわかることであるが、福利厚生で考えてみてもいくら住宅手当と言うフローの保障があったとしても、社宅のようなストックでの供給の方がありがたい。今では社宅など死後に近いが、困窮している層に対して、住環境のストックでの保障というものは、今後高齢化が進む中でどうしてもフローの社会保障論では限界がくる中で、有益な視点であると感じた。再分配という文脈でもストックへの注目はしかるべきであろう。これまでの修正資本主義の考え方では、最初は自由経済でどんどん進めて、ひずみが出れば解決するというものであった。しかしながら、昨今では教育環境やそもそも家を持っているか否かなど、機会の不平等が進んでいる。そう考えた場合、フローへの課税だけでなくストックへの課税をもとにしたストックでの再分配は今後のトレンドとならざるを得ないと考える。
    また、人生前半の社会保障という考え方もストックへの社会保障という考え方の一つの面白い視点である。これまで、人生におけるリスクは退職後という人生後半に集積していた。それは、終身雇用と核家族という強固なセイフティネットにより、見えない社会保障が機能していたからである。しかしながら、終身雇用も現在では崩れ始め、さらに人々はどんどん孤独化していっている。もとい、失われた30年とは、終身雇用は限界を迎えているのにもかかわらず、非正規雇用という外部を生み出すことでギリギリ終身雇用を維持してきた期間であった。その間に、非正規雇用は終身雇用のような見えない社会保障から外れ、非正規雇用は消費することもなく、さらには金銭的な理由から結婚もできずに孤独化していくという道筋をたどってきた。非正規雇用という外部と、正規雇用の流動性の低さという日本労働社会の潮流は、2021年の今まさに変化を迎えようとしている。同一労働・同一賃金や厚生年金への一部の非正規雇用者の適用など、一度セイフティネットから外れた人々を、なんとかより戻そうという流れがきている。それは、一方で正規雇用の流動性の向上により、むしろ労働市場はストック的な思考からフロー的な思考へ変化して言っている。その意味で、この本が書かれた2009年からさらに日本は沈み、過渡的な状況にあるともいえる。

    また、最近、脱・成長という言葉も流行っているように思えるが、広井先生はかなり昔から定常経済の概念を提唱していたと記憶している。今後、経済成長が止まっていく中で、成熟した社会を構想する上では、空間への志向が考えられる。なぜなら、これまでの経済成長は時間への志向であったからであろう。今日よりも明日の方が経済が成長するという基盤のもと、現在価値や将来価値という言葉は金融論の初歩的な言葉としてカウントされてきた。今の1万円は1年後の1万円よりも価値が高いのである。しかしながら、定常社会では今の1万円も1年後の1万円も価値は同じなのである。ここに、時間が価値を生むという根本的な原理が通用しなくなり、人々は時間への興味を失っていくと考えられる。そうした場合、時間の対概念である空間の比重がこれまで以上に重要視されるのではないかということが広井先生の提言である。

    終盤ではかなり歴史的・哲学的な話に広がっていく。これまでに歴史を概観するに、定常化と成長のサイクルを広井先生は見出している。そして、キリスト教や仏教、ユダヤ教などの世界宗教の多くは定常化した状態で勃興する。そこには、物質的な拡大から内面への深化、際限なき欲望の抑制という宗教的・哲学的な思考が深まるのは、拡大や際限なき欲望がかれ果てた定常化した社会なのである。今後、定常化した社会の中で、自省的で内面的な思考がトレンドとなるということは文化的な側面でも考えられるであろう。一方、もう一つの見方とすれば、空間的な拡大の果てに多様な人々をむずびつける共通基盤が必要となり、そこには長い時間軸を持った宗教的・普遍的な思考が不可欠であったという見方もある。いずれにしても、今後の文化は普遍性の高い概念への深化のフェーズを迎えているのであろう。

  • 科学、宗教、人類史から各国の政策、自治体アンケートまで幅広い内容で、時間~空間、ソフト~ハードと視点が切り替わりついていくのが大変だった。
    日本の経済や社会に関する本は、同じようなことを違う切り口で述べていることに気づく。
    高度経済成長期の功罪とか急激な都市化、そして歴史的に普遍的原理が不存在であること。経済や社会保障、生き方などに価値観の転換が求められていることなど、この本でより大きな視点から再確認できた。

  • 著者の関心が幅広い。論旨を追うのも大変な本だった。

    【書誌情報】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体920円+税
    Cコード:0236
    整理番号:800
    刊行日: 2009/08/05
    判型:新書判
    ページ数:304
    ISBN:978-4-480-06501-8
    JANコード:9784480065018

    戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか――この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである。
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480065018/


    【目次】
    目次 [003-008]

    プロローグ コミュニティへの問い 009
      現在の日本社会とコミュニティ
      経済成長とコミュニティ
      農村型コミュニティと都市型コミュニティ――「つながり」のあり方
      人口構造という要因と地域コミュニティ
      人間にとってコミュニティとは何か


      第1部 視座 029

    第1章 都市・城壁・市民――都市とコミュニティ030
      「都市」の意味するもの――都市と関係性
      「集団が内側に向かって閉じる」
      関係性の進化
      ハードあるいは空間面における「都市」
      「都市」とその“外部”
      「市民」という概念
      団体としての都市
      都市という「まとまり」――西欧中世都市の二つの型
      市民あるいは都市の排他性?


    第2章 コミュニティの中心――空間とコミュニティ 066
      「コミュニティの中心」という視点
      コミュニティ政策に関する市町村アンケート調査
      「コミュニティの単位」――日本における地域コミュニティの原型とは
      地域コミュニティづくりにおけるハードルと展望
      「福祉地理学」――空間化の時代におけるミッション型コミュニティと地域コミュニティの融合
      「空間化するケア」
      「コミュニティの中心」の進化
      福祉・環境・スピリチュアリティそして大学――ポスト産業化の時代における「コミュニティの中心」
      “外部への窓”としての「コミュニティの中心」


    第3章 ローカルからの出発――グローバル化とコミュニティ 094
      「公‐共‐私」をめぐる構造の歴史的変容  工業化時代における「国家」への収斂
      経済構造の変化と「最適な空間的単位」の変容
      金融化・情報化とその先
      ローカルからグローバルへの役割分担
      時間的な解決から空間的な解決へ――再び「福祉地理学」について


      第2部 社会システム 115

    第4章 都市計画と福祉国家――土地/公共性とコミュニティ 116
    1 福祉国家と都市計画の国際比較 118
      北欧――「公」(政府)中心のシステム
      大陸ヨーロッパ(特にドイツ)――「共」(コミュニティ)的基盤と「公」
      アメリカ及びイギリス――「私」(市場)中心のシステム
      日本――折衷型システムと「公共性/都市」をめぐる課題
    2 歴史的展開における福祉国家と都市計画 127
      第一期:近代化・市場経済の浸透と私的所有権……一八〜一九世紀
      日本における展開――「土地の公共性」をめぐって
      第二期〔産業化前期〕:急速な都市化と「近代的都市計画」&社会保険……一九世紀後半〜二〇世紀前半
      第三期〔産業化後期〕:ケインズ政策・福祉国家の時代とその変容……二〇世紀後半
      第四期:経済の成熟化・定常化と福祉政策・都市政策


    第5章 ストックをめぐる社会保障――資本主義/社会主義とコミュニティ 145
      「ストックをめぐる社会保障」とは
    1 これからの社会保障政策 147
      福祉国家の方向性 
      事後から事前へ――福祉国家の意味
      定常型社会と「市場経済を超える領域」の生成
      フローからストックへ
      「公‐共‐私」をめぐるダイナミクス
    2 ストックをめぐる格差と土地・住宅政策 161
      ストック(資産)をめぐる格差の動向
      自治体に対する土地・住宅政策に関するアンケート調査
      土地・住宅に関する重要課題
    3 福祉政策と都市政策の統合――「持続可能な福祉都市」へ 172
      「人生前半の社会保障」の強化
      住宅の保障機能の強化
      公有地の積極的活用の社会化へ
      「福祉都市」の視点
      空間格差や社会的排除を生みにくい都市のあり方
      課税・財源のあり方


      第3部 原理 203

    第6章 ケアとしての科学――科学とコミュニティ 204
     「現代の病」への対応――医療技術とケアをめぐる議論
      様々なケア・モデル
      個体を超えた人間理解とコミュニティ
      様々な試み――社会的関係性への注目
      現代科学は「古人の知恵」に還る
      近代科学の展開とコミュニティ
      情報・生命・コミュニティ

    【付論】人間の意識とコミュニティ 226


    第7章 独我論を超えて 229
      独我論という主題
      独我論と「普遍的な価値原理」
      対応のあり方――「生きづらさ」をめぐって
      二つの「社会」
      日本社会のありよう
      普遍的な原理が個人をつなぐ「通路」になる


    終章 地球倫理の可能性――コミュニティと現代 251 
      普遍的な思想の同時多発性
      異なるコミュニティを「つなぐ(橋渡しする)」思想
      「普遍的な思想」の「多様性」と“リージョナルな住み分け”
      なぜこの時代に「普遍的な原理」を志向する思想が生まれたのか
      文明の成熟化・定常化と規範原理
      「定常化の時代」としての現在――精神革命期との同型性と差異
      「地理的多様性」を組み込んだ思想
      おわりに――コミュニティと時代構造


    参考文献 [281-286]
    あとがき(二〇〇九年 新緑の八ヶ岳山麓にて 広井良典) [287-292]



    【図表一覧】
    図1 経済システムの進化とコミュニティ 013
    表1 コミュニティの形成原理の二つのタイプ 016
    図2 先進諸国における社会的孤立の状況 018
    図3 人口全体に占める「子ども・高齢者」の割合の推移 019
    図4 コミュニティをめぐる構造 025


    表2-1 都市の歴史的変容 069
    図2-1 「コミュニティの中心」として特に重要な場所 072
    図2-2 「地域コミュニティの単位」として実質的に特に重要なもの 075
    表2-2 地域コミュニティづくりにおける課題・ハードル 079
    図2-3 地域コミュニティづくりにおける課題・ハードル(人口規模別) 080
    図2-4 経済システムの進化と「コミュニティの中心」の変遷 086


    表3-1 近代システム以降におけるローカル‐ナショナル‐グローバルのガバナンス構造の変容 095
    図3-1 社会資本整備のS字カーブ 101
    図3-2 経済システムの進化と定常型社会 105
    表3-2 ローカル〜グローバルの重層構造と主要領域での役割分担・課題 106
    表3-3 異なる地域における問題・課題と「資源」・“魅力” 108


    表4-1 福祉(社会保障)政策と都市関連政策の国際比較 118
    図4-1 社会住宅の割合の国際比較 122
    図4-2 社会保障給付費の国際比較(対GDP比、2005年) 123
    表4-2 都市のタイプと公平性 142


    図5-1 経済社会システムの進化と“富の源泉”及び税制 156
    図5-2 「公‐共‐私」をめぐる構造変化 157
    図5-3 所得と資産に関するジニ係数の動向 162
    図5-4 土地・住宅に関する重要課題(市町村) 165
    図5-5 土地・住宅に関する重要課題――人口規模別 166
    図5-6 高齢者や低所得者等に関する住宅の確保をめぐる近年の状況――人口規模別 168
    図5-7 公営住宅についての今後の方針 169
    図5-8 公営住宅についての今後の方針――人口規模別 170
    図5-9 「人生前半の社会保障」の国際比較(対GDP比、2005年) 175
    図5-10 公的教育支出の国際比較 175
    表5-1 土地の所有主体別面積 182
    図5-11 経済格差と空間格差 193
    表5-2 「持続可能な福祉都市」のイメージ 196
    図5-12 不動産に対する課税水準(対GDP比)の国際比較(2002〜04年平均) 197


    表6-1 15〜44歳の病気の負担(burden of
    disease〔in DALY:Disability-Adjusted Life Years〕)の主要要因(先進国、1990年) 207
    表6-2 医療モデルと生活モデルの対比 209
    図6-1 「ケアのモデル」の全体的な見取り図 210
    図6-2 健康転換と有効なケア‐モデルの変容 211
    図6-3 高齢単身世帯割合と介護の軽度認定率の相関(都道府県別) 216
    図6-4 「個人‐コミュニティ‐自然」の関係 220


    図1 世界人口の超長期的推移 265
    図2 人類史の中の「定常型革命」 266

  • ”<きっかけ>
     本屋で偶然みつけてタイトル買い。内容はなかなかいい感じ。”

  • 社会

  • Kindle本。自分がコミュニティ政策に関心があることに気づくなぁ。
    この前話していて思ったけど、最近、人が自然に動いてしまう仕掛け作り に関心がある

  •  第二部は”社会システム”という切り口からコミュニティを問い直していく章でした。主に都市計画や福祉政策の歴史的展開の振り返りや、社会システムの国際比較を通して、現在のコミュニティや公共を分析していくというテーマです。
     具体的には、第一部の視座に加え、「公-共-私の役割分担/力点の相違」「社会システムをインフォーマルな形で支えるもの」「土地の公共性の変化」「フロー/ストックからみた公平性」「住宅政策」「コミュニティの世代的継承性」などの様々な視点から分析をし、関連付けをしていました。

     一番印象に残ったことは、ある地域のコミュニティを分析するためには、社会システムという様々な視点からも詳しく、詳しく分析する必要があるなぁということです。 そのためにも、他の地域の歴史や福祉/都市政策と比較するための知識・比較の軸を養っておかなければいけません,,,!

     まずは、各地方自治体の5カ年地域福祉計画などで、何が語られているか知るところからでしょうか。 今まであまり興味をもって読もうという気持ちにならなくなった行政の計画書や報告書が気になってきました。
     現状の地域コミュニティを「地域コミュニティ再構築のチャンス!」と捉え未来を創っていくためにも、現在の地域コミュニティがどのように生まれているか、勉強していきたいと思います!

  • 広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書 読了。総じて雑多。帰納的な推測の正当性が気になる。だが、格差の源泉となるストックを公営住宅など福祉政策に活用する視点は斬新。生産性概念の転換を図れば、労働集約型が生産性に優れるとの考えも面白い。いずれにせよ政府の介入が前提となるが。
    2012/03/04

  • 【由来】
    ・天野祐吉の「成長から成熟へ」で「人口減少社会という希望」を検索したらMediaMarkerの関連本で出てきて、同じ著者で、しかも新書なら読みやすそうと思った。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)

  • 経済の成熟化により、富の源泉がフローからストックにシフトしている。ストックからの分配を行うこと。
    人生前半の社会保障を行うことの2点が今後の社会保障のポイントである。
    といった箇所が最も共感できた。
    もう一度読み直したい。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480065018

  • コミュニティの機能が失われた現代社会で、コミュニティの再生のために、コミュニティを問いなおす。しかし、それは、従来のコミュニティの再構築ではなく、新たな関係性、価値観にもとづいた、新たな機能を持ったものになるだろう。
    本書の中で、著者はコミュニティの定義について、「人間が、それに対して何らかの帰属意識を持ち、かつその構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支え合い)の意識が働いているような集団」としている。その、「人間が」尊厳を取り戻し、社会が再び機能する場所として、「公」(政府)でもなく、「私」(市場)でもなく、「共」の場である「コミュニティ」に焦点を当てている。
    著者が言うように、現代は、人々の価値観を含めて社会システムが大きく転換しないといけない時期に来ていると思う。そして、「共」の場で変化のリーダーシップをとっていける存在としては、事業体をもつ協同組合であったり、実績を積んだNPOなどであり、そのはたさなければならない責任は大きいと感じた。

  • トマ・ピケティ「21世紀の資本」が売れに売れている2015年新春というタイミングでこの本を開きました。そのベストセラーにはまだ手をつけていませんが本書は「フローからストックへ」という社会の変化を先駆けて提示しているように思いました。もちろんエコノミーとコミュニティと目指すベクトルは違っているのですが…。基本にある「公‐共‐私」という社会の骨格に対するまなざしがとても「優しく」感じました。それは最終章で著者自身のライフテーマになっているくだりで裏打ちされました。はっきりしませんが自分のこれからのヒントを与えてくれる読書でした。

  • 京都府の南に「私のしごと館」という、それは立派な建物がある。職業体験のできる場所で、小学校や中学校の体験学習にも利用されているようだ。ところが、それがどうも採算が合わないらしい。その建物をどうするかでずいぶんもめているようだ。維持するだけでも相当なお金がかかる。壊してさら地にするのにもまた大きなお金が必要となるのだろう。私も何度か訪れたことがあるが、なんでまたこんな大きな箱物を作ってしまったのだろうかと思う。本書の前半には具体的にそういうモノをどう使ったらいいかのヒントが書かれている。地域の住民がうまく活用できるサロンやホールとなればよいのだが。さて、2ヶ月以上かけて読んでいるので(途中他の本に気移りしながら)前半の内容はほとんど忘れているのだけれど、後半の原理的な話だけでも十分に読み応えがあった。独我論から2500年ほど前に同時多発的(ギリシャ、インド、中国、イスラエル)に起こった普遍的な価値原理へ。そして、いま必要とされている新たな思想――それは有限性と多様性を重要な要素として持つ――の確立。図書館のリサイクル位置でもらっていた手付かずの伊東俊太郎「比較文明論」も読んでみなければいけない。いままた読み始めている梅棹忠夫の文明論、それからいま気になって仕方ないレヴィ=ストロースの思想などとも比較しながら読んでみたい。

  • 取り扱われているテーマが広範で、私には少し難解。
    情報系の本ではなかった様だ。
    アンジェラアキの「手紙」に何かを感じるという共通点は、著者と私が同年代だからなのかも。

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著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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