ヒトの進化 七00万年史 (ちくま新書 879)

著者 :
  • 筑摩書房
3.19
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065841

感想・レビュー・書評

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  • 2015.06.07

  • 人類史というよりは古人類発掘史エピソード集。人類化石を発掘し研究する人たちが何やってるかがなんとなくわかった。
    複数の呼び名のあるものの複数の呼び名を急に使うので読みにくい。

  • 4

  • [ 内容 ]
    二一世紀に入って、先史人類学をめぐる状況は大きく変わった。
    新たな発見が相次ぎ、人類の起源が従来の説より大きく遡る七〇〇万年前となるとともに、その進化の道筋にも大きな見方の変更が迫られている。
    人類は単線的な進化をたどってきたのではなく、複数の人類種が複線的に生まれては消え、現生人類はそのうち生き残った一つでしかないとわかってきたのだ。
    最新の学説や調査状況を紹介しつつ、現在も書き換えられつつある人類史の基本的な内容をわかりやすく説き明かす。

    [ 目次 ]
    第1章 ラミダスと最古の三種―七〇〇万~四四〇万年前 アファール猿人―三九〇万~二九〇万年前
    第3章 東アフリカの展開―四二〇万~一五〇万年前
    第4章 南アフリカでの進化―三六〇万?~一〇〇万年前
    第5章 ホモ属の登場と出アフリカ―二六〇万~二〇万年前
    第6章 現生人類の出現とネアンデルタールの絶滅―四〇万~二・八万年前
    第7章 最近まで生き残っていた二種の人類―一〇〇万?~一・七万年前

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ヒトの進化の歴史がきちんと書かれており、知的世界が広まった。良書である。

  • 歴史の教科書の第一章は、必ず私達の祖先がどうやって進化していったかを解説している。そこから私達の歴史がはじまる。
    学校で人類の進化を最後に習ったのは十年前ぐらい、そのうろ覚えの歴史観が覆された。
    確か猿人→原人→旧人→新人という進化を遂げたと習ったと思う。今はこの説よりも、より複雑に系統が分かれ、旧人と新人が同時代に生き、交易すらしていた可能性があるらしい。

    教科書第一章の歴史は、一番書き換えられやすい。

  • このタイプの本はこれまでずいぶんたくさん読んできましたが、最新の情報に基づくこの本の内容は読みごたえ満点でした。

    図書館で借りて読んだのでした。

  •  本書は、夢とロマンにあふれた本であると高く評価したい。ヒトはどこから来たのかという問いは誰しもが一度は抱いたものだと思うが、そうか、ここから来たのかとここまでわかっているとは驚いた。ヒトの知識はここまで広がっていたことにと驚愕するとともに誇らしくも思えた。
     本書はいう「ホモ・サピエンスというホモ属の種は、ほんの20万年前アフリカのわずか数百~数千人から拡大したと言う見方が有力」であると。化石の発掘を中心とした古人類学とDNAの研究の分子生物学の結果がクロスして来ることによって、さまざまな事実がわかってきていることが本書でわかった。
     筆者は「これまで現れては消えた人類全体を300ほどのジグソーパズルにたとえると、まだわれわれはそのうちの30片ほどのピースしか手に入れていない」という。しかし数百万年前からの人類の歴史のなかでの「30片ほどのピース」までわかってきていることは驚きである。
     最初の人類は700万年前中央アフリカに生まれたらしい。「サヘラントロプス・チャデンシス」。脳の大きさはわずか350cc。直立歩行するサルのようなものか。脳容量が大きくなるのはずっと後のことだったようだ。
     440万年前の熱帯雨林のアフリカでの「アルディピクス・ラミダス」。乾燥化によって森林にパッチ状の草地が広がり始めたことによって直立二足歩行が生まれたのだろうか。
     古人類学一家のルイス・リーキーとメアリ・ルーキーの夫妻の物語もおもしろい。次男リチャード・リーキーも古人類学者だ。アフリカの大地での発掘生活と最先端の発表の生活を想像するとすごいとしか言いようがない。まさに、ドラマだ。
     現代人につながるホモ属が250万年前に東アフリカに登場し、はじめて石器を使用し、そして肉食を開始し、それにより脳が大きく拡大した。そして200万年前に、ホモ・エレクトスが派生したという。本書では、発見された多くのホミニンについて、さまざまな特徴やわかってきたことが詳細に書かれている。どれも興味深く読めた。
     また、ネアンデルタール人との係わり合いについても多くのことがわかってきているが、ネアンデルタール人が遺伝子調査の結果赤毛で白人だったとの報告には驚く。
     本書は、とても古いヒトの物語だ。学術的で専門的な内容であるが、素人でも充分楽しめる内容となっている。それは、われわれには、自分達がどこから来たのかという好奇心があるからではないだろうか。その好奇心の前には専門家も素人も関係なく知識欲が前面に出ると思うからである。
     本書によると古人類学のジグソーが埋まりつつある。その全容がいずれ明らかになることを思うと、ワクワクする。ヒトはどこへ行こうとしているのかは、まだわからないが、少なくとも、どこから来たのかはわかる可能性があると考えるだけでも興奮する思いがする。本書を高く評価するとともに、おもしろかったと言いたい。

  •  電子書籍で購入。
     ホモ・サピエンスに至るまでの進化過程には、さまざまな人類が存在していたことは、折に触れ放送されるドキュメンタリーで知ってはいても、名前は複雑だし時代の前後関係がわからないので、手元で確認できるレビューが欲しかったのだか、まさしく本書は最適で、2010年に発表された論文も網羅しており、新書としての特長も十分に生かしている。
     自分の理解としては、人類進化の大きなターニングポイントは直立二足歩行と石器であったようだ。本書ではさらっとしか触れられていないが、直立二足歩行はナックル歩行から進化したものではなく、人類へと舵をきった大きな分かれ目であった。
     もう一つのポイントは石器(オルドワン文化)で、筆者はこれこそがホモ属の特徴と考えているようだ。興味深いのはその分かれ目は、脳の大きさではなく、文化的指標であって、脳の大きさはそれに付随した現象なのかもしれないということだ。実際、フロレシエンシスの発見は脳の大きさと進化の方向性が乖離しうることを示している。ある種の文化的発明がその後の進化を決定づけたと考えるなら、なんとも戦慄する話である。
     「2001年宇宙の旅」でキューブリックはモノリスに触れた類人猿が骨を道具として使うようになったシーンを描いているが、本書の意見に依れば、石と石を打ち合わせて石器ができることを発見した瞬間が、巨大な跳躍に対応することになろうか。
     最後に電子版について。電子版は図表の解像度が嫌がらせのように悪く、最初の年表が読みにくいのには閉口した。また、なぜかカッコ内の文字が他の文字より大きくなっていて気が散った。こういう本では年表を見返すことが多いので一覧性の悪い電子本ではしおり機能がないとキツイ。改良を希望。

  • 「ルーシー」は小説やマンガで散々ネタにされたから別格としても、頑丈型と華奢型、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交雑、豹に捕食さられたヒトの骨、大地溝帯、何回にも及ぶ出アフリカ等々、重要なトピックはNHKの番組や新聞等で切れ切れに耳には入っていた。
    とは言え、やはり断片情報なので、それが人類の進化のどの時代でどのような位置づけをされるべきなのかはよくわからないままだ。
    本書はそれを整理すべきものではあるが、私のような凡人には、700万年のタイムスケールはやっぱりよくわからず、1万年も100万年も同じ遠い昔、としか捉えられない困った人間なのであった。
    しかし、エルシャダイの神様は、37万年前とか1万2千年前とか微妙にホモ・サピエンスを外しているけど、イーノックは、フローレス人なのか?(そんなバカな)

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著者プロフィール

北海道大学卒業後、朝日新聞社入社。現在は進化人類学を主な専門とする科学ジャーナリスト。旧石器考古学や民族学、生物学全般にも関心を持つ。

「2015年 『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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