「リスク」の食べ方: 食の安全・安心を考える (ちくま新書 982)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066848

感想・レビュー・書評

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  • 安全と安心はちがうんだよ、と言う話。

    レバーの汚染率のデータってかなり恣意的なデータというのは初めて知った。

  • 『必要なのは現実の安全。根拠のない「安心」は必要ない。「安心」を追求するばかりに思考停止に陥ってはいけない』というのが本書の要だ。『リスク』のとらえ方について、ゼロリスクを追い求めるのは不可能であり、危険ですらあるとし、科学的に、丁寧に検証して、時にリスクは理解した上で引き受ける必要もあると説く。『安心』を求めて、判断をオカミに丸投げしがちな日本人(わたしも含めて)にぜひ読んでもらいたい一冊である。

  • ★★★★極めて正論。原発の安全神話に騙されるように日本人はお上に「安心」を求め過ぎ。ゼロリスクなんてあり得ない。どんなものにもベネフィットがあればリスクもある。ユッケ、ワクチン、抗がん剤、健康食品、放射能。。。バッサバッサと痛快。

  • どのようにリスクに対峙すればよいか。感情的に流されずにクールに分析することの大事さについて、食中毒・トクホ・健康本・放射能を通じて語られています。「もし万が一・・・になったらどうする」の無意味さや、各論的かつ定量的に考えることの大事さについてとても参考になりました。これこそ「大人の態度」というものではないでしょうか。

  • ルソーは社会契約論の中で、国家は、国民の一般意志を具現化するために存在するものであり、国民が国家に隷属的であってはならない
    交通事故死 5000人、自殺3万人以上 喫煙を原因に死亡 19.6万人 餅を喉につまらせて死亡 東京で5年で601人
    トクホ 特定保健用食品(リスク低減表示) 特定保健用食品(規格基準型) 条件付き特定保健用食品

    放射性セシウムが問題、セシウムは体内に広く分布、半減期は134で2年、137で30年、セシウムは体外に排泄される 成人では半減期が110日小児では短い

    分からないことをわかったふりをしない、それがソクラテスの言う無知の知

    放射線や放射能が安全かあぶないかといった大雑把な二元論は避けるべき

    俺は正しいと断言し、他者は間違っていると罵倒する このような態度は最も科学から離れた態度

    金の都合で安全を安売りしても構わない

    大飯原発の再稼働の問題は双方向のリスク 再稼働するもリスク、しないもリスク

    安心と安全 こころの中にしか安心、不安はない

    すべてを他人任せにせず、己の責任で受け入れ、国家も国民もリスクから目をそむけずに対峙する

  • 年間1名程度の死者が出ている腸管出血性大腸菌感染症(P45)。極めて希有な事象で、ハザードとしてはとても小さいと考えられるレバ刺しの禁止をまずは俎上に載せる。その後、いくつかの事象について、医師らしく(!?)、ひとつひとつ問題点や矛盾点を指摘していく。納得させられる指摘が多いが、自身の著作も含めて、すべての書物にはバイアスがかかっていることを認識すべきと記載しているのは著者の良識であろう。個人的にはそのバイアスを感じさせる記述があると思ったが、それは著者の狙いにまんまと引っかかったのかもしれない。
    何時もながら、しばしば某名誉教授の影がチラつく文体はご愛嬌?

  • いつも通り、ならではって感じの論調で、いちいち納得しながら興味深く読ませて頂きました。

  • リスク0思考のリスク、データの誤用。以前から報道の度にクビを傾げる内容に、シャープな指摘をされている。
    データを正しく解釈し、社会へ発信することの重要性。そして、解りやすさの代償である二元論の危険性。最近、グレーゾーンを語りづらくなった風潮があるが、誤摩化す事と、二元論で説明が出来ない事はイコールではない。
    もっと、深い思考過程を行えるようにならなければいけない。

  • ゼロリスクの求め過ぎは違う意味でのリスクですよと繰り返しといている.例を沢山出して検証しているのはいいのだけれど、結論は同じなので少しくどい感じがした.
    最後の安全と安心の違いを論理的に説明している章が一番心に残った.
    「安全とはリアルな概念です」「安心とは根拠のない不安を打ち消すような感覚です」「安心には確たる根拠はありません.確たる根拠があればそれは単なる「安全]だからです」

  • 12/10/13。
    リスクの評価は、常に個別具体的に行こうこと。
    安心はいらない、安全を。
    リスクを引き受ける覚悟と責任。

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著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。著書に『コロナと生きる』(朝日新書、内田樹との共著)、『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル新書)ほか多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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