マーケットデザイン: 最先端の実用的な経済学 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067340

感想・レビュー・書評

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  • マーケットデザインの入門書。
    考え方を知るには良書。
    ボブ的には、さらなるステップアップを目指し、精進したいので、読書案内を活用したい。

  • 需要と供給の最適マッチングが様々な社会課題を解決しつつある。デジタル技術とインターネットの進歩により、様々なモノやコトがマッチングされるようになった。
    本書は、腎移植マッチングや周波数オークションなど、世界で実用されている経済理論であるマーケットデザインについて、アルゴリズムの例示をしながら解説する。
    最適な配分とは、その配分以外だと誰かが損をして、一部の参加者で抜け駆けして得になることもない、という状態である。
    本書で紹介されるアルゴリズムは、TTC方式、受入保留方式など、説明されたらナルホドと思うが、最初に思いつくのはすごいし、それが最適な配分であることを証明するのも大変なことだろう。その辺の理論には本書では触れられない。条件が少し違うだけで、これら方式の安定性は変わってしまうので、実際に社会実装する際はより深い理解が必要だろう。

  • 考え方やり方次第で必要な人に必要に応じて効率的に物事が行き渡るようになるって面白いなあ。

  • 「多数決を疑う」関連本。

  • TTCアルゴリズムすげぇ、というのと選択留保式で振られ続ける男性2さんが不憫だった。(内容も面白かった)

  • マッチング理論とオークション理論の基礎が分かりやすく紹介されている。経済学初心者でも理解できるのが良かった。

  • 『多数決を疑う』で周波数オークションの話題に関連して紹介されていた本。
    この本が面白かったのと、周波数オークションに興味があったので本書も読んでみた。
    (『多数決を疑う』のレビュー → https://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4004315417

    本書はマーケットの中でも主にマッチングとオークションについて解説されており、シンプルな手法がどう悪手で、改良手法にはどのようなものがあるかを簡単な例を示しながら説明してくれる。
    説明は丁寧なので、優れたアルゴリズムを考えながら読んでいくのも楽しい。

    そして本書を読んではっきりしたのは、漠然と気付いていた本邦の市場の汚染は事実であるということ。
    きちんとデザインされたマーケットになっていれば政治家とベタベタな謎の団体が税金を抜くことはできないし、似たりよったりの番組を垂れ流す放送局も整理される筈である。
    私は、日本は欧米とは違って云々という何でも欧米に倣う主義は嫌悪するが、数学的に誤っているとはっきりしており90年代から海外では普通に使われている手法を採用しない点について、日本は駄目だと断言する。

  • マッチング理論の解説。
    細かく解説。
    なかなか理論通りに社会に導入されていない側面に気づく。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB1338275X

  • マーケットデザインという経済学の一分野。ゲーム理論を勉強していたこともあり、興味を持った。

    ゲーム理論と同様に現実世界のアプリケーションに落とし込むのが難しい。何かにつけてうまく説明する、サイエンスな性質を持つけれども、エンジニアリングに落ちないように思う。

    マーケットデザインの研究では、どう制度を作れば需給一致が実現するかを考察する。

  • 300円購入2020-03-08

  • 効率的かつ公平なな社会制度を作るための理論がマーケットデザインということでしょうか.腎臓ドナー決めのアルゴリズム,安定マッチング(結婚 or 学校選択),オークション理論の三本立てです.これらの事例をちまちま計算してみることで,この分野を紹介するという趣旨のようです.読めばなるほどなるほどと思いますが,総合的に深い知見を得るには巻末の読書案内の専門書を読むべきなんでしょうね.パズル的なお話としては面白い.

  • TTCアルゴリズムによる交換プロセス−腎臓ドナーマッチング
    研修先と希望者の安定マッチングを見つけ出す受入留保方式
    第一価格オークションと第二価格オークションの優劣など
    大量の組み合わせをアルゴリズム化して効率性、耐戦略性などを目指すマーケットデザインを紹介している。

  • 以下の記事にて紹介。

    <a href=\"http://rashita.net/blog/?p=11764\" target=\"_blank\">【書評】マーケットデザイン(酒井豊貴)</a>(R-style)

  • 多数決を疑う
    というタイトルの本を読みたい!!

  • オークションを勧める人の、その拠って立つところを知りたくて読んでみた。読み物として読むのにちょうど良い感じ。適度にテクニカルで、適度に日常的。もう少しきちっと学んで使えるようになったら、いろいろと応用できそうな気がする。
    180307

  • 読みたい内容は冒頭と巻末のみ、細かい理屈はとりあえ

  • 複数の参加者が複数の選択肢を争う場合の決定方法や、金銭の支払いによって決定するオークションが本書のテーマ。

    部屋の配分のような住宅市場モデルでは、配分を決定した後に一部が離脱してより好ましい交換をすることが発生しない「強コア配分」が必ずひとつだけ存在する。強コア配分は、あらかじめ選択者と選択肢に番号を振っておき、選択者とその希望する選択肢を矢印でつないでサイクルができた組み合わせを決定することを逐次繰り返すことによって得られる(TTCアルゴリズム)。この方法では、虚偽の選択をすることが得になることはなく、耐戦略性を満たしている。

    男女のカップルのような1対1マッチングでは、仮受託とその変更を逐次的に行う受け入れ保留方式によって、決定後に抜け駆けが起こらない安定的な結果が得られる。学校の選択のような1対多マッチングでは、1側の選択を優先する場合は耐戦略性が成り立つが、多側の選択を優先する場合は成り立たないため、1側の選択を優先することが望ましいと言える。受け入れ保留方式は安定的だが、一部が事後の交換をすることによってお互いに好ましくなる場合がある(パレート効率でない)。TTC方式を用いるとパレート効率な結果が得られるが、初期保有分を交換する方法がなじまない場合もある。1対1でも1対多でも、安定的な結果はひとつではない場合があり、一方の側にとって最も好ましい安定マッチングは、他方にとっては、複数ある安定マッチングのうち最も好ましくないものになる。

    金銭の支払いによって選択を決定できる場合は、オークションを用いることができる。競り上げ式オークションと第二価格オークション、競り下げ式オークションと第一価格オークションは、それぞれ戦略的同値である。第二価格オークションでは各入札者は正直な評価値を入札するが、第一価格オークションでは入札者は他者の入札行動を予想して戦略的に振る舞うため、売り手の期待収益は一致する(ヴィックリーの収益同値定理)。第一価格オークションでは入札者が戦略に失敗して売り手も損をすることがあるが、耐戦略性を満たす第二価格オークションはギャンブル性がないというメリットがある。第二価格オークションは競り上げ式オークションよりも入札者間の談合を防ぎやすいが、決定後は信頼性を確保するために入札者の入札価格を公開する必要がある。

    複数の財を売る同室財オークションでは、ビッド支払い方式も次点価格方式も耐戦略性を満たさない。他者の落札できなかった入札額の中で、自分が落札した数の上位の合計額を支払うヴィックリー方式は耐戦略性を満たす。日本の国債はビッド支払い方式だが、アメリカでは一部で次点価格方式を用いている。

  • 財を効率的に分配するための仕組みとして、現在のところ市場という仕組みに取って代わるものは存在しないように思われるが、当然市場は万能の道具/手段ではない。だとすれば、市場の制度/ルールを巧妙に構築することにより、市場の効率性を高めることができるのではないか。

    本書は”マーケットデザイン”と呼ばれるそうした最新のミクロ経済学の理論について、わかりやすく解説してくれる。本書で主に解説されるのは、
    ・腎臓移植/ドナー等の場面で活用可能な最適マッチング理論(トップ・トレーディング・サイクル・アルゴリズム)
    ・研修医/病院や学生/公立学校等のマッチング場面で活用可能な理論(受入保留理論、NIMPアルゴリズム等)
    ・周波数等の公共財オークションで活用可能なオークション理論(第二価格オークション、同時競り上げ式オークション等)
    の3つの分野とそれぞれの理論である。

    特に3つ目のオークション理論に関しては、日本でも民主党政権時代に検討され結局廃案になってしまった周波数オークション(これが実現していれば、少なくとも民主党政権時代の数少ない業績の1つになっていたのは間違いがない)の今後の導入に向けて、日本では真剣な議論が必要な分野であり、個人的には非常に面白く読めた。現在の電波行政は3年ごとに電波利用料の見直しを議論する仕組みとなっており、放送と通信の電波利用料負担のギャップ(テレビ局の電波利用料に対して、通信事業者の電波利用料の方が大きく、電波から生じる経済的便益と負担額のバランスが崩れている問題)については、わずかながらテレビ局の負担を増加させ、通信事業者の負担を下げるというその場しのぎの議論に収まってしまっている。そうした中、周波数オークションの導入に向けた議論は必須だと思うし、こうした経済理論の研究も含め、引き続き状況を注視していきたい。

  • 初めてこのマーケットデザインの考え方を知りました。
    数学がこのように身近な所で役に立つことに目から鱗でした。
    (論理では表せないヒトの感情も含めたら、そんなにうまく実用化できるかなぁという気もしましたが。)

    アルゴリズムの説明は、紙とペンを用意して書きながら理解していくと気持ち良く解けていくので楽しかったです。

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2017年 『大人のための社会科 未来を語るために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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