第一次世界大戦 (ちくま新書 1082)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067869

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、第一次世界大戦の歴史的経緯をこれまでに積み重ねられた多様な研究成果をもとに、検討していく本である。比較的コンパクトであるが、要点はしっかり抑えられており、非常によくまとめられている通史だといえる。
    著者が指摘しているように、日本の教科書では第二次世界大戦と比べ第一次世界大戦に関する記述は少なく、度外視されがちである。実際、日本は青島要塞攻略や地中海において連合軍の艦隊を護衛した程度しか関わっておらず、主戦場はやはりヨーロッパであった。
    しかし、この大戦によって、女性の幅広い社会進出や参政権の拡大、新型殺戮兵器(毒ガス、航空機、戦車など)の登場、民族自決権に基づく国民国家の普遍化などがもたらされ、その後の大規模な戦争や社会のあり方が大幅に変化した。当然日本もそうした影響を受けていた。つまり、第一次世界大戦は歴史における大きな転換点であり、現代に生きる我々としても無視できない出来事だといえる。

  • 一次大戦が複雑過ぎて、何がなんだか

  • ナティスの全体主義について、学ぶなかで、視点として、そのときの世界全体がどうなっていたのか?そして、歴史的にどういう流れのなかにあるのかを知ることがどうしても必要だということが遅ればせながら、よくわかった。

    その歴史の流れをどこまで遡ればいいのかは難しいが、とりあえず第一時世界大戦までは遡って考えることにする。

    第一次世界大戦がどうして起きたのかについては、以前にジェームズ・ジョルの「第1次世界大戦の起源」を読んでそれなりにわかっていたつもりだけど、それがどう展開していったのか、なぜ短期決戦と思っていたのが、延々と続くことになったのかという具体的なプロセスをしろうと思い、まずは新書を読んでみた。

    第一次世界大戦については、結構な文献の山があって、1冊の本、しかも新書で俯瞰するのは、なかなかに難しいだろうな〜と思っていたのだけど、これはかなりの情報を1冊の本に入れ込んでいるなと思った。当然のことながら、具体的な戦争・戦闘の進展状態・スタック状態はもちろん(といっても、戦線がヨーロッパの西に東に、そして、アフリカやらアジアでもやっているわけだから、戦闘状態をフォローするだけでも大変)、政治や経済、国民のセンティメントなどなどもバランスよくまとめてある。

    とはいえ、1ページ1ページの密度は濃く、なかなか読了にはパワーが必要で、さらっと概観を理解するという感じの本でもない。じっくり長期戦の構えで読むことが必要。(と言っても、2〜3日あれば読めるはず)

    こうやって、通史で読んで思うのは、敗戦ドイツにおいて、恐慌のあとに突如ナティスが出てきたわけではなくて、第1次世界大戦のときにすでに人間を軽視した暴力がさまざまなところで出現していて、その延長にナティスの全体主義があるということ。

    アーレントは、「全体主義の起源」で、ナティスの全体主義をドイツというより、ヨーロッパ全体の歴史のなかから、読み解こうとしていて、今となっては、歴史的なプロセスに関するアーレントの分析は古くなっているのだが、その問題の把握の仕方は、やはり鋭いな〜と思った。

  • 第一次大戦については、勉強する機会がほとんどない。
    高校の世界史でも、さらっと取り上げられる程度。
    しかし、現在の世界情勢の元になったのは第一次世界大戦であり、
    戦勝国と敗戦国との歴史だけでなく、
    植民地や周辺地域までをも巻き込んだ歴史の転換点であるといえる。
    当時の社会情勢や経済情勢までも、1冊で簡易に学べる良書であると思う。

  • 歴史の授業で少し習った程度だけど100年前にあった日本も勝利国になった大戦争なので関心がありました。
    戦記物ではないので戦闘の詳しい推移は無いものの、開戦の経緯からその後の各国の総力戦体制のことなど戦中の体制のことを学べたし、ドイツ帝国やオーストリア·ハンガリー帝国のことも個別に興味がわくようなった。

  • 第一次世界大戦が行われた期間について、年代順に状況を追って説明する概説書。30年近く前に学んだステレオタイプな大戦史とは現在の研究は大きく異なり、まったく違う捉え方が存在していることが、よく分かった。

  • 第一次世界大戦の通史本 ちくまらしいまとまり

  • 関与の仕方が薄かったこともあって、日本人にはあまりなじみのないが、世界史の上では決定的な意味を持つ第一次世界大戦い関する本。
    最新の歴史研究の成果を活かしてその意義を平易に興味深く描く。
    ジュンク堂で立ち読みしてたら、おもわず最後まで読んでしまった。

  • 分かりやすい

  • ・同盟国―ドイツ帝国、オーストリア帝国、オスマン帝国、ブルガリア。連合国―イギリス、フランス、ロシア帝国、ベルギー、セルビア、日本、イタリア、ルーマニア、ポルトガル、ギリシア、アメリカ、中南米諸国

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著者プロフィール

木村靖二 (きむら・せいじ)
1943年、東京生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。東京大学大学院博士課程中退、同大学助手、ミュンヘン大学留学、茨城大学教養学部講師、同助教授、立教大学文学部助教授、同教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。現在、東京大学名誉教授。専門、西洋近現代史・ドイツ史。著書に『二つの世界大戦』(山川出版社世界史リブレット)、『第一次世界大戦』(ちくま新書)などがある。

「2022年 『兵士の革命 1918年ドイツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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