若者はなぜ「決めつける」のか: 壊れゆく社会を生き抜く思考 (ちくま新書 1110)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068194

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  • 現代の若者が悩む二重の決めつけ
    →世間からの決めつけ=今時の若者は。。
    →自身の意識の中=どうせ。という決めつけ

    決めつける理由=決めないと進めないから
    何かしないと変わらない世の中

    社畜が正しいのか?寝ないで働くこと=美徳と考える経営者が多くないか?

    働きたいけど怖いから働けない=真面目にとらわれた結果。

    中間管理職、事務職の不要=就職難
    自己決定=自己責任に変わる世の中。
    だが決めないと変わらない現実。。
    その結果、ネットなどを通して他者を攻撃する。。

    ゆとり社員批判
    生まれた時から不景気で、それに抗うことなく期待せずに生きてきた。無関心、ストレス耐性が弱いとみなされてきた。
    縦のつながりー深すぎるとパワハラになるしお互いに距離感がつかめてない。
    横のつながりーネットなどを介しても趣味の仲間など村のつながりが作れる。だが、ムラ社会以外でも繋がってこそ生存力が高まる。

    さまざまな弱者
    他責系弱者
    否認系弱者
    自責系弱者ー弱者であることを利用する。

    ゆとり教育が格差を広げた?ー小、中学生で好きな学びなどわかるはずがない。

    キャラづくり=失敗した時の自己防衛
    →解離性人格障害と関係がありそうだと思った
    社会の多元化→それに即して自己の多元化→且つタイムリーな自己決定が必要という世の中を生きているのだ。

    若者の低減欲望
    もの、かねへのこだわりが弱い。家庭より結果を求め、努力などは低コストにする。お金がないことに慣れ、今後も右肩下がりの経済に警戒しつましく生きる。

    パラサイトシングル
    結婚の3つの理由ー依存、生存、共存
    女性の専業主婦願望は依存に値し、男性にとってメリットは少ないのいうことに、男性諸君は気付き始めている。つまり自足している男が多い。よって子供が欲しいとか理由がない限り結婚への欲もない。
    だが、老後を考えるとどうか。。

    確固たるもののない世の中だが、歴史的に見たら生きてご飯が食べられるだけで裕福であると言えると著者は書く。
    私たちの価値は存在自体にある。という言葉には勇気付けられた。
    それぞれの世代にある仕方なさを理解して出来ることをしてサバイブしていくしかない。

    この本の中では心の折れたニートへの労働喚起が多く叫ばれている。いつまでも親のすねをかじるのではなく、老いていく親のために世話をする番だと自覚して、それを労働としていきなはれと。
    決してニートやフリーターを否定することなく、発生の原因とそれによる結果を淡々と書いてあり好感を持った。

    変わりつつある世の中の選択肢。それに対して偏見を持たず現実をあるがままに書いてあるこの本は年配の人にほど読んで欲しい。

    決める=判断

  • 自分用キーワード
    高度経済成長期に生産力が伸びたのは「高齢者が少なくて労働人口が多かったため」であり、一人当たりの生産能力が高かったわけではない 若者は弱者意識、被害者意識に囚われすぎてはいないだろうか 正解のない選択肢から「決断主義」のために判断を強いられ、仕方なく選べば「自分で決めたんでしょ」と自己責任を強いられる 就職難の要因1.求人数の数もさることながら、大卒の数が増えた、2.応募先が大企業に集中している

著者プロフィール

長山靖生(ながやま・やすお):1962年生まれ。評論家。鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。開業医のかたわら、世相や風俗、サブカルチャーから歴史、思想に至るまで、幅広い著述活動を展開する。著書『日本SF精神史』(河出書房新社、日本SF大賞・星雲賞・日本推理作家協会賞)、『偽史冒険世界』(筑摩書房、大衆文学研究賞)、『帝国化する日本』(ちくま新書)、『日本回帰と文化人』(筑摩選書)、『萩尾望都がいる』(光文社新書)など多数。

「2024年 『SF少女マンガ全史 昭和黄金期を中心に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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