- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480071965
作品紹介・あらすじ
「あんな時代もあったね」とでは済まされないここ数年の怒涛の展開。日本も世界も「思いつき」で進んではいないか? アナ雪からトランプまで縦横無尽の時評集。
感想・レビュー・書評
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私はバカって言われるのたとえ本のタイトルでも帯でもすごく嫌なんだけれど、橋本治の本にだったら言われてもいい。
昔読んだ橋本さんの本で、橋本さんが「この言葉だけ覚えておけばいい」と書いていた言葉を今でも時折思い出し、あの言葉ってどういうことなんだろう?と、考え続けています。
この新書は晩年となってしまった2014年から2018年の時事コラムをテーマ別にまとめたもの。
今となっては懐かしさすら感じる事柄も、確実にいまに繋がっている。
橋本さん、ロシアとウクライナ、戦争始めちゃったよ。
安倍さん、殺されちゃったよ。
橋本さんの早逝が惜しまれます。
失われた知性は大きい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
○○ロスという言葉がありますが、
以前は、何が○○ロスだよと、引き気味の視点で見ていました。
ただ、ふと、ああ、もうこの世界に橋本治っていないんだな、、、と思うと、寂しくなりました。
この本は、橋本治氏のweb連載の時評ですが、もう二度と、新たに更新されないんだなと思うと、
残念でなりません。
橋本治氏の著作は、毒にも薬にもならないものがたくさんありますが、
語り口が、とにかく愛を感じさせるんですよね。
どうして、ここまで、人間のこと、社会のことを、説明できるんだろうと、、、、。
その説明が、なんというか、カラダ全体で考えているんだろうな、何か、大きなものを、
背負って説明しているんだろうなと(本人は、無責任に言っている、なんて、言ってましたが、
そう思えないんですよね)。こういう温かさを感じさせる作家も、人間も、絶滅していますよね。
本当に、稀有な人でした。
どうでもいいことを、考える大切さって、この人から教わった気がします。
そのどうでもいいことが、案外、後で、凄く役立つことも。
『これも男の生きる道』は、一番好きな本で、
「わからない、知らない、できないを自分の中で認めないと、
永久に一人前になれないよ」は、自分の座右の銘になっています。
本当に素晴らしい作家でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。
15年以上前に、橋本治氏の著作に出会って良かったと、心から思います。-
同感します!
愛、ですね
『これも男の生きる道』、読んでみます
私は『98歳になった私』も好きです
まあまあ、今日もやっているなあ、という気...同感します!
愛、ですね
『これも男の生きる道』、読んでみます
私は『98歳になった私』も好きです
まあまあ、今日もやっているなあ、という気分になります2020/10/20 -
コメントありがとうございます!私も『98歳になった私』を手にとってみます。なんせ、橋本氏の著作は、膨大にあるので、今、平家物語を読んでますが...コメントありがとうございます!私も『98歳になった私』を手にとってみます。なんせ、橋本氏の著作は、膨大にあるので、今、平家物語を読んでますが、いったい同じ作家さんが書いたものかと思うぐらい違いますから。。。本当に稀有な作家さんでした。。。2020/10/20
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2020/10/20
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PR誌「ちくま」に連載されていた巻頭随筆をまとめた一冊。
毎号たのしみに読んでいて、この1年ほどはときどき病気休載で心配してはいたけれど、まさかこんな急に亡くなってこの本が遺作・追悼出版になってしまうとは数週間前の新刊予告の段階では思いもよらなかった…R.I.P.
「バカは忘れたころにやってくる」「いったい日本はどこへいく」「誰もが話を聞かない時代」「思いつきで世界は進む」「世界は一つなんて誰がいった?」の5章仕立てでテーマに沿った文章が並んでおり、各編の文末に掲載年月が添えられている。
冒頭に置かれた1篇がいちばん最後に書かれた回だ(とはいえ、そのあとも休み休み数回は続き、まだまだ続いていくはずだった)と思うと、胸に迫るものがある。 -
・日本の状況の分析・感想としては面白かった。
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"勝ち組" "負け組" 同様嫌いな言葉が "オール◯◯"。みんなひとつになって頑張ろう、というスローガンはとても胡散臭い。どうしてわざわざ足並みを揃えて同じ方向へ向かわなければならないのだろう。"連れション" や "行列ができる店" も見送る私は、違う思想や言動があってこそ素晴らしき世界じゃないか、多種多様…そうだ "多様化" を推進してるの飾言かいな、とツッコミ入れたくなる。
言葉だけでその場をやり過ごす・誤魔化す、にも関わらず、そこで自己陶酔する輩がいかに多いことか、恥を知ろうとしない裸の王様は忠言を聞く耳持たず今日も闊歩する。それでも私たちは心折れずに声をあげるよ、とどのつまりマイノリティーの性分。 -
今回の著作は秀逸、歴史物ではなく、「失敗の本質の検証」に対する想いが伝わる。
310万人が亡くなった太平洋戦争
大きな戦略が明確でないと最終的な勝利は覚束ない
戦場の指揮官ばかりではなく、陸海軍の枢要な部署にある連中の戦略構想が大事
太平洋戦争においては不思議なくらい日本の軍人さんは決断ができなかった
統制好き 上からの命令遵守の指揮官が多かった
しかし「組織の目的を明確に」することはなかなか難しい
真の目的を部下と共有すること、プロジェクトリーダーとして最も重要
それこそがリーダーシップ!
西南戦争が終わり、山県有朋は「統帥権の独立」を制度化した -
2014年から50回にわたってPR誌『ちくま』(筑摩書房)に連載された著者の記事を、テーマ別に編成して収録している本です。そのときどきの世の中をにぎわしている出来事について、著者がみずからの感想をつづっています。
『「わからない」という方法』(2001年、集英社新書)以降の著者の本には、啓蒙的な性格が強く出ているように感じています。世界は無限に複雑な襞をもっており、その細部へとどんどん入り込んでいくことで真理に近づいていくというのが、元来の著者の議論のスタイルでした。その後、著者はそうしたみずからの思索のスタイルを、「「わからない」という方法」として、ハウツーものならざるハウツーものとでも呼べるようなしかたで提示するようになる画期をかたちづくっているのが、『「わからない」という方法』だったというのがわたくしの理解です。
しかし本書では、著者の議論が「わかってしまっている」立場に著しく接近しているような印象を受けます。たしかに著者らしい視点の鋭さが随所に示されてはいるものの、すこし斜に構えた世間の見方という、ありがちな議論に堕してしまっているのではないかと思えるところも見受けられました。正直に言って、著者のエッセイのなかでは精彩を欠く印象がいなめないように思います。