- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480080158
作品紹介・あらすじ
内部 外部、秩序 混沌、清浄 不浄、自己 他者などの無限に反復される二元論のうえにたえまなく分泌されるもの。境界をつかさどる聖なる司祭-。この、内と外とが交わるあわいに生ずる豊饒なる物語を、さまざまなテクストを横断しつつ明快に解き明かす、危険な魅力にみちた論考。
感想・レビュー・書評
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1985年刊。
先日読んだ田熊友紀子著『現代のトリックスターと心理療法』の、トリックスター概論の部分で、山口昌男氏の著作と並んでずいぶんとこの本への言及があり、探してみると未読だったので、早速読んでみた。
が、「トリックスター」という単語が出てくるのは1箇所しかない。本書の「異人」概念はかなり幅の広いものだし、「トリックスター」は神話・虚構の物語に出てくるのに過ぎないのに対し、こちらは現実にさまざまな共同体に起こってくるじっさいの現象を取り上げているのだ。山口昌男氏のトリックスター概念と本書の異人概念は、ほんの少し重なるところがあるだけだ。
かなり重厚な力作で、示唆するところが大きい。たとえば「王殺し」のテーマの部分なども面白い。
非常に密度の濃い書物なので、時間が経ったらまた読み直してみるのも良いかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:389//A32
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民俗学的でありかつ文化人類学的でもある本。双方の視点から、広く人類における異人とは何か、を分析している。
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「我等」と語るとき、異人、まつろわぬもの、鬼、賤しの民、漂泊人の一群である「彼等」が暗黙裏の内に想定されている。古代はギリシアから、現代は精神病院まで、「彼等」、異人についての一冊。
繰り返し引用される「遠野物語」をはじめとする民俗学の他、歴史学、また法学や社会学からの引用も多いのが印象的。 -
関係としての「異人」に関するさまざまな物語。そしてそれら物語の底流には、一貫して共同体・秩序の境界線上に浮かびあがる「異人」(and かれらが跳梁する「異界」が)どのような性質をもち、どのように中心の秩序維持に利用されていたか、という関心がある。ただ序盤にもう「異人」とはこうであるというおおまかな定義がされ、あとは具体例を見ていくスタイルなので少~しだけ退屈にもなる。多木浩二の『目の隠喩』のスタイルとすごく似ている印象を持った。
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(※2010年手帳より)
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2010/10/21購入
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聖と俗、王権や村など、異人の持つ意味を論じています。
何が凄いって、洋の東西を問わず、また時代も選ばない著者の知識の深さと幅広さです。 -
赤坂憲雄は今年57歳、1953年5月23日東京生まれの民俗学者。やれ柳田國男だの折口信夫だの文化人類学
・・・・・書きかけ・・・・・ -
1985年(著者32歳)に刊行された単行本の文庫化。1997年(著者39歳)に刊行された。