排除の現象学 (岩波現代文庫 学術462)

著者 : 赤坂憲雄

• 岩波書店 (2023年3月15日発売)

作品紹介・あらすじ

〈かれら〉を攻撃し、かれらと異なる〈われら〉であることに安寧を求める社会に、未来はあるのか。いじめ、ホームレス殺害、障害者施設設置反対運動、宗教集団への批判、超常現象への傾斜――80年代に世間を賑わせた数々の事件から、異人が見出され生贄とされる、共同体の暴力を読み解く。時代を超えて切実に響く傑作評論。

感想・レビュー・書評

[猫丸(nyancomaru)さんの感想 · 2023年2月15日]

赤坂憲雄_前編 | NATSOUMI
https://www.natsoumi.com/akasaka-talks-ja-01

筑摩書房 排除の現象学 / 赤坂 憲雄 著
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480081988/

排除の現象学 - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b621806.html

[くにまささんの感想 · 2023年4月15日]

2023/04/18
再読。
『童夢』を扱った最終章が読みたくて初めから読み直してみました。
排除という観点からだけでなく境界線や異人を意識しながら。
社会学であり考古学であり文化人類学であるような視点であり、異なる者に対する見方の変遷を眺めながら「排除」という現象を理解して行く。胸が苦しくなるような迫り来る著者の熱意に引き込まれながら。
最終章を読み、4つあるあとがきを読み…そして不思議と安らかな気分になる。
圧倒的な迫力と中身の力強さに再び引き込まれる個人的には名作と思う一冊です。

2023/03/17
いじめや暴力などの社会問題に対する興味のある方は必読。
最初に出版されたのは1986年ですが全く古さを感じさせることない内容で、随所に今も生きる考え方が満載。
貴方も現代の諸問題を「排除」という観点から新たに捉え直すことが出来るはず。

胸の苦しくなるような本当に起きた事件の記述がかなり多いので軽い気持ちで読むのはやめた方が良さそう。
また出版社や編集者の都合なのか文の区切りが読みにくい箇所が目立ちますが慣れれば大丈夫。直ぐに著者の熱のこもった話に引き込まれてしまいます。

[もの知らずさんの感想 · 2024年3月28日]

　寅さんの話など評論として面白いのだけど、一番リアリティを持って読めたのがいじめ問題に切り込んだ第一章。いじめの変質を悪質性に求めるのではなくて、構造の変容に見出す。それは差異に対する攻撃ではなくて、差異が消滅し同質化するからこそ、差異は問題ではなくなる。微細な差異は口実に過ぎず、同質化した共同体を維持するための供犠として残酷なまでの排斥が行われる。この指摘が１９８０年代に為されている。その先駆性に驚いた。もう少し読み込みたい。

[わっさんさんの感想 · 2024年2月18日]

読書放棄。

語られる「いじめ」の内容が読み続けるには辛くなったので。本当はそれではいけない事もわかっているが。

[asahiroさんの感想 · 2023年11月23日]

かなり前の本だけど、今に通じるというか、それが昨今顕著になっているというか、最近の世相について考える。

[学習院大学 法経図書センターさんの感想 · 2023年4月20日]

B1/8-1/462/K：東2法経図・6F開架

[京都府立大学附属図書館さんの感想 · 2023年4月19日]

京都府立大学附属図書館OPAC↓
https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1261451?locate=ja&target=l

[浜松医科大学 附属図書館さんの感想 · 2023年4月18日]

【蔵書検索詳細へのリンク】＊所在・請求記号はこちらから確認できます
　https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/475056

著者プロフィール

1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。
『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞（評論等部門）受賞。
『異人論序説』『排除の現象学』（ちくま学芸文庫）、『境界の発生』『東北学／忘れられた東北』（講談社学術文庫）、『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』（岩波現代文庫）、『武蔵野をよむ』（岩波新書）、『性食考』『ナウシカ考』（岩波書店）、『民俗知は可能か』（春秋社）など著書多数。

「2023年 『災間に生かされて』 で使われていた紹介文から引用しています。」