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- Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480087126
感想・レビュー・書評
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半年近くかけて風呂場で読んだ。
1944年分の日記。清沢洌がシニカルかつ自由主義的な視点から、戦時下の日本を見る。
キケローっぽい(取り消し線)。
サイパン失陥からそろそろ本土空襲が始まる時期である。
「この白昼、敵が帝都の上を堂々と通過するのである。それを我軍が、どうすることもできないのである。実は、そんなに我飛行機が劣弱なものであるとは思えなかった。『まさか、あんなのが敵機ではあるまい。僕は日本の防空陣を信用するから』と人に話した。皮肉では決してなかった。」―1944/11/7
ただの皮肉屋ではないことがこの日記からわかる。本当に心から「大日本帝国」の命運を案じていたのだ。
戦争前夜~戦時中に最も弾圧されたのは共産主義者ではなく、自由主義者であるという。
3巻は1945年正月からである。 -
昭和19年の日記。この年より本土が戦火に襲われ、それにあわせて新聞では鬼畜な所業を働くけだもの米兵の逸話と噂がでまわり、犯されたくなかったら最後まで戦え、戦って死ねと国民を煽る。その一方で上級役人は現実無視・理論倒れのアイデアをどさくさまぎれに嬉々として実施して国を混乱させ、下級役人は恣意的に国民をいじめて悦に入り、財界と右翼は国民からタダでまきあげた徴収物資を横流しして金を儲け、政治家や軍人は無能振りを隠すために全てを国民に責任転嫁し、国民はごもっともとうなずき恐縮する。今と変わらない、日本ってとても素敵な国とわかる本です。
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