政治思想論集 (ちくま学芸文庫 シ 3-2)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480095299

作品紹介・あらすじ

20世紀を揺るがした政治哲学の巨人が、法、権力、国家理性などの基本概念や、自由主義批判、決断理論、例外状態論などの主要テーマに取り組んだ7篇の論考。神も自然も凌駕しつつある現代の人間にとって、権力とはいったい何に由来し、その限界はどこにあるのか?はたしてそれは善なのか、悪なのか?こうした問いの根源に立ち戻り、一人の若者を相手に生の言葉できわめて平明に語った貴重な対話も収録。さらに「政治理論とロマン主義」では、代表的論文「政治的ロマン主義」の核心を凝縮した議論を展開。再解釈が進められるその思想に新たな光をあてる珠玉の論文集。

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり難しい

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    法、権力、国家理性などの基本概念や自由主義批判などに取り組んだ7編。

  • 法哲学では生活と学問との対立が特に明瞭に表現されている。
    全体国家は同時に特に強力な国家である。この全体国家は質とエネルギーの意味で全体的であるが、それはイタリアのファシスト国家が全体国家と自称しているように全体的なのである。

    現代国家の核心は行政。現代国家はとりわけ、武力を自己の手中に集中的におさめることによって成立した。

  • カール・シュミットは初めて読むし、政治学や法学についてはあまり得意ではない。私自身の感性に従って言うならば、政治について語られることにはいつも何かの危険がひそんでおり、このカール・シュミットの論文集においても、なにやら怪しげな側面があるのではないかと警戒してもいた。
    シュミットの思想はきちんと論理的な説得力をもってもいるが、彼が必然的にナチス体制を支持する側に回ったことから、やはり、これは批判的に対峙するべき思想だと思う。
    「確固たる政治指導を受けている強力な国家は自由主義によって空虚なものとされた共同体よりも公共生活や私的領域の安全と安定とを一層容易かつ有効に保障することができる。」
    「アドルフ・ヒトラーのドイツ法治国。」(P.142)
    彼の提案する「全体国家」という概念はなるほど「全体主義国家」とはちょっと違うものだけれど、実際のところ両者のカテゴリーはその要素の多くが重複する。
    国家についてかたり始めるとき、人はなぜ常に危険性を犯してしまうのだろう。
    私は「国家」には全然住みたくない。人間にはただtownがあればそれで良いのではないか? townからはみだして巨大なものが組織されるとき、例外なく「危険性」をはらんでしまうのではないか?
    カール・シュミットも言うように、「武器」の中央集権、管理、行使によって「国家」は成り立つ。けれども近代以降、とりわけ20世紀においてはっきりしたのは、「経済」もまた、「国家」の輪郭をえがきだすということだ。シュミットの著作においては、まだこの「経済」構築体としての「国家」像は言及されない。
    国家そのものが暴力装置であるならば、経済もやはり暴力として結実するのだろうか。そうだとしたら、単に数学的な複雑系システムに過ぎないように見える「経済」が、なぜ権力=暴力へと推移するのだろう?
    この論文集はさほど面白いものではなかったが、巻末の「権力」を巡る会話体の論文を読み、しばし思考に誘われた。

  • 法、権力、国家理性などの基本概念や、自由主義批判、決断理論、例外状態論などの主要テーマに取り組んだ7篇の論考

  • シュミットのいくつかの小論を集成した訳書。短いながらも、主権や具体的秩序、決断といったシュミット独特の思考モチーフがよく読みとることが出来る内容になっているものが多い。マイネッケに対する批判は、マイネッケがある意味政治的な問題関心をもって「国家理性」研究に踏み込んでいることを明確に指摘したものであり、思想史研究の方法についても啓発するところが大きいだろう。

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著者プロフィール

一八八八~一九八五。ドイツの法哲学者、政治理論家。「敵は殲滅せよ」という友敵理論や「例外状態」を想定して強力な権力の登場を説く「例外状態理論」などで知られ、ナチス政権の理論的支柱と言われた。戦後、逮捕・訴追されたが、ニュルンベルグ裁判で不起訴。著書に『陸と海 世界史的な考察』(日経BPクラシックス)、『政治的ロマン主義』、『政治的なものの概念』、『現代議会主義の精神史的地位』、『大地のノモス』他。

「2021年 『政治神学 主権の学説についての四章(日経BPクラシックス)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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