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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480095374
感想・レビュー・書評
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古代から現代にいたるまでの中国思想史において、論理学がどのようなかたちで考察されてきたのか、その特色はどこにあるのかといったテーマが論じられている本です。
著者はまず、中国の人びとの思考を規定している漢字および漢文の特色についての考察をおこない、個々の漢字によって表現される概念が具体的な「物」として把握されるという傾向を示すという指摘がなされます。つづいて著者は、古代中国思想史に目を向け、上で論じたような思考の傾向が、「名」より「実」を重視する立場につながることが論じられます。
さらに著者は、従来たんなる詭弁にすぎないと目されてきた公孫竜の白馬非馬説をとりあげ、それが形式論理学とは異なる意味および認識についての主張であったことを明らかにしつつ、法家の実念論的な立場が古代中国の政治的・社会的状況とどのように結びついていたのかということについても論じています。さらに著者は、同様の観点から現代中国思想にも目を向け、マルクス主義および毛沢東主義の影響のもとでの形式論理学と弁証法論理学の対立が、中国の政治的・社会的状況と密接な関係をもっているということを説き明かしています。
タイトルの「論理学」ということばが入っていますが、中国思想史の観点から「中国人の思考」について、いくつかのトピックをえらび出して論じた本といえるように思います。そうしたものとして、興味深く読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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