- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480096555
感想・レビュー・書評
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科学哲学の入門書としても役立つだろう本書だが、実は
科学哲学を学んだ人が改めて読むと一番面白い本なのでは
ないかと思う。当方、まだその域までは達していなかった。
後半は「実験」に重きを置く著者の立場がよく現れている。
その辺りは巻末の解説を読むとよくわかる。巻頭に各章の
まとめ、巻末に詳しい目次、実に読者に誠実な本であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
医学部分館2階書架 : 401/HAC : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170214
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哲学
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「科学哲学」における画期的な書とのこと。読んで大変面白かった。碩学の著者は哲学一般にも自然科学にも第1級の知識をもち、きわめて深いところまで考察している。
書名の「表現」というのは、主に科学哲学的な言説や理論を指す。その中心となるのは「実在論」に対する是非の論争だ。著者は「実在論」を採るスタンスだが、科学者の中にも理論上の知覚対象を「実在」とは認めないという人々がいるらしい。
とにかく前半の第1部が哲学書として非常に面白く、感心する部分も多かった。
後半の「介入」というのは、科学上の「実験」のことであり、これと「理論」「観察」との相互関係が探究される。化学的なエピソードが多く載っているが、私にはちょっと読みにくく、前半ほど面白くはなかった。
実在をめぐる「表現」そして「介入」が、人間による「実在」の普遍的アプローチである、と考えるのは納得できるものがあり、どちらかというと机上の思考ばかり繰り広げている哲学者一般も、少し反省した方がよさそうだ。