新・ちくま文学の森 1

制作 : 鶴見 俊輔 
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480101211

感想・レビュー・書評

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  •  森鴎外 訳「サロメ」を目当てに借りる。
     他の所収作も読む。名のみ知っている作家の作品に親しめるのはアンソロジーのよいところ。名前どころか、和田芳恵は女性だと思い込んでいた。
     「恋はきまぐれ」という題詠?のもと、古今東西の名作短編・詩・短歌が集められている。ただし、上田敏の訳詩は半ば日本オリジナルと言えよう。
     作品の並びに編者の思惑が読み取れる。「サロメ」の前に三島由紀夫「志賀寺上人の恋」を置いたのはお見事。
     日本人作家による短編では、横光利一「雪解」、川口松太郎「鶴八鶴次郎」、和田芳恵「掌の恋」が心に残った(うち二つが悲恋、一つが得恋)。
     外国人作品ではD・ラニアン「サン・ピエールの百合」。

     驚いたのが巻頭「ダフニスとクロエー」。あぁ、ロマンチストが何かと引き合いに出す「ダフニス〜」か。
     読んでみて「これ、ホントに古代ローマ人が書いたの? ピエール・ルイス辺りの偽作じゃないの?」(芥川の『奉教人の死』とか、文人ってそういう悪戯をやらかすじゃないですか)。

  • 里見惇「見事な醜聞」
    チェーホフ「犬を連れた奥さん」
    川口松太郎「鶴八鶴次郎」
    志賀直哉「襖」

  • 恋というものか何か知らない2人が惹かれあうロンゴスのダフニスとクロエ、叶わぬ幼い恋が切ない横光利一の雪解、年老いて初めて本当の愛を知った老人と寂しい日々を送っていた人妻との恋 チェーホフの犬を連れた奥さん、年も当時で40歳を過ぎた女性として全く興味のない上司の妻と戦時下、さ苦難を共にした後、若き主人公の情に変化が起こる、里見弴のみごとな醜聞。ただ生涯ひとり愛した女の幸せの為にわざと身を引く、悲しくも粋な川口松太郎の鶴八鶴次郎。悟りをとうに開き浄土を待つだけの上人が間際に美しき御息所へ恋をし、得脱するためには妄念を断ち切るためその恋を御息所へ打ち明けようと決意をして赴く話を書く三島由紀夫の志賀寺上人に恋。

    いろいろな世の中や立場の拘束の中での様々な愛の形が描かれた古典の名作集。

  • [ 内容 ]
    従来の評価や作家名にとらわれることなく、あらゆる文章のジャンルの中からよりすぐりの作品を編んだ「ちくま文学の森」に続く新しいシリーズです。

    [ 目次 ]
    <1>
    わすれなぐさ(ウイルヘルム・アレント)
    ダフニスとクロエー(ロンゴス)
    あいびき(堀辰夫)
    襖(志賀直哉)
    雪解(横光利一)
    お客さん(コールドウエル)
    サン・ピエールの百合(デイラン・ラニアン)
    アルルの女(ドーデ)
    隣りの女(タゴール)
    犬を連れた奥さん(チエーホフ)
    紙玉(アンダスン)
    鶴八鶴次郎(川口松太郎)
    掌の恋(和田芳恵)
    みだれ髪抄(与謝野晶子)
    志賀寺上人の恋(三島由紀夫)
    サロメ(ワイルド)

    <2>
    ジャムブリたちの住むお国(リア)
    ねずみと小鳥とソーセージ(グリム)
    猫の事務所(宮沢賢治)
    ソナタの形式による落語(竹内浩三)
    水滴(ブッツァーティ)
    父の気がかり(カフカ)
    卵(夢野久作)
    赤い繭(安部公房)
    ココァ山の話(稲垣足穂)
    水蛇(カルヴィーノ)
    首提灯
    聊斎志異(蒲松齢)
    雨ばけ(泉鏡花)
    心(夏目漱石)
    尽頭子(内田百〓@6BE2)
    牡丹燈記(瞿宋吉)
    鯉の巴(小田仁二郎)
    女と蛇(タラションコル)
    火焔つつじ(平山盧江)
    コーヒー沸かし(ゴーチエ)
    葬儀屋(プーシキン)
    侵入者(梅崎春生)
    それが誰れに分るのだ(モーパッサン)
    スフィンクス(ポー)
    名月(横光利一)
    エッジウエア通りの横町のちいさな劇場(グレアム・グリーン)
    女主人(ロアルド・ダール)
    美神(三島由紀夫)
    人でなしの恋(江戸川乱歩)
    火星植物園(中井英夫)

    <3>
    このよがくもん(幸田文)
    尋三の春(木山捷平)
    シモンのとうちゃん(モーパッサン)
    カブリワラ(タゴール)
    多忙な仲買人のロマンス(O・ヘンリー)
    うみがに(マナット・チャンヨン)
    幸福者(モーム)
    菊(スタインベック)
    文七元結(三遊亭円生)
    ごりがん(上司小剣)
    竹の子抄(今東光)
    ブルーフィルム(グレアム・グリーン)
    沓掛時次郎(長谷川伸)
    落穂拾い(小山清)
    青梅雨(永井龍男)
    イングマルソン一族(ラーゲルレーヴ)

    <4>
    我とわが身を罰する者
    クリックとクロック
    ブッチの子守唄
    マーカイム
    石川五右衛門の生立
    破壊者
    絢爛の椅子
    ジョコンダの微笑
    ダーダーと呼ばれた女
    セルヴィン事件

    <5>
    小曲二章(佐藤春夫)
    波より(ヴァージニア・ウルフ)
    少年たち(チェーホフ)
    ある小さな物語(モルナール)
    少女(ウンセット)
    行列(夏目漱石)
    牛乳(武田百合子)
    ずぼんぼ(幸田文)
    お栄という幼児(森銑三)
    英語教師の日記から 抄(小泉八雲)
    蔦の門(岡本かの子)
    孫とおばば(中野重治)
    胡桃割り(永井龍男)
    小さな逃亡者(タゴール)
    対応(ジョイス)
    力づく(W・C・ウィリアムズ)
    一日の期待(ヘミングウェイ)
    思い出より(太宰治)
    人の顔(夢野久作)
    小羊(ソログープ)
    赤い酋長の身代金(O・ヘンリー)
    小さな王国(谷崎潤一郎)
    ミリアム(カポーティ)
    少年探偵団(安野光雅)

    <6>
    雪の夜、森のそばに足をとめて(フロスト)
    菊の花(中野重治)
    ジガ蜂(島木健作)
    線路(広津和郎)
    風変りなロマンス(テネシー・・ウィリアムズ)
    山椒魚(コルタサル)
    火の魚(室生犀星)
    川(岡本かの子)
    鬼子母神(平林たい子)
    晩菊(林芙美子)
    好日(天野忠)
    凍ばれる(吉野せい)
    生命の尊厳について(富士正晴)
    そうかもしれない(耕治人)
    朝霧(永井龍男)
    父親(ビョルンソン)
    水浴(コストラーニ)
    蝿(マンスフィールド)
    清潔な明るい場所(ヘミングウェイ)
    老人の死(フィリップ)
    ヴィンセント・ファン・ゴッホ(C・アヴリーヌ)
    不思議なサーカス(高見順)
    終わりの火(檀一雄)
    終焉(幸田文)
    私々小説(藤枝静男)

    <7>
    くらげ小母さんと象(リンゲルナッツ)
    父、母、妻、子(菊池寛)
    秋(芥川龍之介)
    過去世(岡本かの子)
    遺品(中勘助)
    第三班長と木島一等兵(中野重治)
    天衣無縫(織田作之助)
    雪の話(武田麟太郎)
    愛の巣(ラードナー)
    生き口を問う女(折口信夫)
    切符をお切りします!(D.H.ロレンス)
    ピレートゥー(チャンダル)
    文違い(三遊亭円生)
    死んだガブリエル(シュニッツラー)
    耳瓔珞(円地文子)
    少女(野口冨士男)
    冬の日(永井龍男)

    <8>
    ?(堀辰雄)
    牧神の春(中井英夫)
    ある学会報告(カフカ)
    ある海水浴客の冒険(カルヴィーノ)
    女房を寝とられた二つの肉体(エーメ)
    眼玉首と脚(柴田宵曲)
    刺青の話(岡本綺堂)
    パーカーの背中(オコナー)
    欲望と黒人マッサージ師(ウィリアムズ,テネシー)
    笞刑(金東仁)
    ねむい(チェーホフ)
    そんなこたないす(ヒューズ,ラングストン)
    便利な治療(ボンデンペルリ)
    酒虫(芥川龍之介)
    ヴァルドマル師の病症の真相(ポー)
    そったく(幸田文)
    苺の季節(コールドウェル)
    二世の縁 拾遺(円地文子)
    ホーデン侍従(尾崎士郎)
    青塚氏の話(谷崎潤一郎)

    <9>
    骨のうたう(竹内浩三)
    鉛の旅(吉野せい)
    張徳義(長谷川四郎)
    二人の友(モーパッサン)
    まっぷたつの子爵より(カルヴィーノ)
    十二月のセワストーポリ(トルストイ)
    烏の北斗七星(宮沢賢治)
    雀(太宰治)
    ランドルフ・ボーン(ドス・パソス)
    戦争をやめさせる話(魯迅)
    軍楽(中野重治)
    象を撃つ(オーウェル)
    渡辺直己歌集 抄(渡辺直己)
    悋気の火の玉(桂文楽)
    男色武士道(池波正太郎)
    南から来た男(ロアルド・ダール)
    チャンピオン(ラードナー)
    コロンブレ(ブッツァーティ)
    コシヤマイン記(鶴田知也)
    不思議な出会い(W・オウエン)

    <10>
    日本奥地紀行より(イサベラ・バード)
    出発まで(山下清)
    日日雑記より(武田百合子)
    流浪の手記(深沢七郎)
    一日の王(尾崎喜八)
    秋の彷徨(辻まこと)
    爪哇(ジャワ)(金子光晴)
    豆の葉と太陽(柳田国男)
    五足の靴より(北原白秋ほか)
    飛騨の秘密(坂口安吾)
    房総鼻眼鏡(内田百(けん))
    旅商人の話(ディケンズ)
    黒んぼの人形(オコナー)
    なにかが起こった(ブッツァーティ)
    ウェークフィールド(ホーソーン)
    竹青(太宰治)
    心願の国(原民喜)
    酒の精(吉田健一)
    頻伽(渋沢龍彦)

    <11>
    逸題(井伏鱒二)
    食うえ物(国分一太郎)
    故郷横浜(獅子文六)
    母の好物縁日(池波正太郎)
    蜜柑の花まで(幸田文)
    ビスケット(森茉莉)
    枇杷(武田百合子)
    山鳥(夏目漱石)
    朝めし(スタインベック)
    愉しき昼食(上林暁)
    鱧の皮(上司小剣)
    鯛の妙味(深沢七郎)
    月にとび去る話(魯迅)
    ごちそう歌集(正岡子規
    若山牧水
    斎藤茂吉
    折口信夫
    岡本かの子
    火野葦平)
    食いしん坊より(小島政二郎)
    焼筍(青木正児)
    冷や飯に沢庵(子母沢寛)
    焼豚論(ラム)
    アンコウのドブ煮相撲とフグ(坂口安吾)
    船の御馳走(内田百〓(けん))
    伊藤整氏の生活と意見より(伊藤整)
    酢豆腐(桂文楽)
    茶粥の記(矢田津世子)
    饗宴(吉田健一)
    友人メリタルト(アポリネール)
    味(ロアルド・ダール)
    食卓の快楽について(ブリア‐サヴァラン)
    失われた時を求めてより(プルースト)

    <12>
    岩 オマハ族の歌
    御神木の切口(尾崎一雄)
    ボライ(タゴール,ラビンドラナート)
    赤蛙(島木健作)
    冬を越したハチドリ(サローヤン,ウィリアム)
    ヘビの神秘(ハドソン,ウィリアム・ヘンリ)
    住んだ場所とその目的(ソロー,ヘンリー・デイヴィッド)
    山・雪・星(野尻抱影)
    ワサビ盗人(井伏鱒二)
    槍ケ岳紀行(芥川龍之介)
    山(今西錦司)
    雷見舞(岡本綺堂)
    生神(小泉八雲)
    青春(コンラッド)
    人間の土地より(サン・テクジュベリ)
    サハリン島より(チェーホフ)
    イヴァン・ベリンのあやまち(ヨフコフ)
    ミソサザイの神が語った話(山本多助)
    沼(吉田健一)
    かげろう紀行(花田清輝)

    <13>
    十二夜より(シェークスピア)
    お笑い競キリン(秋田実)
    対話(山本周五郎)
    耳かき抄(木山捷平)
    トワーヌ(モーパッサン)
    成績簿なんてこわくない(ゴシニ)
    親愛なるグレタ・ガルボ様(サローヤン)
    血圧(ラニアン,デイモン)
    妻喰い男(チョンヤン,マナット)
    強制結婚(モリエール)
    影と閃光
    飛行ボートの怪(カミ)

    バケツ乗り(カフカ)
    名前ねぶり
    鼻かぎ嬢
    引きのばし男(カネッティ)
    選挙戦(フィッシェ兄弟)
    白象伝説(リラダン,ヴィリエ・ド)
    メカニズムの勝利(シュトローブル)
    アーナンディー(アッバース,グラーム)
    滑稽列伝(司馬遷)
    学ぶは遊ぶなり(森敦)
    笑いの練習(柳田国男)
    日本人の微笑(小泉八雲)
    死者を嗤う(菊地寛)
    寒山拾得(井伏鱒二)

    <14>
    マザーグースより(和田誠)
    古いノートから より(天野忠)
    雀こ(太宰治)
    「槌ッァ」と「九郎ツァン」は喧嘩して私は用語について煩悶すること(井伏鱒二)
    アメアルヨ(尾崎一雄)
    恋文(ベルナール)
    アリバイ・アイク(ラードナー)
    授業(イヨネスコ)
    イスール(ルゴーネス)
    アダムの日記(マーク・トウェイン)
    さらば箱船より(寺山修二)
    記憶の人・フネス(ボルヘス)
    関所をでてゆく話(魯迅)
    外郎売り(室町京之介)
    青山(武田百合子)
    ぬし屋名人・信太郎(斉藤隆介)
    文学祭(伊藤正)
    ×だらけの社説(ポー)
    「滑稽新聞」論説 より(宮武外骨)
    玉石集 より(飯沢匡)
    通俗書簡文 より(樋口一葉)
    樺太アイヌの音韻組織 諸論(金田一京介)
    大言海 本書編簒に当りて(大槻文彦)
    ニッポンの唄は何故に西洋楽譜に書けないか(兼常清佐)
    「千曲川旅情の歌」について(三好達治)

    <15>
    あやとりかけとり より(竹久夢二)
    えげれすいろは詩画集(川上澄生)
    虫類図譜抄(辻まこと)
    タヌキ(手塚治虫)
    サーバーのイヌ・いぬ・犬 序章(サーバー)
    囮り船(岡本一平)
    東京における生活(モース)
    避難小屋(今和次郎)
    密林の彷徨(小松真一)
    戦中気儘画帖より(武井武雄)
    隅田川両岸一覧 抄(木村荘八)
    氷魚の村君(菅江真澄)
    はるかなる山(上田哲農)
    山で見た星(野尻抱影)
    森の悲劇(シートン)
    私の草木漫筆より(坂本直行)
    足の裏 春の彼岸とたこめがね(小出楢重)
    劉生絵日記 より(岸田劉生)
    わが家の食卓(鴨居羊子)
    パリからの旅 より(堀内誠一)
    シャガール わが回想 より(マルク・シャガール)
    ゴッホの手紙 より(ヴァン・ゴッホ)
    クレーの手紙 より(パウル・クレー)
    へたも絵のうち より(熊谷守一)
    もうひとつの空より(有元利夫)
    ジャコメッティ 私の現実より(ジャコメッティ)
    イーナ・ワトソンへ(ルイス・キャロル)
    ある絵の伝記(ベン・シャーン)
    マオリの古代信仰 より(ゴーギャン)
    歌と歌絵(チッペワ族)

    <16>
    雲よ(谷川雁)
    老人と鳩(小山清)
    へんろう宿(井伏鱒二)
    一条の光(耕治人)
    善人はなかなかいない(オコナー,フラナリー)
    片腕(ウィリアムズ,テネシー)
    佐橋甚五郎(森鴎外)
    〓女抄録(矢田津世子)
    マラブートの唾(カネッティ)
    客(カミュ)
    大集会(ヒューズ,ラングストン)
    晴れたり君よ(宇野浩二)
    山桜(石川淳)
    セエヌ河の名無し女(シュペルヴィエル)
    すみれの君(ボルガー)
    船乗りの少年の話(ブリクセン)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 三葛館一般 908||SHI||1

    きまぐれな「恋」をキーワードに、文学に親しんでみませんか。
    健康的な恋「ダフニスとクロエ」から究極の恋「サロメ」(森鴎外訳)まで、古今東西の名作より抜粋されています。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=29311

  • 2008年2月某日読了。
    読み応えあり。

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