解剖学教室へようこそ (ちくま文庫 よ 6-6)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 638
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421616

感想・レビュー・書評

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  • 解剖への向き合い方の本。

  • 久しぶりに小説ではない本を読んだ。とても面白くすらすらと読めた。学問のあり方や、学習の面白さも再認識できたような気がする。

    人は言葉でものを区別する。区別できないものにも名前をつけるから、ややこしくなって、わからなくなる。だからわからないことは不気味で君が悪くなる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764837

  • 解剖、切り刻み、一つ一つ名前をつけて…が、大変な知的作業であり、知りたいという欲求の現れであったんだ、また、あらゆることに共通するプロセスを修得することなんだと。

  • とんでもなく面白い一冊!
    養老先生の本をなぜ今まで読んだことがなかったのか不思議に思うくらい。
    頭のいい人ってやっぱり何をしてもすごいと思うし、医師免許を持っている人ならではの視点で解剖について知ることができたのはかなり良かったです。

  •  この本はブックカフェで読んだ。今朝は体に疲れがあって1日まるで使いものにならなかったけれど、予約してあった美容院で前髪を切り、読書したらだいぶ気持ちが明るくなった。
     養老孟司の本は以前誰かと対談している本を読んだのだが、それがおもしろかったから著者の他の本も手に取ってみることにした。この本では著者が医師免許を持っていながらなぜ人を治す方ではなく解剖学に入れ込んでいるのか書かれていた。解剖学の歴史もかいつまんで知ることができたのだけれど、日本ではじめて解剖を行ったのが杉田玄白ではないことに驚いた。

  • 解剖学という学問の発展と考え方の整理を通じて学問をするということを語る本。
    解剖学の話そのものは単なる材料で、雑学的なオマケみたいなものなので、解剖学を知りたい人は別の本を読むべき。

    著者の専門を通じて中高生向けに学びの大切さを語る本は多くあるが、特徴的なのは語り口か。
    目の前の青年に向かって語るような文章は好き嫌いあるかと思うが、読みやすいのは間違いない。

    現代人の知識を水準にすると「病気の特定のために解剖する」というのは当たり前の発想だが、それはそもそも臓器の働きや位置関係など「正常な人体の仕組み」を把握していることが前提となる。
    そのような知識を得るためには、まず「人体の構造や働き」を知る必要があり、そのために行われた「系統解剖」が解剖の起こりなのであるという指摘は、本書でとりわけ重要だと思う。
    そもそも知識というのは、ずっとあったわけではなく、学問をする人たちの鋭い問題意識と多大な努力により見つけ出されたものなのである。

    この本を読んで、「学問は史学を通じて知識がどのような問題意識の発展を経て積み重ねられてきたのかを学ぶことが必須だ」という持論が自分の中で補強された。
    自分たちが直面しているテーマというのは、こういう各時代的なテーマの克服の連続の上にあることを理解しないと真に問題を理解したことにならないし、無味乾燥となってしまう。
    そして、このような自分の中にある水準との異なる知的水準、文化的前提などは時代の違いのみならず、地域の違いや価値観の違いによっても生じうる。
    こういうことを理解してはじめて「前提」を共有できるのであるし、常識が意味を持つのであると思う。そしてそれらを疑うことが意味をもつのも、その理解があってこそと思う。

    義務教育では限られた時間の中で知識を色んな生徒を大量に相手にしないといけないので、こういうことをいちいち説明するのは難しいだろう。
    だからこそ本を読むことが大切なのだと思うし、読書の有益さはここにあると思う。

    別の本の感想でも書いた気がするが、自分に子どもがいたら、(この本である必要は正直ないけども)こういう本を勧めたい。
    というか学校も小説よりこういうのを夏休みに1冊課題として読ませればよいのでは?

  • いやぁ、とんでもなく面白い。養老先生の他の著作も読んでみたくなった。

    以前もレビューに書いたが、「脱線力」のある人の本や話こそ、面白さに直結するんだろう。

    本書は解剖学だけ扱う本なのかと思えば、歴史学・生物学・哲学・美術学・言語学etc…色んな学問に関連づけて話が進む。あらゆる学問が横断的にそれぞれ繋がりを持ってることが改めて分かる。

    高校から手付かずの生物を勉強してみよっかな〜。

  • 解剖学のことを、事実だけで語るとつまんなくなるけど、哲学的に語るから面白い。

    そして生物として語れるところまで語って、事実の先の先は、哲学的に語ってくれる。

    入口と出口が哲学的。

    その割り切りがとても気持ち良い。
    生きるとは、死とは。

    体細胞は50回か60回しか分裂できない。
    成長は老い、分裂できなければ壊れてしまう。
    こう考えると、生と死はひとつ。
    別に考えがちだけど、ひとつなんです。

    西洋は心身二元論。
    日本は体と心もひとつ、一元論の考え方。
    でも心が優先で「心がけ」という言葉がある。
    でも心は脳なんです。

    難しい。

    アルファベットですべてを表現し、モノを分解する西洋の文化と仏教的な世界観をもっと学びたくなる。

    おもしろい。

  • 『唯脳論』(ちくま学芸文庫)で独自の人間学を披露した著者が、専門である解剖学のさまざまな話題をわかりやすいことばで語りつつ、解剖学から人間を見る視座を指し示している本です。

    もともとは「ちくまプリマ―ブックス」から刊行された本ということで、中高生に向けて書かれているのでしょうか、『唯脳論』や本書に近いテーマをあつかった『カミとヒトの解剖学』(ちくま学芸文庫)などにくらべると、著者の考えがこなれたことばで語られているように感じました。

    一般の人びとには「死体」というものになじみがなく、身近なひとの死も赤の他人の死も、その受けとりかたはまったく異なるものの、「生」と「死」を分けて考えることに特別な疑問をいだくことはありません。著者はそのような常識に疑問を投げかけることで、人間についての独創的な考えを紡いでいます。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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