短篇礼讃: 忘れかけた名品 (ちくま文庫 お 35-3)

著者 :
制作 : 大川 渉 
  • 筑摩書房
3.36
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本棚登録 : 52
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422385

作品紹介・あらすじ

名品発掘!「全集」には収められているけれど、なかなか読み返す機会のない小品。類まれなる才能を十分に開花させることなく早世した作家たちの心癒される短篇。野呂邦暢「水晶」、久生十蘭「春雪」、大坪砂男「外套」、久坂葉子「猫」など、とくに味わい深い12篇を集めたとっておきの文庫オリジナル・アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 小山清「犬の生活」、久坂葉子「猫」がとくによくて、この二人の他の著作も読んでしまった。小山清は「犬の生活」が一番よかったな。主人公と犬のメリーとの暮らし、触れ合い、素朴というか罪がないというか、とても心に触れます。他の作品もどれもけっこうよくて、渡辺温の「可哀相な姉」は久世光彦さんが美しいフレーズとして一部引用していたな(『美の死 ぼくの感傷的読書』)。姉は生活のために毎晩花を売りに出かけて行くんだけど、花を売るとはまあつまりそういうこと。でもこれが美しいって、男の発想な気がする。私は岡本かの子「川」の、お嬢様に心寄せながら奉公人として一身に奉仕して、それでも振り向いてもらえず事故にみせかけて川に身投げする直助のほうに美しさを感じてしまう、女だから。

  • 副タイトルに「忘れかけた名品」という言葉があるように忘れかけられている貴重な作家さんたちのアンソロジーでした。どの話も短いのに心のどこかに静かに楔を打ちつけてくれるそういう作品達でした。特に良かったのが、何気ない犬との生活を綴った「犬の生活」、すれ違いの男女を川で表現した牧野信一作品、岡本かの子の性への目覚めと川とのつながり作品、推理小説の要素もある言葉の魔術師渡辺温作品。他にも山川方夫、久坂葉子、野呂邦暢、久生十蘭とラインナップも豪華豪華!さくっと読める作品群ではないけれど、読んで良かったなあ。

  • 米澤屋書店で紹介されてた渡辺温『可哀相な姉』だけを読む。まさに可哀相な姉だった。何て残酷な。弟が大人になるのを嫌がっていたのから、姉の仕事は想像がついたけど、こんな結果になるなんて。人間って恐ろしいわと思っちゃう。

  • 読みづらいものが多いように感じてしまったので、また読む力をつけてから再読したい。岡本かの子の「川」が一番好みだった。

  • 2017.9.30みつづみ書房さんで購入。
    最初のほうのがどれもよかった。後になるほど苦手な部類だったな。しかしいろんな短編があるもんですな。

  • 才能に恵まれながら、それを充分に開花することなく早世した作家たちの短篇集。不運にも早世したということが頭にあったせいか、どれも儚い感じのする話ばかり。どれも繊細な感覚だなと感じたのが印象的。
    古い作品もあるけど読み易い。現代の作家とも違う独特の感性が新鮮。
    とくによかったのは、小山清『犬の生活』、渡辺温『可哀相な姉』、久生十蘭『春雪』、大坪砂男『外套』、久坂葉子『猫』あたり。

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著者プロフィール

小山 清(こやま・きよし):1911-65年。作家。東京浅草の生まれ。新聞配達などの職についたのち、1940年に太宰治を訪ね、以後師事する。太宰の死後、作家に。著書に『落穂拾い』『小さな町』『犬の生活』『日日の?麭』など。

「2023年 『小さな町・日日の麺麭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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