源氏物語 (第1巻) (ちくま文庫 お 39-4)

  • 筑摩書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424815

感想・レビュー・書評

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  • 古典エッセイスト・大塚ひかりによる『源氏物語』の個人全訳。
    随所に入る「ひかりナビ」解説で読むべきツボもおさえた一冊。
    全6巻中の第一巻、「桐壺」から「賢木」までの10帖を収録しています。


    この所ドラマなどでも話題の日本の古典文学と言えば、やっぱり『源氏物語』。
    『源氏物語』には、瀬戸内寂聴さんや谷崎潤一郎さん、角田光代さんなど様々な訳者のバージョンが存在していますが、私はこちらの大塚ひかりさんの訳したバージョンが楽しく、読みやすいと思っています。

    原文の雰囲気も残しつつ、随所に入る「ひかりナビ」では歯に衣着せぬ言い方でざっくばらんに解説やツッコミが入り、当時の風俗なども詳しく知れます。
    この部分は〇〇という説と××という説があるけど、私はこういう理由で〇〇説を採用して訳しました、等という説明もきっちり入るのも嬉しいです。
    例えば『あさきゆめみし』や国語の教科書などでざっくりストーリーを理解している、というような感じだと、漠然と考えていた登場人物に対する印象もがらっと変わるかもしれません。

    こういってはなんだけど、学生時代母の『あさきゆめみし』を読ませてもらって以来ずっと、正直光源氏っていけすかないなと思っていたんですが、いやいやそんな浅い知識で何をと。きちんと読み込んだら数多の女性が虜になる訳が分かるはずと思って読んで、1巻だけですが読了して、やっぱり苦手だな光源氏と改めて思いました(笑)
    特に六条御息所や藤壺、紫の上との関係なんか、こちらの現代感覚・女性目線はあるにしろ、かわいそうで見ていられないです。容易に手に入らない女性にばかり粉をかけて、本当にイイ趣味してますよね……。

    ちょっと熱くなってしまいましたが、源氏の人間性はともかく、古典文学といって連想する品の良い感じではないんですが、読みやすさならトップクラスかと思います。
    付録として、当時の信仰の背景なんかも載っていて、それも興味深かった。
    他の訳本に比べると少々入手し辛いのが難点かもしれません。

  • 「はじめに」と題した前書き部分には、次のように記されている。
    《古典は、できれば原文を読んだほうがいい。
    全部とはいわない、一部だけでも原文を味わってほしい、そのリズムや言葉の妙や時代背景をカラダで感じてほしい。
    そんな願いをこめて全訳した。なので、心がけたのは、原文重視の逐語訳、それでいて「分かる『源氏物語』」である。
    要するに、今まで自分が欲しかった全訳を目指したのである。》

    人気の古典エッセイストである大塚ひかりさんの本は、これまでにもいくつか読んで愉しませてもらったが、この『大塚ひかり全訳 源氏物語』も期待を裏切らない出来映えだった。学術的には、「エッ?」と思う部分も少しはあるけれど、それは彼女なりの解釈であって間違いではないし、学者さんの訳ではないから問題ではない。というより、誤訳に気づかない学者さんもいるから、それと比べれば、こちらのほうが学術的にも優れている。

    そして、『大塚ひかり全訳 源氏物語』の素晴らしさは、何といっても原文が持つリズムを失わずに、なおかつ分かりやすく書かれているところ。『源氏物語』に関するエッセイを書いて来られた大塚ひかりさんならではの内容の濃さであり、実に面白くて愉しめる作品だと思った。

    現代語訳もさることながら、随所に表れる[ひかりナビ]も光っている。ここで物語の解説がなされるわけだが、時代背景や登場人物の輪郭がはっきりと浮かび上がって理解が深まる。単純にストーリーを追いかける現代語訳だと読み疲れてくるものだが、[ひかりナビ]の存在が従来とはひと味もふた味も違った味わいを演出している。現代語訳『源氏物語』の、新たなスタンダードといっても過言ではないだろう。

    この作品は全6巻からなり、第1巻には桐壺から帚木、空蝉、夕顔、若紫、末摘花、紅葉賀、花の宴、葵、賢木までの10帖を収録。

    本の内容
    『源氏物語』を現代に通じる物語として鋭く読み解いてきた古典エッセイスト・大塚ひかり個人全訳。原文を重視した逐語訳でありながら、人物像や心理が際立ち、平安朝の物語が現代に通じる非常にリアリティのある物語として読める。随所に配された「ひかりナビ」という解説によって読むべき「ツボ」も押さえられ、さらに納得度が深くなる。第一巻は光源氏出生から二十台前半の「桐壺」~「賢木」。

    著者情報
    大塚 ひかり(オオツカ ヒカリ)
    エッセイスト。1961年、神奈川県生れ、早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。出版社勤務を経て、1988年、失恋体験を綴った『いつの日か別の日か—みつばちの孤独』(主婦の友社)以後、古典エッセイが多数ある。

  • 2024.01.06読了

  • 逐語訳とは言え、原文テイストも強めなので、大塚さんの解説有難し。
    光源氏のクズっぷりに苦笑いしつつ、男女の関係の機微は今も昔も変わらないじゃん!というのが率直な感想。
    6巻読み進められるか、不安。、

  • 元祖昼ドラ…
    源氏の藤壺に対するストーカー振りがホントにヤバイっす。

  • 和歌や文化的背景を解説した「ひかりナビ」がありがたい。今風の表現に徹したおかげで人物の関係や行動がわかる。原文にあたる前の一歩に最適だと思う。知識で知っていた有名な場面やイベントはこの10帖でだいたい起こっているのだな…。全6巻、あとも楽しみ。

  • 訳者による解説が堅苦しくなくて、読みやすいです。

  • 日本人なら誰しも知っている『源氏物語』が堅苦しくさを感じずに、楽に読める。
    あまりにも簡易すぎる箇所もありますが、読書の楽しみとして読むなら、十分な内容。
    充実のひかりナビがあるので、文化的背景や当時の文学的知識がなくても読めちゃいます。

  • 09/12/07
    「ひかりナビ」という訳者による解説がついていて読み進めやすかった。訳文も表現がストレートで、登場人物の心理が手に取るようにわかります。
    物語の中ではさまざまな歌集や漢籍から引用された語句やエピソードが多く、紫式部という人のマニアか?というくらいの博学さが感じられます。

  •  現代語訳源氏。それはそれは昔のこと、子ども向けの源氏を読んで分からなかったことが今となっては分かる! になったので面白ささらに倍という感じがする。

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著者プロフィール

平安時代の作家、歌人。一条天皇の中宮、彰子に仕えながら、1007~1008年頃に『源氏物語』を完成されたとされる。他の作品として『紫式部日記』『紫式部集』などが残っている。

「2018年 『源氏物語 姫君、若紫の語るお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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