李さん一家,海辺の叙景 (ちくま文庫 つ 14-3 つげ義春コレクション)
- 筑摩書房 (2008年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480425430
感想・レビュー・書評
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従来の物語性の強い作品から解放された、著者が1965~67年「ガロ」で発表した「沼」「李さん一家」「海辺の叙景」「チーコ」などの名作と、初期の貸本時代の作品数作が読める。ガロ時代の著作は、クラシック音楽で喩えれば、メロディを鼻歌で説明しようと思えば何とかできなくもないモーツァルトやベートーヴェンの作品ではなく、ドビュッシーの作品のように実際に聴いてもらう以外に説明のしようがない作品といえばいいのか、私小説風で何とも言えない深い印象と余韻を味わえる作品たちだ。物語性の強くないいわゆる純文学的な小説では、その作品の中で忘れられない印象を受ける「決定的な情景」が出てきて、その情景とはその作中の人物が出くわした「場面」だったり、あるいは「体験」と置き換えてもいいのだが、それらの断片が起承転結的な物語を差し置いてその作品を説明している、その情景や場面こそがその作品の肝である、ということを感じることが多いのだが、前述の作品たちも同様で、描かれた空の陰影や人物が配置された風景そのものがその作品の肝やオチになっていて、それが深い印象と余韻となって伝わってくるという感じがする。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764268 -
2017年4月27日
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収録の作品がバラバラすぎて評価は難しい。どれもそれなりに読ませるが、日常の不条理を描いたような作風が好きなので、本書はやや物足りない。
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裏表紙より。
マンガの歴史を変えた、つげ義春と『ガロ』の結節点!
後続の作家に大きな影響を与えた「沼」「李さん一家」など十八点を収録。
【収録作品】古本と少女/不思議な手紙/手錠/蟻地獄/女忍/噂の武士/西瓜酒/運命/不思議な絵/沼/チーコ/初茸がり/通夜/山椒魚/李さん一家/蟹/峠の犬/海辺の叙景
解説 夏目房之介
解題 高野慎三 -
M まんが
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年末にどうしても欲しくて神保町でも探して、結局Amazonで購入。
割高だったがそれに見合う読後感があった。
漫画とは斯くあるべき。