- Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480427731
作品紹介・あらすじ
『楢山節考』で登場し、文壇に大きな衝撃を与えた深沢七郎。『笛吹川』『言わなければよかったのに日記』など、独特の世界で知られる作家の作品コレクション。「流」の巻は小説を中心に収録。
感想・レビュー・書評
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6作品収録されており、民俗を題材にした「東北の神武たち」「みちのくの人形たち」と、役者を題材にした「千秋楽」「女形」「流転の記」にざっと分けられる。『楢山節考』もそうだが民俗を題材にした作品の方が断然読み甲斐がある。この本に収められたものの中では「千秋楽」が一番長いわりに一番退屈でがっかりさせられた。この人のほかの作品は多分もう読まない。
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津BF
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深沢七郎のちくま文庫場版アンソロジー、この巻は小説集。先日の中公文庫と「みちのくの人形たち」だけが重複している。
民俗学的なようでいて民俗学でない、虚構の土着性がおもしろい「東北の神武たち」など。
すこぶる長い「千秋楽」が印象的だった。
役者の弟子である青年が、初めて舞台に立つことになったと思ったら、それは歌や踊りやヌードなどがごたまぜになったショーで、そこで妙な人物たちと出会い、3ヶ月に及ぶ興行の日々を延々と描いている。最後もオチらしいオチはなく、著者のエッセイのように、はぐらかしてストンと終わってしまう奇妙さ。だがこの長々と書かれた興行記は、深沢七郎ならではの味わいに満ちているし、何故か淡々と進む夢の中の世界であるかのように思えた。
夢の中のできごとと同じように、不自然なのに不思議と実在感がある。
凄く面白い小説だと思うが、この独特な味は、翻訳して海外の人に理解できるのかどうか。 -
『揺れる家』の、冒頭の段落がリズミカルで、なんだかよくて、そこだけ3回、繰り返して読んでしまった。