全身翻訳家 (ちくま文庫 こ 39-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.89
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本棚登録 : 273
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428493

作品紹介・あらすじ

食事をしても子どもと会話しても本を読んでも映画を観ても旅に出かけても、すべて翻訳につながってしまう。翻訳家・鴻巣友季子が、その修業時代から今に至るまでを赤裸々かつ不思議に語ったエッセイ集。五感のすべてが、翻訳というフィルターを通して見える世界は、こんなにも深く奇妙でこんなにも楽しい。エッセイ集「やみくも」を大幅改編+増補した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 読みたかった本。豪快さと繊細さを併せ持つ鴻巣さん。翻訳の裏話みたいなのはもちろん、不思議な話にざわざわ感じたりと、読み応えあるエッセイ集だった。

  • 翻訳家という生き方。

    翻訳について、子どもについて、生活について、昔について。その職業を選んだ流れみたいなのが見えるエッセイが面白い。また翻訳の歴史が見える話も興味深い。「スカーレットと江戸ことば」あの明日は明日の風が吹くと訳したのは誰かについて。歴史を辿っていく謎解きが、個人の歴史と重なり合うところが素晴らしかった。

  • 『明治大正翻訳ワンダーランド』を読んで以来。
    さすがだなあ、と思う。

    翻訳者のエッセイなら、先ごろ岸本佐知子さんの作品を読んだ。
    あれもとても面白かった。
    岸本さんのサービス精神と、稀有のキャラクターのなせる文章だった。

    こちらは、エッセイから伝わる著者の生活ぶりもすてきだが、翻訳者としての苦心や気配りなどが、より突っ込んで書かれている部分が印象に残る。

    『風と共に去りぬ』の、「明日は明日の風が吹く」という名訳。
    これは誰のものなのか。いつから流布したのか。
    「スカーレットと江戸ことば」はこの事情を明らかにしていて、とても面白かった。

    阿部知次の昭和十一年の抄訳にはじまり、数々の訳を見てもそれらしきものではない。
    どうやら菊田一夫が舞台にかけたところがはじまりらしく、その舞台に立ってきた黒柳徹子の証言を得る。
    それが、江戸っ子の流行りことばだった、とは。
    こういう、深く深く、一つの言葉、表現にも意識を向けていくところが流石だ。

  • この方の文章、かなり好きです。
    日常の描き方、言葉や文章の考察などおもしろく読んだ。

    外国文学にほとんど触れてこなかったことが悔やまれる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      翻訳家のエッセイはとっても好き。私が外国語コンプレックスだからかなぁ~
      翻訳家のエッセイはとっても好き。私が外国語コンプレックスだからかなぁ~
      2012/07/09
  • 失礼ながら、実際のところ翻訳文芸を全く読まない人が敢えてこの著者の本を手に取る可能性は大分低いだろうから、そういう人達は読者として想定されていないようで、その手のまどろっこしさはなく、サクサク読み進められる。あ、感じ悪い?(笑)

    柄谷行人が禁煙する話とか、長野県上田市で温暖化対策で密かにミカンの試作してる(シークレットって書いてあるけど出版物に公表していいのかw)とか、貴重なエピソードもあり。ちょいちょいとご自分の新訳の話が出てくるので、読みたくなっちゃう!『嵐が丘』辺り。

    お料理はだいぶお得意そう。お酒がお好きでスイーツは今一つ、らしい。神社仏閣のお好きなお嬢ちゃんはもう大きくなったのかな。

    思春期に『テレーゼ・デスケルウ』にハマった口で雨がお嫌いとは甘いなあと思いつつ、でも私も『城の崎にて』で蜂が死んでるのは畳の上だったと思い違いをしていたので、おあいこということで。ん?何が?(笑)

    東京農大の「バイオリウム」に行って、キツネザルを見てみたい★
    筆者のご近所「下高井戸シネマ」も行ってみたい★

  • トピックはバラエティに富んでいて、文章は回りくどくなく、オチもあったりしてすごく良い。
    わざとらしさのない、好きな感じの文章。

  • 2011-8-12

  • 読書量の多さに圧倒される。ワインなどお酒の知識も豊富。

  • 新書文庫

  • 著者の翻訳書を読んだことはないのだが,エッセイは面白い。
    図書館の新着棚から拝借

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著者プロフィール

英語翻訳家、文芸評論家。古典新訳にマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』、シャーロット・ブロンテ『嵐が丘』、他訳書に、J・M・クッツェー『恥辱』など多数。著書に『翻訳ってなんだろう?』、共著に『翻訳問答』など。

「2020年 『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鴻巣友季子の作品

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