クマにあったらどうするか ――アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)
- 筑摩書房 (2014年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480431486
感想・レビュー・書評
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kumaにあったらどうするか?
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クマにあったらどうするか?
帯に「あなたがクマにあったらどうしますか?」と質問していて4択になっている。「本書を読む前にお答えください」と書いているので、とりあえず答えておいて本書を読み始めた。以下の四つである。
①死んだフリをする
②木に登る
③リュックを置いて逃げる
④腰を抜かす
私は引っ掛けだと思っているから、巷に言われている①は選ばない。③を選んだ。
で、本書後半に、答が一応わかるのですが、ちょっと驚愕です。
アイヌ民族最後のクマ撃ち猟師である姉崎等さんは、2013年に亡くなった。90歳だった。本書はアイヌ研究のスペシャリストで、映像ディレクターの片山龍峯さんという最高の聴き手を迎えて、約330ページに渡ってその経験と知恵を余すことなく記した本である。おそらく、ヒグマ撃ち猟師の中で、この本を読んでいない者はいないだろう。それだけ説得力と具体性に富んだ本だった。
また、姉崎さんは、近代的な武器(銃)や装備を使ってクマ追いをしているけれども、それでも原始の縄文人がどのように猟を行ったか、いろいろと想像出来る語りになっていた。ほとんど自然と一体になった、その行動のひとつひとつ、とっても参考になった。
昨今のクマの里山出没、人喰いクマの出現で、都会の人間は「クマって怖いなぁ」と思っているかもしれない。「クマが怖い」という言葉が怖い。と、姉崎さんは言っている。これを読んで私は、「少し環境が変わっただけなんだ、クマは昔から怖かったし、怖くなかったんだ、今もそうだ」と思った。
温暖化の影響、長い間の里山開発、等々の理由があるとは言え、昨今の熊の大量里山出没を、姉崎さんならばどう思うだろうか?どのように対処の提言を示すだろうか?ホントに「クマの気持ちがわかる」姉崎さんの意見を、是非とも聞きたい。 -
姉に貸したまま返ってこない
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カテゴリはあえて「実用書」に。
姉崎さんの話を聞いていたら、クマが愛おしくなった。
クマは平和主義者で、本来人を襲うような動物ではない。
クマは人間が怖い。
クマは人間をよく観察している。
ルールを守っているのはクマで、守らないのは人間。
無性にクマに出会いたくなる。
私がもし山でクマに出会ったら、こうするぞ。
じっと立って動かない。大声を出す。
子グマのほうは決して見ず、かつ親グマから目を逸らさない。にらめっこで根くらべ。絶対に逃げたり走ったりしない。
車のガラス窓のパッキングを常に携帯し、ヘビのように振り回す。持つ銃は、1弾式の村田銃。
もし最後の最後で、クマに組み伏せられて食われる寸前の段階になってもあきらめない。
こぶしを作って腕を思い切りクマの口の中に突っ込んで、クマの舌をつかんで引っ張る。←できねえ〜
あとは山(クマのテリトリー)に入ったら、食べ残しを絶対に山に残さない。
人間の習慣で(クマは)悪者にされちゃったんですよ…という姉崎さんの言葉が身にしみました。
良書。 -
図書館で借りた読みかけの本が何冊もあったのに、本屋で偶然パラ見したこの本があまりに面白くて勢い購入、読破しました。タイトルは「クマにあったらどうするか」で、実際クマとエンカウントした場合の対処法も書かれていますが、地球で人間が他の生物と共存していくにはどうすればいいのかという大問題にも示唆を与えてくれます。
昨今のクマ問題に関して、自分自身の中で「処分すべきか共存すべきか」の答えが出ていなかったのですが、結論が出ました。読んで良かった、ありがとうございました。 -
アイヌの猟師の方に聞き取りをするという形で書かれた本だった。
自分も登山をするのでクマへの対処という部分を特に集中して読んだ。この本によるとクマに対しては堂々としていたずらに怯えないで対処するのが良いという結論だった。
夏山の時期にまた読み返したい。 -
アイヌ民族最後の一流の狩人が熊と狩猟についてすべてを緻密に語ってくれてて、その膨大なインタビューを文書化した貴重な一冊!
20年近く登山を楽しんでいてバリエーションルートも歩く身でありながら、この人に比べて山の経験や知識は恥ずかしながら足元にも及ばないと痛感しました。
現場人だからこその経験値と洞察力がすごすぎて、ため息しか出てきませんでした。
また後半に山の自然破壊についてさり気なく語っていますが、人間が異常に独占的すぎるんだなってマジ思いました。
力もあるんだし今こそ山の生き物たちや未来人にむけて森を再生するタイミングじゃないかって思いました!!
(今までの環境破壊を猛省し、森の再生に徹底的に税金が使ってほしい。将来投資だし結構ありだなって思います。) -
今年最初の一冊は
アイヌ民族の最後の狩人姉崎等さん
(姉崎さんはアイヌ民族と日本民族の
二つの民族の血を受け継がれていました)への
片山龍峯さんの何回かにわたるインタビューを
文字におこしまとめた“クマにあったらどうするか”
です~
全国でクマの被害が報告されていますが
もともとクマは人間の近い所に住んでいた動物、
極力人間に会わないようにと暮らしていたのが
なぜ人間が襲われることが多くなったのか
帯にもあるように
この本はクマ知るための教科書です!
“クマは人を観察している”
“一度人を襲ったクマは駆除しなければならない”
“もともとクマは人間の傍で生きてきた”
クマの食物が減ってる現実は、気候やクマの出産だけでなく、原生林を伐採して、成長の早い針葉樹ばかりを
植林したことにも原因がないとはいえません
“規則をよしんば作っても
クマの方は守るかもしれないけれど、
人間の方は守らないでしょう”
という姉崎さんの言葉はとても重く、深い言葉です。 -
違う理由で手に取った一冊だが…
ものすごく為になった(笑)
実体験に勝る説得力はなし
熊をお師匠さんと呼ぶアイヌ最後の熊打ち…
なんだか矛盾があるような気もしたが読んでみると、成る程ねってところでしょうか。
相手を知るには対等に向き合うこと、受け入れること…それはとても大事なことなんだと改めて考えさせられた一冊でしたとさ。 -
読んでよかった!
すごく良かった!
12歳から77歳まで、65年間もクマ撃ち(ハンター)として生きてきた姉崎さん。
姉崎さんご自身は、屯田兵とアイヌ民族女性とのハーフで8歳のころから蘭越~千歳周辺のコタンで育つ。
ハーフであったため伝統的な狩猟についてはなかなか教えてもらえず、結果として単独行動をする珍しいハンターとなり、「クマは私のお師匠さん」「クマの心がわからなければクマは獲れない」という姉崎さんの言葉に繋がる。
徹底的にクマの行動を観察し経験を積んだ実証主義の姉崎さんから聞くからこそ、納得せざるをえない数々の言葉…。
この1冊だけで
<1>姉崎等さんのアイヌ民族最後のクマ撃ちとしての人生を振り返り
<2>姉崎さんの経験から、クマの習性やクマにあったときの対処法を学び
<3>クマと人間との共生とは、どのような状態を目指せばいいのかを考える
という3つに触れることが出来る、とても充実して贅沢な内容!
「少数民族について」とか「北方民族圏の生活」とか「知里真志保の著作」とか…知りたいことはいっぱいあったのに、それぞれがあまりにも学問として広範囲で深くて、取っ掛かりが掴めず全然手に負えなかったけれど、今回、姉崎さんと片山さんのインタビュー形式で「姉崎等さん」という方の人生に触れたことで、少し扉が開けた!
本当に、読んでよかった~。
メールにはちゃんと書かれてました。
【被害防止ポイント】
●不用意に近づいたりすると、噛まれたりひっかかれた...
メールにはちゃんと書かれてました。
【被害防止ポイント】
●不用意に近づいたりすると、噛まれたりひっかかれたりするおそれがあるので注意して下さい。
●動物に遭遇した場合は、刺激することなく、速やかにその場から離れてください。
●ゴミステーションなどに動物の餌となるようなものを置かないようにしましょう。
でも何時何分何処で見つけたか
役所に知らせることは、
役所は律儀に必ずきちんと記録しますから
その後の対策立てる上でもとても重...
でも何時何分何処で見つけたか
役所に知らせることは、
役所は律儀に必ずきちんと記録しますから
その後の対策立てる上でもとても重要だと思います。
クマ指定管理鳥獣へ 環境省が検討、保護から転換 年度内にも指定:北海道新聞デジタル(会員限定記事2023年12月27...
クマ指定管理鳥獣へ 環境省が検討、保護から転換 年度内にも指定:北海道新聞デジタル(会員限定記事2023年12月27日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/958011/