暗黒事件: バルザック・コレクション (ちくま文庫 は 19-5 バルザック・コレクション)

  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480431639

感想・レビュー・書評

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  • 「暗黒事件」「あん こく じ けん」なんとも人目を惹きスケールの大きく、しかしユーモラスな余裕も感じさせる題名ではないですか。

    ★★★
    ナポレオン帝政期のフランス、恐怖政治は越えたが、国内は王党派、共和国派、皇帝派入り乱れる時代。
    名門貴族のロランス・サン=シーニュ伯爵嬢、ユダの仮面を被った忠義者の土地管理人ミシュ、ロランス嬢に愛し愛される双子の従弟シムーズ家の青年貴族たち、ロランス嬢の後見人ドートセール夫妻とその二人の息子たち。自分たちの権利を復権させようとする彼らはある陰謀に巻き込まれる。

    伯爵家に遺恨を持つ現土地管理者マラン、冷酷な陰謀家の密偵コランタンに陥れられた伯爵嬢は、ついに戦地のナポレオンに直訴へと向かい…。
    ★★★

    前半は青年貴族たちと敵対する人物たちの駆け引きが冒険小説的、
    途中で当時の青年貴族の風習や、若者たちの可愛らしい恋の情景が描かれ、
    中盤は丁々発止の裁判描写、
    終盤はナポレオンやフーシェたちの駆け引きまで加わり、
    そして最後は三十年後に明かされる一つの真実…と最後まで盛沢山です。

    ヒロインはロランス嬢ですが、主人公的なのはミシュのほうか。怒りに燃えつつ純粋な魂を持ち豪胆で自分が誤解されることも自己犠牲も厭わないなかなかな人物。

    ロランス嬢はもともとも意志の強さに加えて逆境こそ強さを発揮する女性。もっとも彼女も芯の強さを発揮できなくても平穏に過ごしたかったでしょうけれど。

    巻末の訳注や解説が充実しています。
    訳注には「この場面はのちに重要な意味を持つ」とか、
    ”鳩の翼”という髪型に対する訳注が「この人物は禿げ頭と言うことを表している」とか(画像検索してみたが見つけられず)、
    丁寧と言うか目線が面白いというか。

  • ミシュが最高。最後のミシュがXXされる場面では涙が出そうになった。ミステリー仕立ての歴史小説という趣。ナポレオンやタレーランも登場する。バルザック作品の中でも「ゴリオ爺さん」よりもこちらの作品の方が私は好みだ。最後にちょっとカメオっぽくラスティニャックが顔を出した。

  • 途中で止められなくて一気読み。この巻はコランタンが暗躍。対するは誇り高き伯爵令嬢ロランス。仕掛けられる罠、陰謀有り、恋愛有り、丁々発止の裁判劇有りでハラハラし通し。結局ロランスが事件の全貌を知るのは彼女の守ろうとした人々が皆死んでしまった後で、歴史の渦に巻き込まれた彼女を思うとやるせない。
    それにしてもすごいのはバルザックの人物描写。その眼差しから服装、内面まで、自分が画家なら一人一人の肖像画が描けそうだ。だからだろうか、善人も悪人も皆魅力的でそんな彼等を追いかけずにはいられない笑。

  • (後で書きます)

  • このバルザック・コレクションは、とにかく表紙のデザインが素晴らしい。三巻と言わずに、もっと刊行してください!

  • <閲覧スタッフより>
    亡命貴族の兄弟たちがナポレオン政権の転覆を企てる。しかし彼らの計画は、ナポレオンの側近たちによって悲劇的な結末へ。第一帝政時代の息苦しい社会状況や当時の司法制度をみごとに反映させた読応えのある歴史政治小説です。柏木先生の新訳でぜひ読んで下さい!
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    所在記号:文庫||953.6||ハル
    資料番号:10224461
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