ロルドの恐怖劇場 (ちくま文庫 ろ 9-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433756

作品紹介・あらすじ

二十世紀初めのパリで、現在のホラーやスリラーの源流となったグラン・ギニョル劇。その代表的作家ロルドの短篇小説傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀末から20世紀半ばまで、パリの夜に悲鳴を響かせた
    恐怖大衆演劇のグラン=ギニョル座、
    そこで百本以上の脚本を書き「恐怖王」の名を恣(ほしいまま)にした
    座付き作家アンドレ・ド・ロルドの短編小説集。
    劇場の成り立ちとロルドの人物像については
    『グラン=ギニョル―恐怖の劇場』http://booklog.jp/item/1/4624700651
    で知っていて、具体的な芝居の内容は
    『グラン=ギニョル傑作選』http://booklog.jp/item/1/4891768088
    で大まかに把握していたが、小説版は初めて読んだ。
    1編がコンパクトで、おやすみ前にちょうどいい。
    が、まだ影響を受けたような筋書きの悪夢を見るに至っていない(笑)。
    各編は意外にマイルドで、
    もっとえげつない話を期待していた読者としては、
    やや肩透かしを食った感があるが、
    小説なので、読み物としての完成度を高めることを優先すると、
    こうなるのかな、といったところ。
    雰囲気が好みに合うという人は、これを取っ掛かりに
    上記の戯曲集にアタックするのがよいかもしれない。
    脚本の方がズバズバッと容赦なく残酷。
    ちなみに「恐怖」と言っても、ここには幽霊や超常現象は登場しない。
    描出されるのは、今日明日、誰の身にも振りかかり得る災厄の数々。
    個人的にはこちらの方が余程リアルに怖い。
    ところで、ブルトン『ナジャ』で言及されており、
    『グラン=ギニョル傑作選』でも少しだけ紹介されている、
    グラン=ギニョル座とライバル関係にあったドゥー・マスク座(雙面劇場)の
    「気のふれた女たち」(「狂気の女たち」)という芝居が、ずっと気になっている。
    女生徒を捜索していると、その少女は夜明け前、
    医療戸棚の中から頭を下にして床に崩れ落ちてくる……というもの。
    邦訳は出ないだろうか。

  • グラン・ギニョル座の作品という事で分かりやすいストーリーであるものの、話の組立ては意外にロジカル。設定を変えれば現代の作品でも十分受け入れられる面白みがある。

  • 一話が短くてスイスイ読めるし面白かった。
    今ではありがちな話にも思えるけど、当時はすごく斬新だったりしたんだろうなって。

    好きなのは、「無言の苦しみ」と「究極の責め苦」あたりかな。
    某有名映画のラストみたいな絶望感。

  • 血生臭く恐ろしい話もあれば、悲しみに満ちた話も、読後、嫌なしこりを残してくれるものも……。飽きなかった。
    最初に記されている通り、書かれた時代もあって今読むと「それはいけないだろう」となる箇所も多々あり……時の変化を感じた。

    「究極の責め苦」「ベリギーシ」「告白」の辺りが好き。究極の責め苦、告白などの読後感はたまったものじゃないのだけど、こういった話にどうしようもなく惹かれる感覚を覚えるのはなぜだろう。

  • グラン・ギニョル座の劇作家であり、「恐怖のプリンス」と呼ばれたロルドの恐怖小説集です。グランギニョルと聞くと、やはり血腥くスプラッターなイメージが浮かび、そんな先入観で本短編集を読み始めたのですが…予想に反して理智的。身体的な恐怖と言うよりは精神的な恐怖といった趣の、「狂気」に近い作品が多かった印象です。とにかく医者がいっぱい出てくる。解説を読むと理解できますが、精神医療と人間の闇。この手の恐怖表現は当時は新鮮でより恐ろしいものと見なされていたようです。現在からすればその分面白みも半減してしまうかもしれませんが、「ヒステリー患者」なんかは面白く読めました。
    あと「大いなる謎」。どこかゴシックロマンス的なイメージと幻想小説みがあって、個人的にはお気に入りです。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50019097

  • 幽霊的なオカルトはなし。小酒井不木とか小栗虫太郎とかに近い。

  • グランギニョル座の劇作家ロルドの書く小説はオカルトではない。狂った人間とスプラッタの恐怖であり、顔に硫酸、目玉に針を刺される恐怖だ。こんな作風の現代作家は日本では丸尾末広くらいしか知らない。ロルドの父は医師で死体を怖がらない子に育てたくて病院の死体安置所へ連れて行った。結果、ロルドは死体好きな人に育ってしまったそうだ。精神病院を退院間近の少女が見る悪夢は幻なのか現実なのか(精神病院の犯罪)。目玉への執着、いざりや小人、ナイフと鮮血。理屈を求める本ではない。ぶっ続けに読む本でもない。枕元に置いておいて変な夢を見たい寝苦しい夜に一編ずつ読むような、そんな一冊である。

  • もうとっくに処分してしまったと思い込んでいた物が思わず見つかって、驚き、喜び、そしてちょっぴり恐怖。いや、あなたのこと、忘れてたっていう訳じゃなくって。。。

    本の感想。非常にクラシカルに怪奇を表現されてます。それがオカルトでなく、人間の心の内側の黒いよどみ、精神的に入院している人達の現実離れした恐怖など。まあー、ほんとにねー、子供の頃図書室の本を引っ張り出し、床でそのまま読んでた時代にあったのよね、こういう感じの内容に挿し絵が入ってた素敵な。雰囲気は懐かしいけど、内容は結構ダイレクトにがっちり来ますね。

  • 面白かった。確かに全部、直球(笑。でも、「究極の責め苦」なんて映画化されたキングの「ミスト」じゃん!「精神病院の犯罪」なんかストレート過ぎてメッチャ怖いよ!

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