- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480433817
作品紹介・あらすじ
アルバイトを辞めた日、古本屋になることを決めた。古書店の世界と本がつなぐ人の縁、店の生きものたち……。店主が綴る蟲文庫の日々
感想・レビュー・書評
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ページを捲っているうちに、いつの間にか古本屋の匂いが周囲に静かに漂ってるような趣になります。淡々とした文章のようでいて、味わい深いエッセイ・・・というよりも随筆とよんだほうが似合うかもしれません。
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地方にも行ってみたい本屋さんが沢山あります。
書店なんてどこ行っても置いてある本同じでしょ?
と言われてしまいそうですが。
本でも他のものでも、買った場所によってその意味が変わる事ってありませんか?
僕自身はこの店で買ったこの本。という風に思う事が多々あります。
古本屋さんに関してはさらに個性が爆発している店が多いので、
一期一会の出会いになる事もしばしば。
そうなるとさらにどこの書店に行くかという事が重要になってきます。
そんな行ってみたい書店の一軒「蟲文庫」の田中美穂さんのエッセイです。
もう30年位営業しているようなので大ベテランですが、
21歳からやっているなんて本当に驚異的。憧れます。
ぼくと年もほぼ同じなので自分の事を思い返しても驚異的です。
とても読みやすい本ですが、30年近い時間が醸成した、
落ち着いた文章が本当に心地よい本でした。 -
21歳で古本屋さんになった人の話。
岡山県の観光地でポツンとやってるらしい。
古本屋さんを営む人って、
こういう人もいるのね、
こんな取り組みもやるのね
とか分かる本 -
倉敷の苔好き女性店主のエッセイ。やさしい時間が流れる。古本屋巡りがしたくなった。
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好きこそものの上手なれ
好きなことを続けたからこそ
トラブルをトラブルだと感じなかったのではないでしょうか
好きなことをおのずから見い出し
それを気負いなく続けていく強さ
ひけらかさない謙虚さが
憧れる生き方だなと感じました -
『わたしの小さな古本屋』は、倉敷美観地区にある古書店「蟲文庫」の店主さんが書いたエッセイだ。年末にぶらりと倉敷に行ったときに、同店で購入。お店の方と特に面識がある訳ではないのだが、いつ行っても粛然とした佇まいで接客をしてくださる店主が、どうして古本屋を開くことになり、どんな想いでここまで続けてこられたのか自然と興味が湧いて読みたくなった。
「勤め働き」には自分は向かないと思い、21歳のときに仕事で貯めた100万円を元手に古本屋を始めた著者。そこからの悪戦苦闘の日々や、店を通じての出会い、好きな作家や苔についてなどが素朴な文体で静かに熱く語られている。
“「出来ることばかりが能ではない、出来ないからこそ出来ることもある」
これは、心身の成長が遅く、愚図と言われ続けたわたしが、それでもこうして、なんとか世間との折り合いをつけられるようになるまでに得た、自分なりの人生哲学みたいなものなのですが、囲碁や将棋の好きだった木山捷平の名文句、「駄目も目である」にどこか通ずるものがあるようで気に入っています。
投げやりでも開き直りでもない、ただ「ともかくにも生きている」という実感だろうと思うのです。”
きらきらと華やかな成功体験ではない。ゆっくりと、ちょっとずつ、ここまで続けてきた街の小さな古本屋さんの軌跡。「出来ることばかりが能ではない、出来ないからこそ出来ることもある」という言葉に、そっと勇気を分けてもらう。 -
21歳の若さでお店を始め、ここまで続けられたのがすごいなと思う。私もお勤めできる性格ではなく、何か自分で仕事つくっていきたいなという悶々とした思いでこの本を見つけ、読んでみた。
地方の小さな古本屋でも、こうしてなんとか続けていられるのは、地域の中で、それなりに何か役割みたいなものもあるからだろう。そしてその役割とは、漠然と公民館に近いものではないか、というようなことを考えるようになりました。という文を読んで、まちの中で何か地域の人たちのためになっている、本だけではなくて本を通してつながる何かがあるからこそ人が集まってくるんだろうなと思った。そんな地域の居場所を作れるといいな。 -
第80回アワヒニビブリオバトル「出張!アワヒニビブリオバトル@天神さんの古本まつり」で紹介された本です。
2021.10.17 -
山尾悠子さんのエッセー「迷宮遊覧飛行」に
出てくるので読んでみた。
倉敷にある20年以上続く「町の古本屋」の
蟲文庫の主人田中美穂さんのエッセー。
二十歳そこそこのOLからいきなり知識もない
古書店に鞍替えする行動力は凄い(本人はことある
ごとにのんびり、いい加減を強調しようしてはいるが)。
苔や亀、友部正人との交流。
特に音楽に造詣が深い。1972年生まれとリアルタイム
では無いはずだが、ブローゼやジャックスあたりが
さらりと出てくるあたりは、充分、変った女子だった
のではないかな(笑)