消えゆく横丁: 平成酒場始末記 (ちくま文庫 ふ 34-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 57
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435972

作品紹介・あらすじ

昭和と平成の激動の時代を背景に全国各地から消えていった、あるいは消えつつある横丁の生と死を、貴重写真とともに綴った渾身の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 藤木TDC、イシワタ・フミアキ、山崎三郎『消えゆく横丁 平成酒場始末記』ちくま文庫。

    文庫書き下ろし。

    消えゆく昭和、そして平成。時代はうつろい、赤提灯や電飾看板に彩られた横丁酒場は消えてゆく。全国各地の小さな街の片隅にあった怪しげな横丁……

    大都会の東京や大阪の横丁酒場ばかり紹介する内容は期待とは異なり、文章よりも時代を切り取ったような写真の方が断然良かった。消えゆく地方都市の貴重な横丁酒場をもう少し紹介して欲しかった。

    本体価格920円
    ★★★

  • オリンピックに向けてどこもかしこも再開発で、どんどんキレイに街がシュッとしていく2019年。
    きれいになって、きっと治安もよくなって、緊急車両もちゃんと通れて、いいことなんだろうけど、隙間とか無駄がなくって味気ないなーなんて思っちゃう自分、エイジングの証拠かしらね。
    吉祥寺のハモニカ横丁とか新宿のゴールデン街は絶対に守っていきたい!

  • 横丁レッドデータブック。首都圏だけでも人生横丁、百軒店、彦左小路、丸三横丁、今川小路、神田小路、四十五番街、五間堀長屋、呑んべ横丁、下北沢駅前食品市場、大井新地、三原橋地下街、さくら新道、リバーサイドおでん屋台街、花月園競輪場・川崎競輪場…知っている横丁、知らなかった横丁、消えたこと知らなかった横丁、著者とカメラマンの肝臓で記録した横丁の墓碑銘です。しかし、そのどれも戦後に生まれたひとときの幻なのかもしれません。最近、強く思うのは日本の社会は戦中派が消えて「戦争を知らない子供たち」だけになった時にきっと大きく変わるんだろうな…ということ。たぶんどんなに幼い時でも戦争を知っている世代が日本の平和を支えてきたのだろうと感じています。たぶん本書に登場するようなお店の女将は、そんな世代なのではないか?「もはや戦後ではない」という経済白書は1956年のもの。しかし、戦後の残滓は戦中派の心の中だけでなく、闇市の派生である横丁飲み屋街に刻み込まれ続けたのだと思います。令和になって昭和がふたつ前の時代になり、戦争を知っている世代がどんどん召され、そして横丁の飲み屋も誰も受け継ぐことがなされずどんどん消えていく。東京が、日本中が焼夷弾を受け焼け野原になった証拠がすっかり消えてしまっている、そんなことはなかったような戦後復興の風化が、もしかしてTOKYO2020なのかも知れない、となんか焦った気持ちになりました。

  • 週刊朝日 2019.7.26

  • 酒は好きではないけれど、路地とか横丁にはかなり惹かれる

  • いわゆる横丁と言われる街中の酒場を、80年代から呑み歩いた著者による取材。

    横丁の由来は様々だ。戦前の商店街が飲み屋街になった所、青線と言われた私娼街から横丁に発展した所、屋台の禁止令から集約移転して出来上がった横丁、様々なドラマがある。

    決して広いとは言えないエリアに、ぎっしりと集まったお店。狭小な店内、そこには人と人のふれあいであったり、びっくりするぐらい安いお店、名物女将、今にも崩れ落ちそうなバラック。酔客を引き寄せてやまない魅力がある。

    しかし時代の変化とともに、横丁は消えつつある。老朽化による防火的な問題、生活の変化により若者が酒を飲まなくなってきた問題、夜サラリーマンの一杯が少なくなってきた問題。様々な複合的な問題から、横丁と言われる飲食店街は衰退しつつある。

    一部の横丁はブームとして復興しつつあるようだが、横丁はブームを乗り越えて存続して欲しい。戦後の焼け野原から立ち上がってきた、日本人の琴線に触れる 飲食店街だからだ。

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著者プロフィール

1962年生まれ。ライター。
映画、庶民史、酒場ルポ等のテーマを中心に雑誌・書籍に執筆している。
主な著作に「東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く」(実業之日本社)、
「辺境酒場ぶらり飲み」(リイド社)、「消えゆく横丁: 平成酒場始末記」 (筑摩書房)など。

「2022年 『失われゆく娯楽の図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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