ゴシックハート (ちくま文庫 た-72-3)

著者 :
  • 筑摩書房
4.24
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本棚登録 : 215
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438454

作品紹介・あらすじ

世界の理不尽を前にただ一人立つ人へ。「名著」にして「最先端」――不滅の文化論、再臨。(新章及び書き下ろしあとがきを追加収録)

感想・レビュー・書評

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  • File46.超越を考えるときに読む本|昨日、なに読んだ?|高原 英理|webちくま
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/1560

    『ゴシックハート』(高原 英理)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000182324

    ゴシックハート | 立東舎
    http://rittorsha.jp/bunko/16317409.html

    ゴシックハート 高原 英理(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480438454

  • やっぱりこの本に戻ってきます。他のゴスカルチャー書も読むようにはなってきましたが、やはり本書ほど私の意志に即した「ゴシック」を唱える本はありません。本書(と、やはり高原さんの『少女領域』)から呑み込まれるようにして、私には縁のないとばかり思っていた読書を始めましたし、そのようにして蒐められた私の本棚の半分以上の本もまた、本書に感化されて揃えたものです。つまり、他の感想にも書きましたが、『ゴシックハート』こそまさしく私にとっての聖書なのですね。「誇張し過ぎ」と思われるかもしれませんが、初読の折はものすごく衝撃を受けたし、世界への向き合い方、ほんとに変わりましたし、私の思考の中枢には、確実に本書があります。あの時この本を読んでいて良かったなぁって、今でも思います。

    とまぁ、勝手な自語りで恐縮ですが、そしてこんなことを捲し立てる私はゴシックハート歴約二年の未熟者ですが、新版を手に取った瞬間に込み上げてきたものがあったので、拙い感想(?)を残すことをご寛恕くだされ…

    ゴシック…。それは自己の必然にもとづいた命懸けの好み。私は、ゴシックでなければ生きられない。

  • 読了して自分自身の今までを振り返れば、物心ついたときから惹かれてきた色々なものが、著者の言うところのゴシックハートを内包していたのだなぁと気付かされる(もちろん、振り返らずとも分かりやすくゴスに分類されるものも多いけどね)
    そういう在り方しかできない、すべての人に。

  • ゴシックを愛する人のバイブル。ゴシックとは何かについて、その精神、人外、怪奇と恐怖、様式美、残酷、身体、猟奇、異形、両性具有、人形、廃墟と終末、幻想、差別の美的な配備の十三章に分けて、文学、芸術、音楽などを引用しながら説く。ゴシックハートを読むのは10年ぶりで、全て頷きながら読みました。自分がどうしようもなく惹かれるもの全てにゴシック精神が宿っていることを再認識。私はずっとゴシック者であり続けたいし、死ぬまでそうでしかいられないのではないかな、と。エピローグでは奥歯さんの話が。また彼女の日記も再読したくなりました。

  • ゴシックハート
     1 ゴシックの精神
      1 ゴシックハート
      2 ゴシックの歴史
      3 現在のゴシック

     2 人外
      1 「人外」の心 中井英夫、江戸川乱歩
      2 フランケンシュタインズ・モンスターの「人外」
      3 吸血鬼の「人外」

     3 怪奇と恐怖
      1 怪奇への愛 「アッシャー家の崩壊」
      2 恐怖の探求

     4 様式美
      1 「ゴシック耽美主義」の文学 三島由紀夫、澁澤龍彦
      2 絵画・映像のゴシック耽美 建石修志、村上芳正、ウィトキン、シジスモンディ

     5 残酷
      1 ゴシックな残酷さ 「責苦の庭」
      2 江戸川乱歩の作法 「残虐への郷愁」
      3 サドとその後裔 「悪徳の栄え」「マルドロールの歌」

     6 身体
      1 肉体という呪縛
      2 サイボーグ的超越 「攻殻機動隊」「銃夢」
      3 権力としての美貌
      4 選ばれなかった者の挑戦 「ヘルタースケルター」

     7 猟奇
      1 人体への執着
      2 身体欠損をめぐる物語 「芋虫」「使い切った男」「蝿男」
      3 死体を介した連帯 S・キング

     8 異形
      1 醜さと不幸 「のろいの館」
      2 醜さと悪 「みにくい悪魔」
      3 姉妹の物語 「おそれ」

     9 両性具有
      1 両性具有を望む精神 マリリン・マンソン
      2 天使/小悪魔のゲーム 浅田彰
      3 カストラートという性 「ポルポリーノ」

     10 人形
      1 球体関節人形の起源 ハンス・ベルメール
      2 ゴシック・ドール 四谷シモン、三浦悦子
      3 人形化願望 「O嬢の物語」「DOLL」
      4 人形主義 マリオ・A

     11 廃墟と終末
      1 廃墟を愛する心 レーンドルフ、フリードリヒ、グラック、稲垣足穂
      2 世界の終わり モンスー・デジデーリオ
      3 救済のない黙示録 「デビルマン」
      4 あてのない世界改変 「新世紀エヴァンゲリオン」
      5 中井英夫とグノーシス主義

     12 幻想
      1 過度の想像力と文学
      2 日本幻想文学の自覚
      3 ゴシック・シュルレアリスム キャリントン、バロ

     13 差別の美的な配備
      1 差別
      2 ヴィクトリア
      3 1930年代日本、探偵小説
      4 1960年代日本、前衛芸術
      5 現在
     筑摩書房「ゴシックハート」 2022年10月増補

     エピローグ ゴシックな記憶

     あとがき
    講談社「ゴシックハート」 2004年9月

    立東舎文庫版あとがき
    立東舎「ゴシックハート」 2017年1月

    ちくま文庫版あとがき
    筑摩書房「ゴシックハート」 2022年10月

  • ゴシックには惹かれるけれど、うまく言い表せずにぼんやりと認識していた好きなものについて、そのすべてを言語化してくれる本だった。
    紹介されている作品について、知っているもののほうが少なかった。本当にぼんやりとした認識しかなかったのだと改めて思ったのと同時に、そういった知識が少ないのにも関わらずゴシックハートがここにあるという不思議を思った。
    歴史を含め流れをすべて把握するのは難しいかもしれないけれど、文学・芸術方面で沢山の作品を知れたのは良かった。
    エピローグで、相反する心を持ち葛藤していた女性の話を読んで、二階堂奥歯さんじゃないかと思ったらやはりそうだった。こういう交流があったのですね。

  • 立東舎文庫版も持ってるのに、ちくま文庫版も買ってしまった。凄く好きな本。あらゆるテーマから「ゴシック」について語られている。改めて自分の中にも「ゴシックハート」はあるな…と再確認。

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著者プロフィール

高原英理(たかはら・えいり):1959年生。小説家・文芸評論家。立教大学文学部卒業、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。85年、第1回幻想文学新人賞を受賞。96年、第39回群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞。編纂書に『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』『ファイン/ キュート 素敵かわいい作品選』、著書に『 ゴシックスピリット』『少女領域』『高原英理恐怖譚集成』『エイリア綺譚集』『観念結晶大系』『日々のきのこ』ほか多数。

「2022年 『ゴシックハート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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