新版 慶州は母の呼び声 ――わが原郷 (ちくま文庫 も-7-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480439192

作品紹介・あらすじ

わたしが愛した「やさしい故郷」は日本が奪った国だった。1927年・植民地朝鮮に生まれた作家の切なる自伝エッセイ、待望の復刊。解説 松井理恵

感想・レビュー・書評

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  • 「慶州は母の呼び声」森崎和江著|日刊ゲンダイDIGITAL(2024/01/18)
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/334855

    森崎和江 終わりのない旅 - ETV特集 - NHK
    https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/5ZW1LPJ898/

    筑摩書房 新版 慶州は母の呼び声 ─わが原郷 / 森崎 和江 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480439192/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      > 特定出来ませんでした。
      1927年に生まれて17歳(1944年)で日本に戻るまでの期間のコトだとしたら。そりゃ...
      kuma0504さん
      > 特定出来ませんでした。
      1927年に生まれて17歳(1944年)で日本に戻るまでの期間のコトだとしたら。そりゃ特定出来なくて当然でしょう。。。
      それよりkuma0504さんの行動力驚かされます。
      2024/01/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「慶州は母の呼び声」森崎和江著|(金井真紀の本でフムフム…世界旅)日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www.nikkan-gend...
      「慶州は母の呼び声」森崎和江著|(金井真紀の本でフムフム…世界旅)日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/334855
      2024/02/13
    • kuma0504さん
      ご紹介ありがとうございました♪
      ご紹介ありがとうございました♪
      2024/02/13
  • この一年半ほど、
    「まっくら―女坑夫からの聞き書き―」1961、
    ラジオ「にっぽんの子守唄~出稼ぎの女たち(F面)」、
    ラジオドラマ「海鳴り」「いのちの木の方へ」「産湯の里」、
    現代詩文庫の「森崎和江詩集」、
    「からゆきさん」1976、
    とぼちぼち読んでいる。
    本書は1984。
    作者の著作は膨大なので全容を把握するのは難しそうだが、本書は作者にとっての根っこを描いているので、読んでよかった。
    まずは朝鮮植民二世としての、原罪意識。
    これだけなら辛さ一辺倒になりかねないが、さらに、生きて在ることのエロスを文章の端々から感じる。
    これは例えばこうの史代と片渕須直の「この世界の片隅に」や、おざわゆきの漫画「あとかたの街」に通じる、少女の目から戦争を証言する作品だと思った。
    作者は他の著作でいわゆる証言文学をものしているが、本書は自分の声を散文で残した証言文学でもあるだろう。
    「からゆきさん」の感想で、以下のように書いた。

    一人の少女が、成長過程で得た根拠地を引き剝がされた後、得たり失ったりした挙句、回顧するときどう思うか……その機微にまで、さすがに一読者は至れない。
    が、当人や関係者から話を聞いた森崎和江は、身が震えたのだろうな。

    これはおヨシさんという女性の話を森崎和江が書いていることを受けての感想なのだが、このときの「震え」は自分自身のものでもあったのだろう、と感想が深まった。
    また、以下のような詩がある。

    おはよう!/おはようと夜明けの空がこたえた/うれしくてからだがふるえたの/でもその空/にほんが攻めこんだくにの空でした

    これはそのまんま。
    所謂ポストコロニアル文学としても拡大して考えたい作品。
    それにしても、お父さんの偉大さに敬服。
    (森崎庫次についての研究論文が検索するとヒットする。)



    ■序章 007
    ■第一章 天の川 012
    ■第二章 しょうぶの葉 072
    ■第三章 王陵 110 
    ■第四章 魂の火 169 
    ■余章 226
    ■あとがき 247
    ◇解説 松井理恵 252

  •  著者のことはサークル村の主要人物の一人ということは知っていたが、その著作で読んだのは『からゆきさん』と『まっくら』の二冊。本書は、著者が自らの原郷とする生まれ育った朝鮮での17年間の生活を回想したもの。
     著者は、理想化肌の朝鮮学校の教師である父と、優しく慈しんでくれる母との間の長女であった。そして父の学校異動の関係で、慶尚北道の大邱、慶州そして金泉に住んだ。 

     幼き日の思い出から著者は朝鮮での生活を細部まできめ細かく描いていく。朝鮮人のアブジやオモニの姿も自らの見たままに生き生きと描かれる。こんなにも瑞々しく記憶にとどめ文章として表現できるというのは本当にすごい。

     愛情を注いでくれる両親ー特に父はあの時代に ”自由放任” を教育方針と言っていたほどの人物であったがーの下で育つ著者は、ある意味では内地の日本より伸び伸びと育ったのであるが、当時の朝鮮での体験を今の時点で書く著者の思いは苦い。自らの愛した故郷が日本が植民地としていた地であることを知り、オモニやアブジが日々の生活に痛みを感じ、日本人をどのように思っていたかを振り返って考えるようになったから。

     戦後ずいぶんの年月が経過したが、今なお重い問いを投げかけている一冊だと思う。

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著者プロフィール

森崎和江(もりさき・かずえ) 1927年朝鮮大邱生まれ。福岡県立女子専門学校(現・福岡女子大学)卒。詩人・作家。谷川雁・上野英信・石牟礼道子などと「サークル村」をおこし、文化運動・大正炭坑闘争を闘う。執筆活動・テレビなどで活躍した。主な著書に、『まっくら』『奈落物語』『からゆきさん』『荒野の郷』『悲しすぎて笑う』『大人の童話・死の話』『第三の性』『慶州は母の呼び声』など多数。詩集に『かりうどの朝』『森崎和江詩集』など。2022年、95歳で死去。

「2024年 『買春王国の女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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