病気と治療の文化人類学 (ちくま学芸文庫 ナ-34-1)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480511522

作品紹介・あらすじ

科学・産業が発達しようと避けられない病気に対し人間は様々な意味づけを行ってきた。「医療人類学」を切り拓いた著書による画期的著作。解説 浜田明範

感想・レビュー・書評

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  • コロナ禍のいまだから読むべき医療人類学の古典『病気と治療の文化人類学』|一田和樹note
    https://note.com/ichi_twnovel/n/ncbc87ea4862c

    波平恵美子「医療は文化人類学における〈周辺〉か」(J-STAGE)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/61/3/61_3_338/_pdf

    病気と治療の文化人類学 波平 恵美子(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480511522

  • 予想と違った展開、落ち着いた分析の口調、ゆっくりだが読み進めている時間が愉しかった。
    元は1984年に発刊されており、文庫化にあたって加筆修正がなされたとある。驚くほど、古典なんだと、改めて感銘したが・・・柳田国男、石牟礼道子、森田正篤そして世界に名だたるレヴィ・ストラースの流れを汲んだ本と認識。
    医学そのものというより文化人類学の枝葉の中に存する「医療従事者の参考文献の一環」と捉えたら分かりやすい。

    一部分では世界トップクラスと任じる向きもあるが、医学界の進歩は宇宙ロケットのスピード・・それでも【発達した社会でもなおみられる伝統的医療や信仰と治療の問題】はまだまだ解明が続く(世界の隅々を見ると尚の如く・・日本では然ることながら)

    よく耳にする【何も悪いことをしていないのに】病に罹る問いに現代医学は応えず、ユタ・シャーマン・呪術にすがるというモノだろうか。自分が納得するように、嵌まりの良いストーリーを作りそこへ当てはめていく認識。

    読後、ふと感じたのは「より直接的に利用され差別で正当化されて行く構造の補強となっている」社会。
    ~結核・ハンセン病など

    とはいえ小規模、閉鎖空間であるからと言えども【迷信的な疾病概念】が必ずしも発達するとは言えないところも興味深い。

    最近読んだ村上春樹の作品に酷似の匂いが共通しているのを覚えた。
    最期に最も面白かったのは滝沢馬琴の病日記。息子会社であることで高い知的階級に属していると思われる日常の生活の空気は意外だったり、面白かったり、納得いったり。。

  • 病気を理解する上での切り口は、西洋医学のメスによるものだけはない。我々現代の日本人は、病気を単なる「機械の故障」のように扱いがちだが、文化人類学的な切り口から見れば、もっと多くの意味をもつものだった。

    本書は1984年に刊行されたものを2022年に文庫化。しかし、古びた印象はなく、その時間の重みが、むしろ説得力をもたせている(学術的には古くなった面もあるのだろうが、素人にはわからない。その点は、文庫版解説でフォローされている)。

    過去の日本における痘瘡やコレラに対する対応など、コロナ禍の現在と比べることで、興味深く読める内容も多い。

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著者プロフィール

波平恵美子(なみひら・えみこ):1942年福岡県生まれ。九州大学卒業、米国テキサス大学博士課程Ph.D取得、九州大学大学院博士課程単位取得退学。佐賀大学助教授、九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)教授、お茶の水女子大学教授を経て、現在、お茶の水女子大学名誉教授。専門は文化人類学、ジェンダー論。著書に『ケガレの構造』(青土社)、『ケガレ』(講談社学術文庫)、『文化人類学 カレッジ版(第4版)』(編著、医学書院)、『病と死の文化』『日本人の死のかたち』『医療人類学入門』(いずれも朝日選書)、『いのちの文化人類学』(新潮選書)、『からだの文化人類学』(大修館書店)などがある。

「2022年 『病気と治療の文化人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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