英語バカのすすめ (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683731

作品紹介・あらすじ

本気で英語力を身につけたいのなら、全身全霊を傾け、「英語バカ」になることだ。自称「英語バカ」の著者の学びの道のりを追い「学ぶ方法」とその意味を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 英語の道、すなわち英語道についての網羅的考察!これは、奥深い書物だった。単なる英語本では無い!

  • 予備校講師として英語の指導をおこなってきた著者の自伝です。

    「僕は、英語バカでした。あまりにもまっすぐで、あまりに激しい異形の者だったと思います」と著者はみずからについて語っています。じっさい本書に書かれているのは、中学時代から空手とともに英語のスピーチ・コンテストにすべてのエネルギーを注ぐ若き日の著者のすがたです。大学時代以降も、英語の修得にかけるひたむきな姿勢はつらぬかれ、ときに周囲の人びととの軋轢を体験しながらも、一本気に目標に向けて歩みつづけてきたことが語られています。

    英語のスピーチ・コンテストで優勝することに青春の情熱をささげた著者は、そこで培われた発想にもとづいて「ロジカル・リーディング」を提唱し、予備校で多くの受講者の支持を得ることとなります。こうした著者の関心のありかたは、本書でも言及されている松本道弘に非常に近いように感じました。著者の英語に対する姿勢も、松本の「英語道」に通じるものがあるように思います。

    もっとも著者は、そうした英語とのかかわりかたを「長すぎる「イマージョン」の時代」と呼び、その後英語「を」学ぶのではなく英語「で」学ぶ「オムニボア」の時代に入っていったことを語っています。ただしそこでも、「道」に参究するといった著者の姿勢は変わらず、英語のディベートなどで活用される三角ロジックなどを活用することで、「道」に参究する姿勢を自覚的に把握しようとするまなざしがくわわったということが、その変化の内実であるようにも思えます。

  • 英語バカのすすめ ─私はこうして英語を学んだ。横山 雅彦先生の著書。好きこそものの上手なれということわざがあるけれどそれはどの分野にも言えること。本当の英語力を身につけたいなら英語バカになってただただ英語を追い求めること。英語バカになれれば英語力は身につく。私は自他共に認める読書バカ、本バカ、活字バカ。読書バカ、本バカ、活字バカであることでいつか何かの能力が花開くことがあればいいけれどその兆しはありません。読書バカ、本バカ、活字バカで自分が楽しければそれでいいのかも。

  • 今でも思い出しますね。
    2002年の夏季講習の【地上最強の英文速読マラソンゼミ】。
    10日間(2週間)で普通の予備校で2年分の英文読解を行う講習ですね。
    ほんと、授業は緊張感があって、脱落者も出る、前日は、眠れないぐらい怖い授業でした。

    この本は、横山先生の自伝です。
    いやはや、凄まじい内容です。
    これを読むと、気分が高揚して、「自分も英語を極めるぞ!」とか「何かを死ぬ気でやるぞ」と、
    一種のカンフル剤になるはずです。

    ただ、甘くないですよ(笑)
    10日間連続で、毎日15時間ぐらい英文を読むことはできますが、
    これを3年間毎日できますか?10年ぐらいかもしれません、っていうレベルですね。
    横山先生は、一種の求道者だと思います。
    この著作で横山思想のバックグランドが、少しわかった気がします。
    何か自身に戒律があるんじゃないかというぐらい、、、
    おそらくは、横山先生にとっての英語の学習は、宗教的な行為に近いものだと思います。
    そういう事情を知らないで、マネをすると、大変ですよ(笑)。

    私も、中国語を数年間、毎日、毎日、何時間も音読練習、読解練習しましたが、
    ほんと、狂いそうでした(笑)。大学教授などのインテリは、
    これに似たようなことをずっと続けるわけですから、
    ほんと、凄いと思います。

    好きなことを、ずっと人間はできません。
    好きなことも、やり続ければ、必ず飽きます。
    それでも、やる、やる、やる、そして、もうこれ以上できないぐらいやる、
    そして、またやる(笑)、これできますか?って話しですね。
    勉強もして、バイトもして、恋愛もして、旅行にもいって、、、なんてやっていたら、
    まず無理ですね。ただ、本当に学問したいなら、求道者になるしかないのかもしれません、
    ただ、それでも、食べていける人は、ほんのわずかです。
    今の日本は、少子高齢化、大学も今後20年間で半分は倒産するでしょうから、
    教授職も、もう安定とは言えません。
    また、日本の大学のレベルは、この20年間で、アジアのその他の大学と比べても、
    非常にレベルが下がっています。アジアの優秀な留学生は、
    まず、東大、京大には来なくなりました。
    この先、より顕著になるでしょう。

    ほんとのプロフェッショナルになるには、犠牲にすることは、ほんと多いですね。
    横山先生の自伝を読んで、また自分の経験からも、そう感じます。
    個人的には、横山先生の英語に対する情熱には本当に感服しました。

    日本で英語を必要としているのは、本当に少ない、なのに、皆勉強しなくてはいけない、
    勉強しても、使う機会が少ない、よほど意識的に使う機会を生み出さないと、難しい。
    アジアの他の国々とは、近代化の仕方が全然違いますからね。
    横山先生が指摘する通り、日本の近代化の核心は、
    西洋諸国の近代化に必要とされた諸概念を、日本では、日本語を変えて表現し、現代文として、
    日本人に教育したことですね。横山先生は、博士課程までの授業を母国語で受けられ、
    必要とされる文献があるのは日本だけと言いますが、今ならば、中国もあります。
    また、中国の大学の方が、日本よりも遥かにレベルが高いです。

    もし、日本で英語が必要とされるならば、書店に洋書が並んでいるはずですよね。
    しかし、書店に並んでいるのは、英語の学習方法や、それに関わる自己啓発、
    TOEIC,TOEFLなどの資格参考書ばかりですね。日本人の英語力は、
    アジアでは最下位に近い、これは、色んな見方がありますが、やはり社会的環境が影響していると思います。
    私は長いこと外国で暮らしていましたから、日本に帰る度に面喰いますね、
    ほんと、日本って外国語を使う環境にないと思います、それなのに、
    なぜか、英語を勉強しなければいけない(と思ってる)。
    たくさんの人が勉強しているが、外国語能力は、非常に低い。
    私は洋書や中国語書籍を読むのが、一種、趣味化してるので、当たり前に外国語に触れますが、
    欲しい本は書店にないので、Amazonや丸善に行って買い求めるしかありません。
    ほんと、お金がかかります。でも需要がないのだから、仕方ないです。
    需要がないのに、「英語を勉強する人」だけは、たくさんいる。
    ほんと、わけわからないですね、日本の環境は。

    日本は、英語のための英語ビジネスが、とんでもない規模ありますが、
    これは、一種のコンプレックス産業じゃないかと思うぐらいです。
    「英語をしゃべれないといけない、カッコ悪い」、
    「TOEIC700点はないと、就活できない」っていう理由で「英語を勉強しなくちゃいけない」って感じですね。

    この動機ならば、大学受験と同じですよね。
    日本の大学生の学習時間は、世界最低なことは有名ですが、
    受験に受かることが目的化しているからでしょう。これって、英語を学ぶ動機と同じですね。
    果たして、自分がよりよく生きていく上で、その動機は適切なのかよくよく考えた方がいいかもしれません。
    何でもそうですが、技能習得として1万時間ぐらい時間がかかります。
    毎日3時間必死に練習をして、10年かかる計算です。
    英語が本当にできるようになりたいなら、もちろんいいですが、なぁなぁで、
    やっても、時間の無駄だと思います。

    横山先生が言うように、戦後、日本人の英語力がピークだったのは70年代頃だと思います。
    「アメリカに学ぶ」をスローガンに、多くの人が英語を学習したと思います。
    今は、もう日本人には、学ぶロールモデルがなくなってしまいました。
    それは、日本の国家しかりです。
    大学受験のため、TOEICのため、キャリアアップのため、
    これらは、非常にわかりやすい功利的な理由です。
    果たして、この動機で、長く学習できて、自分の成長を味わえるでしょうか?

    私はこの本を読んで、横山先生は、自分が人生をかけて臨んだ英語学習を通して、「自分の生き方」を、
    若者に伝えたいんだと思いました。なぜなら、そういうオトナは、絶滅危惧種ですからね。
    そういうオトナというのは、「主体的に自信を持っているオトナ」のことです。

    周囲にいるオトナは、○○をやると、良いことあるよ、頭よくなるよ、受験に受かるよ、
    モテるよ、、、就活に有利だよ、そんなこという人ばかり、でもその人自身は、全然魅力的じゃない。
    若者も、大人も絶望しているのでしょう、そんな状況を少しでも打破したい、そんな思いで、
    この書籍を書いたんじゃないかと思いました。

  • 筆者が出会った素晴らしい英語の達人は、NHKの放送や著名な本などでよく聞いた名前であり、親しみを覚えた.英語と空手を巧みに織り交ぜてマスターしてきた過程が淡々として文章でうまく綴られている.小生もNHKラジオ講座で今も勉強しているが、Speakingが重要だという本書の趣旨は大賛成である.言語は喋ることが第一だが、外国語して学ぶからには当然文法もおろそかにできないと思っている.多くの点で、小生の英語道のアプローチと重なる部分が多く、参考になった.

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著者プロフィール

横山 雅彦(よこやま・まさひこ):1964年兵庫県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。現在、関西国際大学准教授。著書に、『高校生のための論理思考トレーニング』『「超」入門! 論理トレーニング』(ちくま新書)、『大学受験に強くなる教養講座』『完全独学! 無敵の英語勉強法』『英語バカのすすめ──私はこうして英語を学んだ』(ちくまプリマー新書)、『ロジカル・リーディング──三角ロジックで英語がすんなり読める』(大和書房)などがある。

「2023年 『英語のハノン フレーズ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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