- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480683830
作品紹介・あらすじ
完璧なる優美、子どもの無垢、美の残酷と壊れたような狂気、楽しさと同居する寂しさ――モーツァルトとはいったい何者だったのか? 天才の真実を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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モーツァルトという人と音楽を広く知ることのできる一冊です。楽曲について、モーツァルトの生きた時代や、彼の手紙をもとに分析されています。また、著者の考えにも納得させられるものがありました。
2021,2/27-3/1詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021/7/15
相変わらず岡田先生の本は面白いなぁ。
モーツァルトのピアノ協奏曲はよく聴くのだが、長調と短調の急な切り替わりによる「裏切り」の訳を知りたくて本書にたどり着いた。
本書を通読して何となくヒントは朧げに見えたような気がする。ただその先の理解は、モーツァルトという人間に肉薄しなければ決して掴めないだろう。
この状況はまるで、空にぷかぷか浮かぶ雲が、たとえ我々の目に見えたとしても、決して掴めやしないのに似ている。
そんな中、小林秀雄はその雲に必死に手を伸ばし続けたように思える。『モオツァルト』をひさびさに再読してみようかしら。
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面白かった。
クラシックは一切詳しくなかったので、モーツァルトを始めベートーベン等の近代音楽家が、それぞれ生きた時代や作品個性の違いが何もわかってなかったんだけど、この本を通して知識が広がったのでとても良かった。
クラシックの聴き方も多少心得た気がします。
前よりも聴いてて面白く感じるようになったので。
近代的思想の流行の過渡期に生きたモーツァルト、その世界の流れにおいて彼独自の音楽を展開したことが偉大であったようで。
時代背景からどういう影響を受けながら芸術家が創作をしたか、ということを知るのはやっぱり面白いなあ。
中公新書の『音楽の危機』をきっかけに知った著者で、当該著書を読む前に一冊挟んでおこうと思って手を付けた本書だけど(とか言って『音楽の危機』を読むのがいつになるのかはしらない)、音楽家に対する分析がとても鋭くてかなり興味深く読み進めることができました。観察眼と文章力がほんとうにすごいです。
特によかったのは、「『天才』とは何?」「『ところで』の奇跡」「幸福な阿保に神は宿る」の3章。 -
分かってはいても、もはや現代的な芸術家像の枠組みにとらわれずに、モーツァルトがどんな人だったか想像する事は困難です。さらに加えて日本人なら小林秀雄の影響も。
本当に全く純粋に「いま、ここで」流れているモーツァルトを聴く事ができれば、
一体どんな言葉になるのか?本書を読んでたらそんなことが頭に浮かびました。 -
「モーツァルトの天才の特異さは、桁外れの才能が「ごく普通の人間」、私たちとそう変わらない一人の人間と結びついていたことにある」親しみやすいのに真似できない、無邪気に見えて残酷なほどシニカル…いくつもの矛盾した顔をもつ天才の実像に迫る。
教育パパの呪縛から抜け出せず、世界初のフリー音楽家を夢見ながら時代に阻まれたモーツァルト。彼がもっと長生きしていたらどうなっていたのだろう?この本を踏まえてもう一度ミュージカル『モーツァルト!』を観返したくなった。 -
本を出す際に当たって、1番難しいと思ったのは聴覚に関しての本である。料理などの味覚も伝えるのは難しいが、まだ視覚の情報がある。しかし、音楽に関しては、視覚でも楽譜が読めなければ何の情報も入ってこない。そのため、文章でどんな音楽があったのか、どんな音楽をつくったのか、これらのことをどのような言葉で表現してあり、どんな想像が広がるのか気になった。またそれによって、想像力が身につくと思ったので、「音楽」というテーマをつけた。
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音楽に興味が今までなく、映画をきっかけにモーツァルトの人間性に興味が出て、読んでみた。天才にも種類があり、ベートーヴェンとモーツァルトの違いをわかりやすく説明している。読んだ後には、モーツァルトの曲を聴きたいという感情になる。
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モーツァルトの音楽には喜怒哀楽のすべてが凝縮されている。その作品数、ジャンルの多彩さなどからも天才としか言いようがないけど、それでいて偉大って形容は似合わない。18世紀後半、音楽家は職人から芸術家に変わっていくけど、最初の芸術家と言ってもいいかもしれない。
ベームがモーツァルトを評した「もしベートーヴェンに会ったら敬意のあまりひれ伏すだろう、だがモーツァルトに出会ったら喜びのあまり駆け寄って肩を抱くだろう」はまさしく至言。