漫画みたいな恋ください (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 235
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815453

作品紹介・あらすじ

恋人との確執、息子との衝突、漫画家としての苦悩――。『先生の白い嘘』など男女間の無理解を描き続けてきた漫画家による、逡巡と決断の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 漫画家・鳥飼茜が舞台を観る楽しさに開眼。ジェンダーギャップ、性差別などを描く演劇3本をどっぷり鑑賞体験|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
    https://moviewalker.jp/news/article/1118756/

    漫画みたいな恋ください|webちくま
    https://www.webchikuma.jp/category/torikai

    筑摩書房 漫画みたいな恋ください / 鳥飼 茜 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815453/

  • 漫画家の鳥飼茜の等身大の日記。

    自分に真摯に、背伸びせずに、思ったことを赤裸々に語る姿はさすが、物書きだなと。
    私小説を読んでいるような感覚。
    筆者に共感したり、嫌だなと思ったり。

    母親との関係、元夫との子供の親としての関係、子どもとの関係、彼氏との関係。
    関係によって、コロコロと視点が変わる。
    子ども、元妻、母親、彼女。
    立場に対して、筆者はいつもひとりの女性として佇んでいる。
    それぞれの役割に応じて器用に対応している訳ではないけども、そのそれぞれの役割に自分がちぎられてしまい、疲れてしまっている部分もあるのではないかと感じた。
    世の女性たちが感じる違和感なのではないだろうか。

    筆者がこの日記でエゴサーチをして、嫌いだという意見がたくさんあったと書いてあったが、それはよく分かる。

    筆者はマンガ家の彼氏(いにお氏)を、少女マンガの男性のように魅力的な人として書くけど、読んでいるこちらはそこまで思い入れがないから、胸焼けするし、ついていけない。

    でも、そういうところも含めて、漫画家のかっこいいはずの筆者は、どうしようもない一人の悩める大人の女性であるという、ドス暗い情念の魅力が沸々と涌いている。
    また、作家だけに、日々の生活に感じることがアーティスティックで、はっとさせられるようなフレーズがたくさん。
    作家は常人と切り口が違うなと思いながら、繊細な感性は、普通の生活を鈍感に送ることもできず大変だなとも思う。

    37歳の女性で、バツイチだけど、彼氏と恋をする姿は初々しい少女のようなのだ。

    漫画家として作品を生み出し、自立していて、子どももいて、別れた旦那さんともきちんと子供を育てている。
    そんな中、彼氏との関係に一喜一憂している姿は一見すると、愚かにも見える。

    でも、恋愛ってそんなもの。
    子どもがいながら、独立して、自分なりの考え方で、向き合っている筆者。

    子どもには怒ってばかり、どのように処していけばよいのか悩む。これは子供がいくつになっても世の中の親が感じること。

    母は強し、親はなんでもわかってどっしりと構えている。
    なんて幻想があるけど、実際はそんなことは全くない。
    それは世の中からのお仕着せなのだと思う。
    世の中の親たちは、そんな”常識”とふがいない自分自身とのギャップに悩む。

    筆者は、世の中の常識に沿わなければという考えではなく、自分なりの答えをいつも迷いながら探している。
    そこは本当のことを探したい、彼女の誠実さだと感じた。

    だけども、その探している状況は不安でもあり、自分の大好きな彼氏に認めてもらいたいと思う。
    本来であれば、そんなこと恥ずかしくてかけないと思うが、彼女は書く。

    漫画家の彼氏からすると、筆者はお姫様のように見えるという。
    __
    私は相手が何かしてくれるのを待っているだけで、でも自分ばかりが何かをしてあげている気持ちでいて、そんな自分のことをかわいそうに思っていて、だから不満が尽きないんだと彼が言った。
    一方的な感情と、それを言い訳するように取ってつけて見せたような卑屈さ。それが私の日記をと誦して彼が感じたことだという。
    不満が尽きないから我慢していることを察してもらおうというのがつあわって、それが相手をうんざりさせるんだって。
    そうやって理屈で説明されると自分の悪いところがありありと目で見えるようだった。
    __

    これはなんとなく、男性脳と女性脳の違いもある気がする。
    分析的に答えをだそうとする男性と、感情、共感をして欲しい女性の違い。
    男性からすると何がしたいのかわからないとなってしまう。

    この日記は主観的にかかれているようで、外からの意見が時々垣間見れるところ(主に彼氏が多いかな)に、客観性が出てきて、筆者の世界の立体感が感じられる良い部分だと思う。

    • kuma0504さん
      こんにちは。はじめまして。
      ゲッ!彼氏がいにお!
      漫画は評価しています。
      でも、女性を大事にするとは思えない。
      うーむ、読んでみたくなった。
      こんにちは。はじめまして。
      ゲッ!彼氏がいにお!
      漫画は評価しています。
      でも、女性を大事にするとは思えない。
      うーむ、読んでみたくなった。
      2020/12/01
    • deroderohさん
      こんにちは
      コメントありがとうございます!

      どうやら、いにおさんとはこの後ご結婚されたみたいです(^_^;)

      この本自体は、雑誌の装苑で...
      こんにちは
      コメントありがとうございます!

      どうやら、いにおさんとはこの後ご結婚されたみたいです(^_^;)

      この本自体は、雑誌の装苑で、知って読んだので、私は鳥飼さんの漫画は未見なのですが、漫画にも興味湧きました。
      2020/12/01
  • 鳥飼さんのマンガも大好きなのでこの日記(エッセイ)も楽しく読んだ。
    彼氏(浅野いにおさん)とのことや子どものことや自分のプライベートをかなり赤裸々に書いているなという印象。

    日記だから当たり前かもしれないが。

    この本を読んでますます鳥飼さんのファンになりました。

  • こんなに赤裸々に語るエッセイも珍しいと思いました。鳥飼さんは漫画家ですし、文字書きというわけでもない。けれど、本来なら言葉に言い表しがたい嫉妬、苛立ち、不安。数ヶ月毎日書かれた日記はいい日も悪い日も正直に書いてます。彼氏の浅尾いにお氏、はっきり彼氏の名前が書かれている箇所はないのですが、最近ご結婚されたのでそれを踏まえて読みます。漫画家同士のカップルなんて楽しそうと思われた方は覆されますよ。
    鳥飼さん視点なので本当に彼のことが好きなんだなと思いますが、彼氏の望んでる形が多少違うんですよね。複雑な行き違いを細かく書かれてて、驚きました。鳥飼さんは1人お子さんがいて、子供と母の葛藤も描かれてます。
    漫画みたいで、漫画じゃない恋愛。

    これをれ読んだら少しだけ自分に向き合って、人を恐れない気持ちが湧きます。みんな、もがいてるんですね。
    才能ある2人ですが、不器用です。
    当たり前のことが、描かれているので鳥飼さんに更に好感が持てました。
    応援したいです。

  • 鳥飼茜さんのエッセイ『漫画みたいな恋ください(2018)』を読了。

  • 30代半ばで子どももいるのに、こんなに恋愛に振り回される大人がいるのだなあと薄目で読んでいたけれど、性の非対称性について記した箇所や、子どもが成長して自分で環境を選べるようになっていたという気づきの部分を読んで、ああ、わたしはこの人のこういうところに惹かれて『先生の白い嘘』も読み切ってしまったのだなあと思った。人が見逃してしまうような違和感や引っ掛かりをキャッチして、自分の中に素直に落とし込み、アウトプットするのがうまい。

    良くも悪くもとても面倒くさい人だけど、真摯に丁寧に自分の気持ちと向き合ってしまう、そういう業のようなものを抱えているんだな、と。

  • 不器用なひと、読んでいて新しい発見もあり、結婚に夢を見ていないリアルな生活

  • 自分を語る勇気。

  • 彼氏→夫である浅野にいおの「漫画家入門」と同時期に書かれた日記。だから実体験は共有されているけど、互いに共感しているわけではないというのがあからさまに語られる。

  • 鳥飼茜さんの2018年4月~7月の日記をまとめた本。
    最初から遠慮なしで、彼女の気持ちの浮き沈み(沈んでいることかなり多い)を一緒に感じ、些細な出来事に一喜一憂してしまう彼女の幸せを願いながら読んだ。

    明るいハッピーエンドが好きな人は水戸黄門的な作品を読めばいい。鳥飼さんの漫画は、人間の感情を描いている。彼女の作品は暗い展開が多い。
    毎日の生活に水戸黄門はいない。あるのは自分の感情と周囲で暮らす人たちの感情だけ。生活のなかの、心の機微を掬うような展開が鳥飼さんの作品の魅力だ。

    鳥飼さんは付き合っている彼氏との心の距離や、小学生の息子との関係性に悩みながら生活を送る。
    睡眠薬に頼りすぎでは、と思う部分もかなり多く、彼女自身の健康が一番不安だったが、彼女はせっせと彼氏や息子との会話に傷ついたり喜んだりしていた。

    相手を大切に想うからこそ依存して不安になってしまう、という思考を前に読んだ本で知った。
    彼氏や息子を大切に想いすぎる鳥飼さんだから、感情が不安定になってしまうんだろうな。相手への気持ち、責任感で苦しそうな彼女の日記を読みながら、もっと楽に生きてもいいじゃん、と思わずにはいられなかった。
    つらくても妥協せず、男女の違いからくるもどかしさ、女性として生きて経験した理不尽な出来事やその時々の感情を、自身の作品に昇華させる鳥飼さんはかっこいい作家だ。

    本のなかでは”彼氏”だった浅野いにおさんと、後日結婚したエピソードをウェブ上で読むことで鳥飼さんの2018年の春から夏を読み終えたことになる。
    http://www.webchikuma.jp/articles/-/1499

    鳥飼さんも浅野さんも好きな作家さんだし、個性的な作品を描き続けてる人たちだから一般人にはわからないような難しい部分があると思うけど、大阪のお母さんも息子さんもみんなみんな幸せになってほしいな。
    (だけど作品は暗い世界を描き続けてほしい。それに救われる人はきっと多い)

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著者プロフィール

1981年生まれ、漫画家。2004年デビュー。主な作品に、『先生の白い嘘』(講談社)、『地獄のガールフレンド』(祥伝社)など。「ダ・ヴィンチ」で『マンダリン・ジプシーキャットの籠城』、「週刊SPA!」で『ロマンス暴風域』を連載中。ツイッターはこちら→@torikaiakane

「2018年 『漫画みたいな恋ください』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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