- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480888051
作品紹介・あらすじ
手塚治虫の単行本デビュー作「新宝島」は、後の有名マンガ家たちからマンガを志すきっかけとなった作品として繰り返し賞賛されている。が、この作品は手塚ひとりの仕事ではなく、共作者がいる。現在手塚全集に収録されているのは、手塚がリメイクしたもので別作品といっても過言ではない。まるで封印されたかのような共作者こそ酒井七馬である。手塚と酒井の間には確執があったとも伝えられ、酒井は、コーラで飢えをしのぎ、電球で寒さをしのぎながら失意のうちに死んだと信じられてきた。しかし、それは真実なのか?酒井七馬の知られざる生涯と、「新宝島」誕生の裏側へと迫る。
感想・レビュー・書評
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謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影
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巨匠・手塚治虫のメジャーデビュー作と目されている「新寶島」というマンガがありますが、これの初版本表紙を見ると、原作・構成者がいて「酒井七馬」となっています。
あの手塚治虫になぜ原作者が? しかも酒井七馬って人、その前後の活動をまったく寡聞にして知らない。誰?
と、かねてから疑問に思っていたところ、この本に出合いました。やっぱり「謎のマンガ家」なのであったか!と目の前の霧が晴れるような心地がしたもんです。
その酒井七馬の生涯と、手塚治虫ら当時の作家や、まさに始まったばかりのマンガ・アニメ・紙芝居といった画像文化との関わりを描いた伝記であります。
われわれが思うほど「謎」ではないらしいとか、若き手塚にストーリーテリングの勘所を教えた「師匠」らしいとか、かねてからの「疑問」を実に氷解させてくれました。
マンガ文化の黎明期に重要な役割を…いや時代を画したというほどの活躍をしながら、片や巨匠として歴史に名を残し、片や「謎の」と称される運命の数奇さ。
時を忘れて読了しました。 -
2012/12/18購入